2008.9.1 住宅リフォーム
 

()れてい浴槽自体鋳物ホーロー製でキズなどもなく、まだまだ使用に耐えるものであ修理方法として、浴槽を囲っているタイル壁を壊し、浴槽を取り出して、配管の継ぎ目の箇所を修理するという大がかりな工事になるという。ほかの業者にも調べてもらうと、同じ意見であったが、ユニットバスでのリフォームを(すす)められた。費用はユニットバスでのリフォームのほうがかなり高かったが、前者では修理方法によっては、再び漏水が起こる可能性もあると聞き、ユニットバスでのリフォームを行うことにした。

工事は、既設浴槽の取り外しから、ユニットバスの据え付けまでを3日間で仕上げてしまった。短期間の工事で、写真に示すように見事な浴室に変わった。現在はほぼ満足している。しかし、満足するまでには、施工後、製品の排水トラップからの騒音が大きく、その騒音を解消する過程で、ユニットバスメーカーと施工業者の責任のなすり合いもあり、試行錯誤をしながら5ヶ月後にほぼ騒音は小さくなった。私は製品に問題があったと見ている。

(注:排水トラップとは、水廻りの排水配管の一部に水をためて、臭気の逆流を防ぐ器具や装置、または構造)

リフォーム前 リフォーム後 ボコボコと大きな音を出した排水トラップ

 

これからは、住宅リフォームの時代だという。国の住宅問題の柱が、ストック(既存住宅)活用にも向けられている。これまで築年数で制限されていた融資と減税(木造住宅で築20年以内、耐火住宅で25年以内)が、「中古住宅の築年数による制限の廃止」により、築年数とは無関係に、評価機関の「耐震性表示証明」などによって、新築並みの融資制度と減税対策を取り入れることが可能となった。中古住宅資源を長期に有効活用し、流通の活性化を促進する。それにともない中古住宅の解体と廃棄による産業廃棄物の減少も図る。

30年で建て替えていた木造住宅でも、適切なリフォームを重ねることにより、その期間を60年以上にすることも可能にできると言う100年を()た木造住宅でも補強して耐震構造にし、時代にあった快適な住まいに変える工夫(くふう)なども進歩している。解体・廃棄して建て直すか、中古住宅をリフォームして長期に使用するか、これからは費用対効果も考えに入れた家づくりが必要である。

勝間和代著「お金は銀行に預けるな」には、住宅地の地価の大幅な値上がりが期待できない現在、購入するなら、新築より中古マンションをすすめている。新築マンション購入価格には、建築業者の2030%の広告費や粗利益の利ザヤが乗せられている、として次のように書いている。

<<新築マンション――例えば4000万円のマンションだとしたら――を市価で転売しようとした瞬間に3000万円前後でしか売れないような、買った瞬間に値が下がるケースが多いのです。新築マンションはその1000万円の儲けで、モデルルーム代やチラシ代、セールスマンの人件費までまかなっているのです。

もちろん、そのマンションにプレミアムがつき、買った後でも価格の下がらない住宅はありますが、それはあくまでも例外的な物件です。>>

中古マンションを購入したとしても、そのリフォームは欠かせない。

しかし、そのリフォーム業はクレーム産業の筆頭といわれる。住宅リフォームは、既設の建物に合わせて施工しなければならず、その出来は職人の腕に左右され、新築に(まさ)る職人の技量を必要とするという。例えばキッチンや風呂、トイレなどの住宅設備の場合でも、トータルのリフォーム費用のうち商品部分は3040%だとされている。もっとも大きい部分は残りの6070%を占める人件費だという。

例えば同一メーカーの電気製品なら、販売店や販売価格が違っても、製品の性能に影響はない。しかし、リフォームで必要以上に低価格を売り込む業者は、大きなウェイトを占める人件費を落とすため、技量のない職人を使うか、手抜きをするかして、消費者とのトラブルの一因になる。最近、私の家のポストに、足場を作らないで、ビルの窓ふきのように、(つな)にぶら下がりながら外壁塗装をするので安くできる、というチラシが入っていた。しかし、住宅リフォームの本には、こんなことでまともな仕事が出来る筈がないと書いてあった。見積りが安いというだけで注文してはならない、と住宅リフォームの著者らは口をそろえて述べている。

 

5年ほど前になるが、紹介された水道工事業者に、ポンプの撤去と配管の接続を頼んだことがある。工事後に、その水道工事業者に、ガス給湯器の取り換え工事もやるのかと聞いたところ、できるという返事であった。水道工事業者とガス工事業者の工事資格はどうなっているのだろうか、という思いはあったが、念のために見積書を出すように頼んだ。

取り換えを予定していたのは、浴室と洗面、キッチンの三ヵ所に給湯する屋外設置床置タイプで、ベランダに置いてある給湯器である。ガス会社系列の業者にも取替えの見積を依頼していた。

両者の見積を較べると、水道工事業者の見積もりのほうがかなり安い。水道工事業者に頼むことにし、同時に、システムキッチンのガスコンロの取り換えもお願いした。

給湯器取り換え後23日して、浴槽の給湯の調子が悪くなった。頼んだ業者に電話をすると、メーカーに相談してくれという。そちらが設置したのだから、そちらからメーカーに連絡すべきではないかと言っても、こっちでやってくれという。(らち)があかないので、メーカーに連絡するとすぐに技術者が来てくれた。いろいろと調べた結果、工事で出た切り(くず)がセンサーに詰まっている、それが原因ですと言われた。

その後、妻が、取り換えたガスコンロ周辺で、前には臭わなかった臭いが出ているような気がすると言い出した。私には感じられなかったが、東京ガスに電話をすると、すぐに係員が来てくれた。係員も首をひねっていたが、検知器で調べると、極めて微量のガスが漏れているという。妻の嗅覚(きゅうかく)にはその係員も感心していたが、まったく冗談ではない。東京ガスは、ただちに修理を行ってくれた。

さらに、ベランダに置いた給湯器から出た燃焼ガスの臭いが、部屋の中に入る。今回は、メーカーから系列の業者を紹介してもらい、対策をお願いした。給湯器の位置を移動し、向きを90度回転し、さらに燃焼排気口に燃焼ガスの方向を変える金物を取り付けて解消した。安い見積りに飛びつき、高い買い物になった典型である。
  住宅リフォームは、電気製品を買うのとはわけが違うといわれても、出された見積りが適切かどうかの判断は難しい。山根祐太著「住宅リフォーム革命 失敗しない業者選びのコツ」に、標準的な見積例が掲載されている。参考になると思い抜粋し添付(クリック)た。

住宅リフォームの著者らは、チラシなどに(まど)わされることなく、近所で評判の良い工務店や業者に頼むのがベターであると書いている。

 

追 記

何から書き移したか不明だが、私のノートにメモしてあった「悪質リフォームを見分ける7つのポイント・常套句(じょうとうく)を紹介する。

「無料で点検します」

一般的な業者が、突然訪問してきて無料点検するということはほとんどない。下心がある可能性が高い。

「ご近所で工事をしているんです」

近所の人も一緒に、という安心感を抱かせる。どこでどんな工事をしているのか、しっかり尋ねることが必要。

「このままだと大変なことになりますよ」

家が腐る。地震で壊れるなどと付け加えて不安をあおる。なぜ腐るか、壊れるかという理由はいわない。

「今なら割引できます」

すぐに契約させるのが目的。家族らと相談して警戒されるのを防ぐため、業者は訪問したその日に契約しようとする。

「オリジナルな商品を勧めてくる」

耐震用の金具など、特別で他社のものと違うと強調する。ほとんどの場合、値段は相場より高く設定されている。

「聞いたことのない資格をアピールしてくる」

「○○協会認定の○○診断士」など、一般的に通用しない肩書で信用を得ようとする。

「会社の所在地が不自然に遠い」

悪質なリフォームを繰り返す業者は、悪い評判が広がっている地元近辺から離れ、他県などに営業拠点を移すことも。

 

 

参考資料

山根祐太著「住宅リフォーム革命 失敗しない業者選びのコツ」工作舎

山根祐太著「家の寿命はリフォームの良し悪しで決まる」エール出版社

末吉正浩著「住宅リフォーム良い業者・ダメな業者」エール出版社

勝間和代著「お金は銀行にあずけるな」光文社新書

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