エピローグ ささやかな油断
―――そんな騒ぎから約二週間が経過していた。
フィンの自室のベッドの上にはアウラがだらっと横になっている。
「そんなに疲れたのか?」
「だって、裁判って長いのよ?」
彼女が愚痴をこぼしているのは今日行われたラバドーラ卿とその子息ベレーロの裁判のことだ。何しろ前回のチンピラの裁判とは違って、相手はサルトス王国の地方領主とその息子だ。
その上、背後にはイービス女王とその叔父ヴォルフの権力争いも関わっているとなれば、当然のことながら全国的な注目が集まっていた。
そんな中で彼女たちはこの事件に関する重要な証人で、その間ずっと拘束されてしまうのは避けられないわけで―――傍聴席で聞いていたフィンとはストレスの度合いが全然異なっていた。
「しかし、こんな騒ぎになるとはなあ……」
「本当。びっくりしちゃった」
最初話を聞いたときはちょっとしたアルバイトみたいな物だと思っていたのだが……
《まあ、あいつらが首を突っ込んだらただじゃ済まないとは思ってたけど……》
当初は普通の護衛任務だったのが、いつの間にか誘拐団の本拠地を突き止めるための囮作戦になっていて、あげくにとんでもない大物が釣れてしまったわけで……
「んで、明日もまだあるのか?」
「うん。そうなの」
アウラがため息をついた。
「まあしょうがないよ。でもこれならわりとすぐ決着はつくと思うし」
本来ならこんな大物の裁判は色々と紛糾するものだが、今日出てきた証拠を見る限りはあのバカ息子は弁解の余地なく真っ黒で極刑は免れないだろう。
《ってかもう、杜撰の極みなんだけど……》
あの後グラドゥス城を捜索してみたらもう決定的な証拠がぞろぞろと―――行方不明になっていた少女たちの服や持ち物だけでなく、近くの森からは少女の遺骨が何体も発見されるし、衛兵や使用人たちもみんな知っていたが、脅されていたので黙っていただけで……
《そんなんで本当よく今までバレなかったよな……》
それはラバドーラ卿のバックに例のヴォルフ叔父がついていて、少々のことならもみ消せたためだった。
《ってか、完全に間違ってたよな……》
ラバドーラ卿本人は決して悪い領主ではなかったが、息子の育て方は完全に失敗していた。
成人した彼にグラドゥス城を与えてこの地域を統治させたが、かつての内戦時代では最前線でも現在ではただの片田舎だ。そこで退屈を持て余したバカ息子は人買いから少女を買っては慰み始めたのだ。
ラバドーラ卿が気づいたときにはもはや手が付けられない状況になっていたが、彼は結局それを隠蔽する方向に動いた。
《ここでガツンとやっとけば、こうはならなかったのに……》
ところが約一年半前、誰もが予想だにしない展開でイービス女王が即位することになる。その際にヴォルフ叔父と彼女が全面的に対立するがその結果は見ての通りで、大幅にその権勢を失うこととなった。
《こうなったらもうバレたらお終いだからなあ……》
そこでラバドーラ卿はともかくも誘拐団との関係を清算しようとした。
ところがまたとっととやっていれば良かったものを、あのバカ息子は最後にもう一働きしてもらおうとか欲をかいたあげく、事もあろうにアウラたちの作戦とバッティングしてしまったわけだ。
《あはは。そりゃ驚いただろうな……》
買ってきた娘たちがベラトリキスのメイ秘書官と黒猫のサフィーナだったとか……
おかげで二人は正体がバレたあと即刻消されそうになっていたそうで―――だが、彼女たちも言っていたように、そんなことになったら完膚なきまでの墓穴であった。
《そりゃまさに最後の切り札だしな……》
だがメイ達が頑張って生還したおかげで、メルファラ大皇后の身内に害をなしたという罪状は何とか免れたわけで……
《おかげでラバドーラ卿は改易くらいで済みそうだけど……》
だが彼の領地は広大で、ヴォルフ叔父の支持者の中でもかなりのものだった。それが失われることで叔父の力がさらに弱まるのは間違いなかった。
《何か聞けば、他の支持者も叔父殿を見限り始めてるとか?》
まあこういうところは逃げ足の速さが物を言うわけだが―――そう思ってフィンがふっと笑うと……
「ん? 何がおかしいの?」
「え? いや、ほら、今回はメイもサフィーナもよく頑張ったなって」
何だかこれまでとは比較にならないくらいの大ピンチだったようだが……
「そうなの。おかげでメイ、もうカンカンで、もうちょっとでサフィーナが死ぬところだったって、メチャクチャ怒ってて」
「あはは……ってか、そんなギリギリだったのか?」
「うん。リモン達がもうちょっと遅れてたら本当に危なかったかも」
「ええぇ? マジでか?」
「うん」
危なかったとは聞いていたが―――そりゃまあ怒るのも仕方ないが……
「でも……」
フィンは首をかしげた。あれから何度もメイには会っているが、そんな怒っているようには見えなかったのだが?
《ってか、むしろ上機嫌だったよな?》
不思議に思ってフィンは尋ねた。
「えっと……でも、今日もメイには会っただろ? そんな怒ってたか?」
「え? 今は怒ってないけど」
アウラがあっさり首を振る。
「どうして?」
「それはミーラがね、メイに赤い馬車をあげるって言ったから」
「赤い馬車?」
どこかで聞いたような記憶があるが……
「あ、ほら、ミーラがフォレスから乗ってきた、赤い馬車があるじゃない。あれ今アキーラにあるんだけど、取りに行くならあげるって言ったら、もう大喜びで」
………………
…………
「アキーラに?」
確かにここまでレイモンの軍用馬車で来たので、彼女たちが乗ってきた馬車はあそこに置きっぱなしだが……
「でもあれってフォレス王家の紋章入りだったよな?」
「そうよ?」
「そんなもん、個人でもらっても困るんじゃ?」
「あ、それは大丈夫みたい。ほら、メイってサルトスにもレイモンにも顔は利くし、色々連絡を取りたいときに乗っていけばいいって」
は?
「それって……要するに外交官やれってことじゃないか?」
「そうなるのかな?」
だが―――本来はアイザック王はフィンにそのような役割を期待していたのだが、今となっては無理だ。
「エルミーラ様がメイにそう言ってたのか?」
「うん。それにクリンちゃんだってたまには里帰りしたいだろうって。そしたらメイ、大喜びで任せて下さいって。それからずっと上機嫌なんだけど」
………………
…………
……
もしかして―――メイってわりとちょろいのか?
フィンはため息が出てきたが……
《でもまあ、適任なのはもう確かだし……》
何やらとんでもなく色々な場数をこなしてきたみたいだし、今回の事件でも彼女が落ち着いて判断していたからサフィーナも安心していられたそうだし……
《あは……最初は魔法使いが怖いからって夜やって来たりしてたのになあ……》
あの頃とは何やら隔世の感だが……
「あの馬車、丈夫だからヴェーヌスベルグにでも行けるんじゃないかしら」
「あ、まあそうだな」
何というかメイの従者というか仲間たちはものすごくワールドワイドになっていて、故郷巡りをするだけで世界横断の旅になってしまうのだが……
「しかしサフィーナが危なかったって、相手はそんな強かったのか?」
フィンもあの試合は見ていたが、サルトスの一流剣士に対して堂々たる勝利だったと思うのだが?
「あ、最初は剣で戦ってたみたいで」
「薙刀じゃなくって?」
ならばまあ仕方がないか―――と思っていると……
「うん。で、ギリでリモンが間に合って薙刀を渡したんだけど、それでも猫の爪を使わないと勝てなかったって」
「猫の爪?」
「サフィーナの必殺剣なの」
必殺剣? そんなのがあるのか?
「はあ? 何か要するにそんなに強かったのか?」
「うん。何でも御前試合に出られるくらいの腕前だったとか」
………………
…………
……
「ええっ⁈」
さすがのフィンもサルトスの御前試合に関しては聞き知っていた。
「えっと……それってディアリオに匹敵する実力ってことなのでは?」
「そうみたい」
アウラはあっさりとうなずいた。
「ちょっと待て! そんな奴をサフィーナが?」
「うん。だからジャルダンとかもすごく驚いてて」
「はあ?」
彼女は薙刀を習い始めてからまだそれほど日は経っていないと思うが―――確かにあの身のこなしはほとんど人間離れしていたのは確かだが……
「えっと……ジャルダンって?」
どこかで聞いた名前だが……
「あ、あの試合でリモンと戦ってたの」
「あ、そうか……」
それで名前に聞き覚えがあったのか。だが、あの親善試合に出てくるほどの奴となると……
「そんなのがどうして一緒にいたんだ?」
「アルマーザの護衛にって付いてきてたの」
「えっ?」
アルマーザの? と彼がぽかんとしていると……
「大丈夫よ。ロパスくらいには強かったし」
いや、それってフォレスだったらトップクラスってことだろ?
「どうしてそんな剣士がアルマーザなんかの護衛に?」
「あ、それは大皇様が直々に女王様にお願いしたからみたいで」
「大皇様が? 直々に?」
「そうみたい」
確かに最近、彼女がよくカロンデュール大皇の夜伽をしているという話は聞いていたが……
《ってことは、もうめっちゃお気に入りってこと?》
実際わりと美人ではあるし、スタイルもまあ一級品と言ってもいいんだが……
《何か変な奴だしなあ……》
間違いなく一時の気まぐれだと思っていたのだが……
フィンが唖然としていると……
「帰ってきたときもご本人が出迎えにきて、それからそのままお部屋に連れてっちゃったし」
「はあ?」
本人が出迎えた⁈
「今日もアルマーザの日なのよ? 木曜がファラで、土曜の晩がみんなでなんだって」
………………
…………
……
あはははは!
《何かもう本当に隔世の感があるなあ……》
ちょっと前まではあの二人―――メルファラとカロンデュール大皇がこんなに親密になるとは思ってもいなかったが……
「だったら……大丈夫だよな?」
フィンは思わずつぶやいていたが―――心の底がちくりと痛む。
「ん? 何が?」
「え? まあいろいろ……ほら、例えば世継ぎで揉めないといいがなあとか」
「ああ、順番が逆だと大変なんだって?」
「まあな……」
そんなことになると本当に血で血を洗う争いになりかねないのだが―――ま、それはそうと……
「そういえば、そのステラっていう侍女は見つかってないんだよな?」
「そうみたい」
今回の事件のヤバさは、結局その“謎の勢力”の助力がなければメイ達は本気で危なかったということだ。
誘拐団のアジトが炎上していたとき追跡部隊にはメイ達の手がかりは何もなかったのだが、その謎の女性からの手紙が突破口となった。
メイ達もグラドゥス城に務めていたそのステラというメイドにいろいろ助けられていた。
ところがその彼女は、アウラたちの捕り物のどさくさに紛れて姿を消してしまったのだ。
《やっぱりその人が脱出口から出ていったのかな?》
ラバドーラ卿はアウラたちを始末しろと命じて本人たちは逃げていったが、城の衛兵たちは前述の通りにバカ息子が何をやっていたか知っていた。当然それに加担したとなったらどういう処罰を受けるかもありありと想像がついた。
おかげでアウラたちはほとんど抵抗らしい抵抗に遭わずに彼らを追いかけることができたのだ。
そして彼らは城の地下室に逃げ込んだあげくに、そこであわあわしているところをアウラ達に取り押さえられてしまったのだ―――どうしてそんな間抜けなことになったかというと、実はそこに城からの秘密の脱出口があったのだ。
ところが、彼らがその扉を開けようとしたら何故か開かず、ジタバタしているうちに追っ手が来てしまったというわけだ。
後から調査したところそこから誰かが出ていった形跡があって、外から扉が開かないように細工されていた。
《その脱出者って、ラバドーラ卿たちを逃がさないようにしたわけだよな?》
彼女がメイ達の味方、すなわち彼らの敵だったとすればそうする動機はあるわけだが……
《あ、でも城の人だって……》
主君の恥ずべき行いに心を痛めていた人も多かっただろうから、そんな人物の仕業と考えることもできるが―――ただ、その脱出口の存在を知っていた者はそれほど多くはなかった。バカ息子は彼女には教えていないと言っていたが……
《そのステラって人、城に来てから一年ちょっとって言ってたけど……》
もし彼女が何らかの目的でグラドゥス城に“潜入”していたのなら、一年あればそういう経路を調べることは可能だろう。
問題なのはその目的だ。
《少なくとも外部に仲間がいるわけだよな?》
そしてその仲間が追跡部隊に情報を流したことからも、今回の作戦に関してある程度知っていたと思われるわけだが……
《いったい誰なんだ?》
例えばサルトスに秘密警察みたいな部隊があって、それが内密にラバドーラ卿を調べていたとかだろうか?
《でもアスリーナさんも知らなかったんだよな?》
彼女はイービス女王の片腕だ。あの場合、彼女に知らせておかないなんてことはあり得ないし……
《それにラバドーラ卿を潰すのが目的なら……》
半月もしないうちに証拠なんて見つかっただろうし、それで回りを固めて踏み込んでれば一網打尽だったはずだ。
今回は急いだためアウラたちは小鳥組方式で先行していた。そのためあの捕り物の際に城の使用人にはけっこう逃げられてしまっていた。
《わざわざこのタイミングまで待ったってことは?》
―――というより、本当は放置しておくつもりがアウラたちの作戦を知って急遽手伝うことにしたとか?
何だかピンとこないのだが……
《それじゃなにか別な目的が?》
たとえばターゲットは誘拐団の方だったとか? ラバドーラ卿の供述ではその誘拐団は夜のネットワークとかいった名前で他国とも通じていたようだが―――その関係で何かあったとか?
《でも完全に壊滅しちゃってるんだよな……》
おかげでそちらの方から辿っていくことも困難で……
フィンは首を振った。
《ともかく終わりよければ全てよしと言うことで……》
これ以上考えていても仕方ないだろう。
それよりもフィンには為さねばならない使命があった。
《こっちは春が早いんだよな……》
ここサルトスは都やフォレスと違って、雪が降るときは降るのだが春の到来も早い。
聞けば今年は雪が少ないそうで、ア・タンの峰越えの経路ももうすぐ使えるようになるという。
だとすれば……
《あはは。忙しくなるぞ?》
これからアイフィロスのサルトス軍とアコールのレイモン軍を入れ替えると共に、カロンデュール大皇とメルファラ大皇后を白銀の都まで送り届けるという大任がある。
その際にアラン王が妨害をしてくる可能性は多々あって―――というよりもうほぼ確実で、可能な限り万全の準備をしていかなければならない。
《あの人だから、それでも裏をかかれるってことはありそうだけど……》
何しろ一行はシルヴェスト王国内を通過していかなければならないが、アラン王がそこにどんな仕掛けをしているかは分からないのだ。
《それになあ……ファラや大皇様に気を取られすぎていたら……》
そこにいきなりシフラのシルヴェスト軍が攻め込んでくるという可能性もありそうだ。
《グリシーナの軍も無傷だしなあ……》
フォレスとベラの連合軍が侵攻してきた際に、グリシーナを守っていた軍はほとんど抵抗せずに無血開城した。だがそれはアラン王の深謀遠慮の一環なのは間違いなく……
彼らは武装解除してあちこちに分散させてはあるが、それでも一斉に蜂起されたら大混乱になるのは間違いない。
《とはいっても始末してしまうわけにもいかないし……》
フォレス・ベラ連合軍はシルヴェストから見れば侵入者なのは間違いない。そこで大した戦いが起こっていないのは防衛軍が無抵抗だったのに加えて、アイザック王が現地人に対して手を出すことを厳禁しているからだ。
そのためにとりあえずの平穏は保たれているわけだが……
《何がきっかけで暴発するか分からないしなあ……》
ともかくこれから行く先はそのような微妙な地域だ。そのためには万が一の状況も考えて行動しなければならないわけで……
《ま、ともかく来週からだ》
来週になったらフィンは経路の下見をするために、ガルデニアを発つことになっている。するとまたしばらくアウラとは会えなくなるわけで―――そう思ってフィンは彼女を見た。
「ん? なに?」
そんな素振りに彼女はすぐ気づく。そして……
「どうしたの?」
そう言いながらフィンの膝の上に乗ってきた。
「いや、だから来週になったら行かなくちゃならないからさ……」
「ああ、そんなこと言ってたわね」
そう言ってアウラがキスをする。
彼女の唇を味わいながらフィンは思った。
《いつになったら本当にゆっくりできるのかな……》
今後しばらくはまだ無理そうだし……
だが、ともかく今はそんなことは忘れて―――フィンはアウラを抱きしめる。
それから二人は立ち上がるとそのままベッドに倒れ込んだ。
ぎゅっと彼女を抱きしめると、また体の一部が固くなっていくのを感じるが―――と、そのときだ。
トントン……
ノックの音がした。
「あ?」
こんな時間にいったい誰だ?
二人は顔を見合わせるが、フィンはふうっとため息をつくと起き上がって扉の方に向かった。
外にいたのは―――なぜかパミーナだった。
「あ? どうしたんだ? こんな時間に」
彼女は何やら顔面蒼白だが……
「それが……あの、ファラ様はこちらにいらっしゃってませんか?」
「はい?」
フィンは面食らった。
「ファラがって……どうしてここにいると?」
「それが……」
そう言って彼女があたりを見回す。
「ああ、ともかく入りなよ」
「すみません」
二人が戻ってくると、アウラが不思議そうに出迎えた。
「どうしてパミーナが?」
「それが……ファラ様の姿が見えなくなってしまいまして……それであちこちお探ししたのですが……」
「はあ? それでどうしてここにいると?」
「それが……」
そう言ってパミーナは可愛い封筒を取り出した。
「これなんですが……」
「なんだ? それ」
ともかくフィンはそれを受け取って中を見てみるが……
愛するファラへ
なかなか会えなくてごめん。何とか暇を作った。夜の九時に来迎殿の裏庭で待っている。
フィン
………………
…………
……
《何だこりゃ?》
フィンが顔を上げると―――パミーナとアウラが彼を見つめていた。
「えっと筆跡は似ているのですが……リーブラ様は書かれていないのですよね?」
フィンは慌ててうなずいた。
「もちろんだよ! いったい何なんだ? これは?」
「ですので……ファラ様が見当たりませんので、失礼ですが文箱などを改めさせてもらったら出てきたのですが……」
「どういうことだ?」
パミーナは首を振る。
「さあ……ただ、こういうのはリーブラ様らしくないと思いましたので、まずは確認をと思いまして……」
………………
…………
……
いや、もちろんフィンがこんなことをするとかあり得ないし!
彼女と密会したければ、そう仄めかしただけで最後までお膳立てしてくれる奴らばっかりなんだし!
そもそもそんなときにはまずはパミーナに話がいくだろうし―――あのときは彼女だってノリノリで協力してくれていたんだし……
《ファラが……いなくなった?》
フィンとアウラは顔を見合わせる。
「ともかく上にいらして頂けませんか?」
「あ、もちろんだよ」
二人は慌てて彼女について来迎殿に向かった。
そこでは―――メルファラ大皇后とともにリモンまでが姿を消したと大騒ぎになっていた。
シルバーレイク物語 第17巻 ふたりのミニミニ大作戦 おわり
