本当に初心者の人に捧げるコンピューター入門

この悲劇を繰り返さないためにも・・・


 ある天気のいい日、若干キレやすいけれども人の良いA君は、田舎をドライブしていました。すると道ばたに一台の車が止まって、若い女の子が手を振っているのが見えます。どうやら故障しているようです。

 もちろんA君は助けてあげようと思って停車しました。
「すみませーん。動かなくなっちゃったんですぅ」
「どういう風に動かなくなったんだい?」
「走ってたら止まっちゃったんですぅ」

 A君の脳裏に一抹の不安がわき起こりました。しかし女の子が可愛いかったので、ともかく動かなくなった車を調べることにしました。そうすると・・・

「ああ?ただのガス欠じゃないか!」
「がすけつ?」
「ガソリンが入ってないんだ!」
「がそりん?」

 A君はどっと力が抜けました。A君は精一杯の皮肉を込めて言いました。
「あー、まったく、よくそれで免許が取れたな」
「めんきょ?なんですかぁ?それぇ?」

 次にA君が気づいたときは、その女の子を絞め殺してしまった後でした・・・


 ・・・などということは普通起こりません。
 しかしある世界ではこれが現実なのです。その世界とは・・・そう。この世界です。


 ある雨の降っている日、若干キレやすいけれども人の良いA君は、家でゲームをしていました。すると知り合いのB君からあわてた声で電話がかかってきました。B君はコンピューターのことは分からないけど、英語はそこそこ読めたりします。

「マシンが起動しなくなっちゃったんだよ。ウイルスにやられたらしい!」
「ええ?何したんだ?おまえ!」
「何もしてないよ!」

“どうせ訳の分からないエロサイトにでも行ったんだろうが!”とA君は思いましたが、この間お金を借りていたので強いことも言えません。
 仕方なく雨の中B君の家に行くと・・・

「バカ野郎!フロッピーがささってるだけじゃねえか!」
「え?そうなの?」
「そうだよ!どこにもウイルスなんていないよ!」
「だって Invalid System Disk って出てたぜ。システムディスクが病気になってるんだろ?」

 もちろんA君はB君を殺したりはしませんでした。だってこんなことは日常茶飯事でしたから・・・

* "Invalid" にはそういう意味もあります。


 2番目の話の意味が分からない方はいませんか?実は以上の二つの事例はかなり同じレベルのトラブルなのです。

 自動車が動く詳しい仕組みや交通法規を知らなくても運転をすることはできます。しかし何らかのトラブルに巻き込まれたとき、全くお手上げになってしまうでしょう。世の中にこれだけ車が氾濫していても年間一万個程度の命で済むのは、みんな車に関する最低限の知識を持っているからです。

 というわけで、ここではコンピューターに関する本当に最低限の知識を解説していきたいと思います。
 しかしコンピューターとは実は人間が作り出した機械の中で、最も複雑な機械です。こういうレベルの知識であっても結構大変なんですね。これが。

 あらかじめ申し上げておきますが、これを全て読んだからといって、明日からバリバリとコンピューターが使えるというわけにはいきません。何しろガソリンがなければ車は動かないといったレベルの知識なのですから・・・F1レーサーになるためには、そこから更に更に長い道のりがあるのです。


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