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「もう、きみには頼まない、石坂泰三の世界」
城山三郎;1995.1.25 城山三郎、毎日出版社、1500円(古本価格600円)
毎日新聞朝刊に1994年4月4日から約7ヶ月にわたって連載されたもの。
目次 それがしの1日、善遊善学、当て外れの転職、不思議な役員会、押し入れの中の情報、目標なき生活、凄い奴が来た、特別な日・特別の人、二人の首くくり、温室の中、わがまま適齢期、無所属の時間、後任人事、大成功の宵、大いに不満、命を楽しむ人
<著者あとがき、1994年晩秋>
存在感のある人間が、いま求められている。大不況の壁の前で、揃って足踏みしているのではなく、広い野原に連れ出してくれる大きな人にあってみたい。
王道や大局をつかむ力があり、懐の深い人に。これはわたしひとりの思いではない、と思う。
そうしたことから、わたしは腰をあげて調べはじめ、やがて気骨や挙骨の人とか、存在感のある人というだけでなく、純愛物語といってよいほどの妻想いや、無所属の時間を楽しむ余裕や、老年にいたるまでの複々線的な生き方等を知ることになった。
取材中、そいて執筆中、わたしの耳には、「小細工を弄するなかれ」という石坂さんの声が聞こえ続けた。
感想;なかなか面白い本でした。 「万博も中盤に入ろうとする1970年4月29日、石坂は勲一等旭日大授章を受けた。その際のことだが、東芝の役員一同で何かお祝いの品をさし上げたいと希望を尋ねると「これから先は、多摩墓地へ行くだけだ。だから墓石でももらおうか」相変わらずの天の邪鬼ぶり。役員たちは困りながらも、上質の黒御影石を贈った。」
とか「日本万国博覧会、政府公式記録」について「大いに不満」であったことなど目につきました。
石坂泰三(1886-1975)
1911;東大独法科卒、逓信省入省
1915;第一生命入社、矢野恒太の知遇、社長(1938-46)
1949;東芝社長、1957年会長
1955;日本生産性本部初代会長
1956-1968;経団連会長