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うたかた/サンクチュアリ
うたかた/サンクチュアリ;1988年8月5日、吉本ばなな、福武書店、1000円

吉本ばなな;1964年東京生れ、日大芸術学部文芸科卒、87年「キッチン」が第六回海燕新人文学賞を受賞。

<本の裏付け>キッチン;私がこの世でいちばん好きな場所は台所だと思う、全く新しい感覚と繊細な文体で愛と優しさを問い直した。定価1000円

うたかた;鳥海人魚という主人公と、その母、別居中の父とその父に育てられた、異母兄弟らしい嵐の、4人の話。父と母がカトマンズに旅行に行き、母が帰国してから自殺未遂をはかる、というのが筋。

感想;父というのは、描き方から実父の吉本隆明(1924年〜)を指しているのは明らか。 そういう意味では典型的な私小説のようであり、文章も素直で、楽しく読めた。 同時に掲載のサンクチュアリは、「うたかた」のような基本ストーリィがないだけに、面白くなかった。 何故、ばなな本が若い女性に受けてベストセラーになるかであるが、内容の素直さにあると思えた。
これは、自立の思想を説く吉本隆明にも共通にあるもの。
吉本隆明は隔週で朝日に随筆を書いているが、本年5月ごろプロ野球について、巨人が苦戦中に野球は団体競技であり精神的なファクターが多く、金の力で優秀な選手を取ってきても勝てないと論破していた。 しかし、現在は巨人は独走体制である。8/20の朝日では「渡辺恒雄、メディアと権力、魚住昭、講談社1900円」」で「一千万部の力で総理を動かせる」と発言、金と数は現実世界では力である。