東京アンダーワールド、ロバート・ホワイティング著、2000年
東京アンダーワールド、ロバート・ホワイティング著、松井みどり=訳、角川書店、1995円、2000年6月30日発行
Tokyo Underworld by Robert Whiting (The Fast Times and Hard Life of an American Gangster in Japan)
感想;大変に面白い本と聞き、購入、さっと目を通しました。これは本当に傑作でした。日本人の目から日本の戦後の混乱期から高度成長期の闇社会を描いたものはいくらでもあるのですが、外国人の目から、それも、ニコラ・ザペッティというキイパーソンに密着取材、その他、膨大な資料やインタビューに基づき構成されており、リアリティがありました。
不良外人奮闘記的なもので、米国で映画化の予定もあるとか、客観的に見れば、外国人が日本に対して抱いている偏見をさらに増長する記述も多々あるのですが、これはやむおえないところでしょう。
1954年2月19日のシャープ兄弟と力道山・木村政彦のタッグマッチからプロレスブーム、1955年には東京に住む安上がりなニコラ等がプロレス界入り、1試合につき500ドル(当時の日本のサラリーマンの1年分以上の給料)、基本ルールは
1. 30-40分はリング上でねばること。
2. スポーツと勘違いしないこと。自分は役者だと思え。
3. 勝とう、などとは間違っても考えるな。
1963年12月8日のホテル・ニュージャパン地下のニュー・ラテンクォーターでの力道山の刃傷事件など、次々と歴史的事件がでてきます。
ここに描かれて話は、その時代の記憶がある人にとって興味があるものでしょう。いわゆる不良外人が活躍した時代である1945ー1970年頃までの話が面白いようで、その後は、活気がないように思えました。
<本書より>
著者;1942年米国ニュージャージ生れ、カルフォルニア州立大学から上智大学に編入し、政治学を専攻。1977年に「菊とバット」を発表、1990年には「和を持って日本となす」がベストセラーとなる。本著は取材と執筆に10年の歳月を費やした戦後日本の秀逸なドキュメンタリーであり、著者独特の日米比較文化論の総括でもある。現在、鎌倉在住。
本帯;東京のマフィア・ボスと呼ばれ、夜の六本木を支配した男ニコラ・ザペッティ。(1992年6月10日、71歳で死亡) 東京のヤミ社会、日本の暗部と深くかかわったこの男は、マフィア牛耳るイースト・ハーレムに産まれ、ボロもうけをもくろみGIとして東京に上陸した。つぎつぎと闇のベンチャー で成功するニコラのもとには、ありとあらゆる人種が集まった・・・政治家、ヤクザ、プロレスラー、高級娼婦、諜報部員・・・謎めいた力道山の死、ロッキード事件の裏舞台、そして経済ヤクザの暗躍、奇想天外波乱万丈のニコラの生涯が明らかにする、日本のアンダーワールド。
目次
プロローグ
第一章、焼け跡ヤミ市第一号
第二章、占領の後遺症
第三章、サクセス・ストーリー
第四章、オリンピック後のアングラ経済
第五章、ミス北海道
第六章、障子の陰で
第七章、富の大移動
第八章、黒い騎士
エピローグ