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2000-10-29 「なんとなく、クリスタル」田中康夫、1981年
古本の90円本コーナーで、現長野県知事の本を購入しました。発売から約20年を経過した本、紙質が悪く、戦後の本なみに酸化しており倒産前後の出版社から出した本らしいです。
本は初めて読んだのですが、本文よりNOTES(注)に重点をおいた気配のある、ブランドを徹底して羅列した軽いまた辛辣な風俗小説でした。
この著者は自分の感覚に大変に正直であるのと、偽善的なものに反発しているようで、いままでのタレント・文人知事とは異種のような感じで、野中さんが、奇妙な人が知事になったと評していましたが、当たっているかもです。
長野県企業局長が、新任知事の名刺を折ったというので小騒動になっていますが、TVであの場面をみたかぎりは、田中康夫氏のほうが、ずっと上手。企業局長は辞任覚悟で喧嘩をしかけたが、田中氏は乗ってこず、かなり百戦錬磨に見えました。長野県財界もすごい人を推薦したものです。
○なんとなく、クリスタル-----5(5--148)
○NOTES--------------------149(149--194)
「なんとなく、クリスタル」田中康夫、1981年1月20日 河出書房新社、定価880円
著者経歴;1956.4.12東京生れ、1964年より長野県に住む、1975年松本深志高校卒業、1976年一橋大学法学部入学、1981年モービル石油入社(本稿は1980年12月号の文芸に掲載)
<なんとなく、クリスタル-----5(5--148)、終わりに近い部分>
淳一と私は、なにも悩みなく暮らしている。なんとなく気分のよいものを買ったり、着たり、食べたりする。そして、なんとなく気分のよい音楽を聴いて、なんとなく気分のよいところに散歩しに行ったり、遊びに行ったりする。二人が一緒になると、なんとなく気分のいいクリスタルな生き方ができそうだった。
<NOTES;149(149--194)、抜粋>
松山千春;「地方の時代」ブームに便乗したフォーク・シンガー。北海道、北海道といいながら全国を飛び回ってお金持ちになったら飯倉のあのノア・ビルに自分のレコード会社を持ち、若年よりきどりに人生哲学を説く。父親を自分の会社の役員として迎え、核家族時代の親孝行を教えてくれた。
さだまさし;こういうキリギリスみたいな人が、戦争でも始まると、率先して戦争賛歌を歌う人になるのです。
毎日10/29 19:41 <長野県知事>県企業局長が謝罪、田中知事は辞職願いに慰留
長野県の田中康夫知事の名刺を藤井世高・県企業局長が折り曲げた問題で、藤井局長は29日、田中知事に陳謝した。藤井局長は30日に県公営企業管理者に退職願を提出する意向だが、田中知事は「一緒により良い県を目指したい」などと慰留することにしている。田中知事は藤井局長とともに会談後、記者会見し、藤井局長の言動について「建設的議論をしようという気持ちの表れで、私の理念を共有できるありがたい一人と確信できた。雨降って地固まるだ」と述べた。県庁への抗議電話などが殺到していることについては「厳しい励ましのご批判と思い、糧にしたい」と語った。一方、藤井局長は「至らなさで粗削りな行動に出てしまい、心から非をわびた。けじめとして退職願を出す」と語った。企業局への抗議電話は28、29の両日も数百件寄せられ、職員ら約20人が早朝から臨時出勤して対応に追われた。[2000-10-29-19:41]