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2000-12-25 2001年宇宙の旅、著者へのインタンビュー
sub: 2001.A Space Odeyssey

今週号のタイム(12月24日号)の本年の人は「ブッシュ次期大統領」、昨年購入した牧場でのインタビュー、600haという驚異的広さ、元水戸射爆場は1100haで、現在200haが未使用地で問題となっているのですが。選挙中も週末は必ず牧場にかえったとか、最高裁の審理のTV中継を見るよりジムで運動をしていたとのこと、勝敗に執着していなかったというのは事実のようです。ただ短気な性格とか。
ゴア氏については、余りにも勝敗に執着、大きな誤りは手集計でのやり直しを自分の有利な3郡のみに最初要求したことでアドバイザーの全郡での再集計との意見を聞かなかったとのことでした。この3郡のみ再集計要求はどうみても公平とは言えないもの、一度、敗北を認めながらの、再訂正と同様の判断力に問題ありを示しているようです。
SF界の巨匠アーサーC.クラーク、2001年宇宙の旅の短いインタビューが興味深いものでした。
Q.What will you be doing on Day One of 2001 on Planet Earth?
A.Trying to get some sleep.
最も欲しいものとして、汚染のないエネルギーや時間の拡張機や巻き戻し機をあげています。睡眠削除機もあげており、どうもクラーク氏は不眠症になやまされているようです。

その帰り道本屋で、高木仁三郎著、「原発事故はなぜくりかえすのか」を買い目を通しました。「市民科学者の最後のメッセージ」との副題があり、氏の本は自腹で買ったのははじめてでしたが、基本的に間違っている箇所もそもそもの原子力に対する見方やJCO事故への見方はなど少なからずありましたが、参考にすべき部分もまたありました。

Time Dec.24,2000
Person of the year, U.S.President-Elected George W. Bush

"Home on the Range" The Bush ranch(600-hectare, in Crawford,Texas) is the way he likes to see himself-rugged and thoroughly Texan. This ranch, which he bought just a year ago, is a rich Texas symbol of achievement-what kids from the Midland dream of having.
At last his own man; We learned more about Al Gore after the election than we ever knew before. In retrospect, he might have been better off simply calling for a statewide recount by hand, as some of his strategists recommended in the first days after the election, instead, he picked a handful of reliably Democratic counties in which to make his stand.

Q+A Arthur C Clarke
Arthur C.Clarke, 83, the celebrated Sri Lanka-based author of the novel 2001.A Space Odeyssey, will be marking the (real) start of the millennium on Jan.1.
Q.What will you be doing on Day One of 2001 on Planet Earth?
A.Trying to get some sleep.

Q.If you were granted one wish for the next thousand years, what would it be? In scientific terms?
A.For the world, a change to non-poluting energy, which I think is a possibility. As for myself, I can't really think of anything I would need except time. What about a time-extender, to control time with a fast forward and rewind? And almost as good would be a sleep-eliminator.

Q. How many of your predictions for the third millennium will come about: the space escalator from Earth, colonies on the planets, cold fusion, the braincap?
A. Timing is impossible to predict, but I think that 90% of the things that I said were possible will happen. But others won't happen because someone will get better ideas.

クラーク Arthur C. Clarke (1917― )地球幼年期の終わり
イギリスのSF作家。キングズ・カレッジで物理学と数学を専攻。1946年、短編『太陽系最後の日』を発表してデビューした。初期の作風の特徴は、豊富な科学技術の知識を駆使して現代科学の発達を可能な限り正確に予測した近未来を描くことにあり、『火星の砂』(1952)、『海底牧場』(1957)などがそれにあたるが、20世紀末、突如出現した外宇宙からの宇宙船団によって地球が支配され、人類の文明が新たな進化に向かう過程を描いた『地球幼年期の終り』(1953)は単にクラークの代表作にとどまらず、50年代のSFを代表する名編。1979年『楽園の泉』の発表を最後に隠退を声明したが、おもな作品には、ほかに『銀河帝国の崩壊』(1953)、同名の映画化とタイアップして書かれた『2001年宇宙の旅』(1968)、自伝的エッセイ集『スリランカから世界を眺めて』(1978)など多数ある。地球幼年期の終わり〈厚木 淳〉

岩波新書、高木仁三郎著、「原発事故はなぜくりかえすのか」660円+税、2000.12.20初版
○自分の手で扱う
60年代の私の経験の一つです。日本原子力事業という会社を辞めて、東大の原子核研究所に就職しました。化学屋ですから、原子核研究所ではマイナーな領域です。低エネルギー 研究部の化学部門に属しておりました。ここでは低エネルギーで起こる核反応について
調べるサイクロトロンという加速器を持っていました。
その際ににつくづく感じたのは物理屋さんが化学実験室を使った後というのは惨澹たるものです。少ししか実験をしてないのに、サイクロトロンで照射した放射性物質を扱ったというのは、放射性管理区域内ですから靴を履きかえ実験着に着替え手袋をして実験をするわけですけれども、その靴がべたべたに汚れていて、その人の歩いたとおりにガイガーカウンターを持って行くとカウンターが鳴るし、そのへんは汚れぱなしうっかりするとその人が扱った測定器まで汚れているようなことは日常茶飯事で、当時私たち化学屋は、物理屋さんというのはそういうものだと決め付けていたくらいでした。

○原子力の世界というと化学屋は遠景に退いていて、化学ができてもそれは放射化学というような化学ではなくて、主として燃料化学、つまり燃料屋さんだったりして、それも主流ではありません。主流はやはり原子炉工学屋さんと炉物理屋さんでしょう。

○高木さんを送る、山口幸夫
2000年10月8日聖路加国際病院で不帰の人となった。62歳と2ヶ月余。98年春ごろから体調をくずし、7月に大腸がんが見つかった。病状がよくないと聞き、調布のお宅にお見舞いにいったのが9月8日である。脇の小椅子に文庫版の平家物語が積んであった。私は少し奇異の感に打たれて「え?平家物語を読んでるの?」と問うた。「うん、先祖がえりなのかなあ。小説の舞台のイメージを掴みたって」とこたえる。「群馬と新潟の国境いあたりに平家の落人部落を想定して・・・」と言って息をのむ。続けて長時間しゃべることがもう無理なのだ。小説を書きたいというのは高木さんの前からの願望だった。自然と鳥とひとの物語を口述しているという。

<目次>
はじめに
1.議論なし、批判なし、思想なし
安全神話の崩壊、安全文化、原子力文化、安全第一、自己点検のなさ、原子力産業の状況、さまざまな用途の研究、相互批判なし、議論なし・思想なし、原子力の導入の歴史、原子力村の形成、奇妙なブーム、ある経験
2.押し付けられた運命共同体
国家まかせ、大事故の評価、トップダウン型の開発、サッカーにたたえると、三ない主義、我が国という発想、マ イカウントリー
3.放射能を知らない原子力屋さん
バケツにウランの衝撃、物理屋さんと化学屋さん、放射化学屋の感覚、物理屋さんの感覚、自分の手で扱う、放射能は計算したより漏れ易い、事故調査委員会も化学抜き
4.個人の中に見る公のなさ
パブリックな私、普遍性と没主体性、公益性と普遍性、仏師の公共性、技術の基本、原子力は特殊?、科学技術庁のいう公益性
5.自己検証のなさ
自己検証のない原子力産業、自己に対する甘さ、自己検証型と防衛型、委員会への誘われ方、結論を内包した委員会、アカウンタビリティー、寄せ集め技術の危険性
6.隠蔽から改竄へ
隠蔽の時代、質的転換、技術にあってはならない改竄、技術者なし
7.技術者像の変貌
物の確かな感触、ヴアーチャルな世界、倫理的なバリアの欠如、新しい時代の技術者倫理綱領
8.技術の向かうべきところ
トーンを変えた政府、JCO事故の意味、技術の極致、現代技術の非武装化
あとがきにかえて