1月


23日、日曜日
曇り/6℃



 1月にしては寒い一日だった。曇り空が寒さに拍車を掛ける。最寄駅から乗り継ぎ乗り継ぎでJR東京駅に向かう。
 
 新幹線に乗るのは何年ぶりだろうか、東海道は何十回と往復しているが、1号線・東名・在来線を利用するのがほとんどだった。旅行ならば「こだま」もありだが、さっさと目的地に着きたいので豊橋にも停車する数少ない「ひかり371号」に乗る。「ほぉ、ひかりも300系の時代か・・・」と感心しながら乗り込んだ喫煙車は人はまばらだった。乗車率10%程度の「ひかり」は新横浜に停車し次の停車駅は豊橋、正味90分、早い速過ぎる。

 豊橋から名鉄に乗り換え、続く知立にて三河線に乗り換える。大きな荷物を持った「それらしき人」もいる。どんよりとした空模様に凍えるような土橋駅にて下車、マイクロバスに乗り込み寮に向かう。

 教育会場に集まったのは総勢で400人余り、ホンダの時とは比較にはならない、これが毎週続くのだから恐れ入る。手続きに立ち会う社員の方達は、期間工導入専属なのだろうか?こんな組織、世界中探してもトヨタだけだろう。

 無給なのに長々と話を聴き解散、流れ作業的に部屋の鍵と食券2枚、布団・枕のカバーと洗面器を順々に受け取る、まるで刑務所だ。そして1週間の4畳半・2人部屋生活が始る。暖房はまったく効かず、部屋の中でもコートを着ていたぐらい。人数が多いため食堂と風呂は順番待ち。相部屋の兄ちゃんはTVを観ていたが、疲れていた私は22:00就寝。それにしても寒い・・・。


24日、月曜日
晴れ/11℃


1day
 7時起床、今朝は朝食ぬきとのことだが人間ドッグじゃあるまいし、仕方がないのでカロリーメイトとレモン水で済ます。
 今日は数班に別れ、健康診断と入社手続きの予定。午前中大型バスに乗りトヨタ健保会館へ。1つ1つの診断・検査の時間は短いが、とにかく待たされる。「自動車絶望工場」に載っていた通り、10人ぐらいパンツ一丁で並ばせ、適切に四肢が動くかどうかをチェックする検査があった。しかも検査者は若い女医、確かに屈辱を感じる。もう一つ、社員証作成のため番号の書かれた紙を両手で持ち写真撮影をする。まさにアメリカの刑務所で新しく収監した囚人にやるアレである。待ち時間に作業服・安全靴・帽子のサイズ合わせをする、と云っても各サイズの見本を自分で合わせて記入するだけのセルフ方式。すべてが流れ作業である。

 午後から入社書類の記入。とにかく話を聴いていないのか、ヒアリングが不自由なのかは存じないが、同じ説明を2度3度繰返す場面が多く、遅々として進まない。数班に分けた意味がない、社員の方も大変だろうに。

 18:00頃終了、聖心清風の食堂で夕飯、ご飯・みそ汁・おかず1品で400円ぐらい。20:00頃、再検査を知らせるために社員が各部屋を巡回する。私の部屋にも来た。てっきり私が引っかかったのかと思ったが、再検査は相部屋の兄ちゃんだった。私より7歳ぐらい若いのにご愁傷様。


25日、火曜日
晴れ/12℃


2day
 再検査者は2度目の健康診断に向かう、残った者はトヨタの歴史を長々と再現したVTRを観て時間を潰す。ドラマ仕立て風で悪くはない、ゴダイゴのテーマ曲から推測するに、昭和50年代頃に制作したのだろうか?時代を感じる映像。空席がちらほらと見えるので再検査の人数はかなり多い。

 午後からは健康診断で不合格だった人間が一人、また一人と消えていく。私の隣に座っていた宮崎から来た2度目の経験者も消えていくなど、悲惨な光景が続く。一通り告知が終わったところで「残られた皆さんは全員合格です、入社おめでとうございます」と言われ歓声が上がる。別に喜ぶところではないだろうに。

 その後、社員(従業員)証と健康保険証、作業着一式が渡され、豊田市から最も離れた僻地の田原工場配属者の発表になる。
 部屋に戻ると兄ちゃんが居たので再検査はパスしたらしい。食堂へ行く途中に大きな荷物を持ちタクシーに乗り込む人が数人、再検査でも引っかかりあえなく帰郷となった方達だろうか?ここで帰った方が幸せではないのかとも思う。私はほとんどTVを観ないので、ニュース以外は好きに見させてあげた。


26日、水曜日
晴れ/9℃


3day
 7時起床、寒空の下、聖心清風まで朝食へ。
 『WELCOME TO TOYOTA』なる小冊子を使って講義、寝ている人間多数。途中「メグリア(トヨタ生活協同組合)」の勧誘を挟み、田原工場配属者が出発していく。その後、衣浦・広瀬や本社地区工場の発表、広瀬工場は電子部品関係なのでラクそうだと思ったが呼ばれなかった。

 寮内での教育期間は今日まで、明日からは配属先の工場に出勤となる。風呂は相変わらず混んでいて狭い。部屋も寒いし、暖房は音はするがまったく効かない上、隣や外からの騒音がうるさい。早く転寮したい。
 

27日、木曜日
曇り/9℃

国旗制定記念日
4day
 今日から配属工場に出勤だが、座学やら現場見学などの教育だけ。バスターミナル(B.T)から通勤バスに乗り込む、各工場ごとに出発時間が異なるため、慣れるまで大変そうだ。

 工場の食堂はセルフサービス方式、寮に比べると値段が高い。最後に適性検査を受ける。どこでもいいよ。


28日、金曜日
晴れ/14℃


5day
 本日は午前中は昨日に引き続き教育、配属先(組)と寮が発表になり、午後からは実際に現場に行く。昨日の適性検査では、かなり不器用な部類に当てはまるように見えた私はラインの組立に配属になった。ホンダではライン作業ではなかったので良い経験になるだろうと納得させる。

 昼食後、直属の上司になるGL(組長)に引き渡され現場へと向かう、ここまで来ると、どうにでもなれと云う気分。休憩所にて書類を書き込んだり、現場の現状や決まりごとを聞かされたり、私の健康状態や履歴、身辺のことをGLと軽く会話をしたが上の空、何をやるのかが気になって仕方がない。そのやりとりの最中に私の所属する組の勤務時間が終了し、作業者が休憩所に続々と入ってくる、軽く挨拶し彼等は帰っていくが私の勤務時間はまだ続いている、裏番(白直)のラインへ行き私がやるべき工程を30分ほど見学し、ロッカーまで案内されて勤務終了。工場が広く似たような場所が多いため休憩所とロッカーと通用門の場所を軽くメモしながら帰る。ホンダの時はかなり迷った。

 そして寮に向かうが、入寮説明があるらしく1時間ほど待たされる。結局自分の部屋に入ったのが19:00頃、新築の寮だけにすべてが綺麗、完全個室。疲れ果てていたので荷物もそのままに20:00就寝。


29日、土曜日
曇り/8℃


 久々の1週間勤務に疲れ、昼まで寝てしまう。とりあえず部屋の点検をし寮内を彷徨う、食堂はまだ利用できないのでしばらくは聖心清風のお世話になるのか。

 豊田市街に行き気分転換しようと考える。土橋駅までは歩いて20分ぐらいかかるので、聖心B.T(聖心寮前)から名鉄のバスに乗り出発。あとから気がついたが、この区間すべて乗ると380円だが、田中町〜豊田タウン前だと300円!不親切な料金設定ではないのか?名鉄と愛知環状鉄道が乗り入れる豊田市の中心部はよく整備されている街に見え、地方都市にしては活気があるように見える。さすがはトヨタの城下町。しばらくは部屋に何も無いので、本を何冊か買って帰る。


30日、日曜日
曇り/8℃


 漫画喫茶が田中町方面にあるとの情報に接し出動、しかし外は寒い、顔が凍りそう、と云うか痛い。20分ほど散策し「まんが喫茶ゆくり」を発見、1週間ぶりにネットに触れ、ネット中毒の私としては生き返った。3時間ほど堪能し料金は約1,000円、このご時世ネット利用でも会員制を採っていないのは珍しい。

 寮に帰るが娯楽はTVだけ。番組表もなく中部圏内のchなので見る気が失せる。何故か昨日から喉が痛い、風邪の痛さではないので「シックハウスではないのか?」と疑ってしまう。明日から仕事だと云うのに結局夜にまたマンガ喫茶に行ってしまう。


31日、月曜日
晴れ/7℃

生命保険の日
6day
 今日から本格的にお仕事だが、2直と云うこともあり時間を持て余す。早めにB.Tに行きバスを待つがすごい人数だ、本社・高岡・三好・下山・堤と各工場に行くバスが次々と入っては人を満載させ出て行く、これには圧倒される。
 それから現場に入るが、見る事やる事すべて初めてなので想像以上に疲れる。自分の作業する工程を見ている時は、それほど難しく感じず、ラインのスピードもそれほど速いとは感じないが、1時間見学した後に実際にラインに立って作業してみると、ものすごい速さだと感じる。
 とにかく必死に覚え作業して1/4工程ぐらいを覚えて終了・・・ではなかった。定時終了の音楽が流れてから10分の休憩をはさみ1時間30分の残業に突入。私を指導する社員さん曰く「毎日これくらい残業があるから、今週中には覚えられるだろ」との事、三河弁がキツく先が思いやられる。


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