山勺薬を満喫する
五年前、松本に帰ってきてから、一株、二株と我が家の庭に植栽してきた山勺薬が種が落ちて増えたり何やかんやで現在15、6本になっている。春先き、土の中から芽を出し、紫紅色の柄に小葉がつくと、あっという間に緑一色の形のいい葉を広げる。そして、茎の頂きには丸くて固い蕾が一つだけ鎮座する。日々、蕾の膨らみ具合を眺めては一日千秋の想いで開花を待つが、これがなかなか開かない。やっと白い花弁を見せ半開きになってからもなかなか全開ということにはならない。開いてしまうと数日が見ごろでそのうち花弁も落ちて後に紅色のめしべだけが残る。緑色の葉と白い花のコントラストがよく、特に雨ツユを葉に乗せたその姿は気品に満ちて何とも言い難い。