100のお題・(ハウルの動く城より)

061. 呪(しゅ)

 

ふ〜ん、それで?

 

だから、ソフィーに呪いをかけた。

 

で、何が言いたいわけ?

 

だから、ソフィーがお前を好きになったのは

おいらの呪いのせいだ。

 

で?

 

だから、呪いを解く。

 

すれば?

 

・・・・いいのか?

 

とめてもやめないだろ?

 

呪いに縛り付けられるのはもうたくさんだし、

おいらソフィーが好きだし

だから、ソフィーを開放してやりたい。

 

・・・・・・・

 

ほんとにやるからな。

 

やっても無駄だと思うけどね。

 

・・・どういう意味さ。

 

言葉どおりだよ。ソフィーの呪いを

お前が解いたとしても、何もかわらないさ。

お前が何をやったとしても、

僕はソフィーを開放してやるつもりはないし。

 

ハウル、お前いいかげんにしろよ。

あんな若い純粋な娘まで、毒牙にかけるな。

 

まあ、せいぜいがんばってみることだな。

お前の本当の気持ちなんてわかりきっちゃいるけどね。

 

・・・・どういう意味さ。

 

言葉通りだよ、青びょうたん。ソフィーを呪いから

開放してやりたいわけじゃなくて、

僕にとられるのがいやなんだろ。

 

・・・そうさ、おいらはソフィーが好きなんだ。

だから、お前みたいにいいかげんな気持ちで

いるやつにソフィーを渡してやるつもりはないね。

 

いいかげん、ね。

 

そうじゃないか。ソフィーに一緒に暮らそうって

言っておきながら、いまだ女をナンパしているような

女たらし、ソフィーに相応しくない。

 

確信出来なかったからな。

 

 

そのわけもわかったけど。

お前の呪いのせいだったなんてね。

でも、おかげで対処のしかたがわかったよ。

 

どういう意味さ。

 

いいから、早く呪いを解いてやれば?

 

・・・もうやった。

 

ふ〜ん。んじゃ、呪いをかけなおすとするか。

 

ハウル!!

 

おかしいと思っていたんだ。

ソフィーの気持ちにお前の呪いが混じっていたせいで

いらない取り越し苦労をさせられたよ。

今度こそ、ソフィーの心を僕だけの

ものに出来る。

 

ハウル!!

 

もう遅いよ。

ほんとのとこは、お前だってわかっているんだろ。

ソフィーがいなければ、僕の心は

壊れてしまう。そうしたら、どうなる?

僕はインガリー最強の偉大な魔法使いだよ。

せっかく戻ったこの心が壊れてしまったら、

魔王どころか、力が暴走してインガリーに最悪の災いを

もたらす怪物になっちゃうだろうな。

 

ハウル・・・

 

ソフィーがいるんじゃなけりゃ、この世界がどうなっても

知ったこっちゃないんだけどさ。

僕はソフィーが好きなんだ。

だから、ソフィーが幸せでいてくれるために

必要な呪というわけさ。

 

・・・屁理屈。

 

なんとでも。

 

・・・お前、そんなにソフィーが好きなら

なんで、ナンパを続けていたんだ。

ソフィーを悲しませるなよ。

 

もうしない。

必要ないからね。

 

・・・ほんっと、お前って利己主義者。

 

なんとでも。僕の外見に惑わされない

ソフィーに、好かれる自信なんてないからね。

やっと、僕だけのものにできるよ。

 

呪をかけてまで?

 

僕らしいだろ?

 

・・・・ソフィーを悲しませたら

おいらが、その呪を解いてやる。

 

カルシファー。

 

何だよ。

 

僕を敵にしないで。

 

・・・・・・

 

 

真夜中にひっそりと交わされたそんな会話を

知らないで、ソフィーは悲しみに曇った

瞳を閉じて、夢の世界に逃避していた。

 

ソフィーがこの城を出て行くことを決意した

前の晩の話である。

 

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友林的ハウルとカルシファー。二人はライバル?

ハウルもカルシファーも腹黒すぎ。

今に痛い目をみせちゃる。

ていうか、消えてしまったハウル話2に続くんだけど

いつになったら仕上がる事か。