100のお題・On Your Markより

081. Friends Again

 

この手のぬくもりを知っている・・・

ほかには、何も覚えていないのに

この手のぬくもりだけは、なぜか覚えていた。

 

気がつけば、疾走する車の中にいた。

傍らで運転しているのは、あのぬくもりの主。

声をかけるまもなく、追われていることに気づく。

「飛べ!」

「飛んで逃げろ。逃げろ!」

奇妙な浮遊感。

高架ロードが破壊され、車ごと下に落ちていく。

なのに、まるでスローモーションのように時間がゆっくりと流れていて。

「飛べ!」

両手で、羽ばたく真似をしているもう一人のぬくもりの主に

自分の翼の存在を思い出した。

手の中にある、ぬくもりをくれた人を見る。

「一緒に・・・」

「無理だ。君だけでも助かってくれ。」

「手を離せ。死なせるために連れ出したんじゃない。」

「頼む、飛べぇ。」

「いやっ。一緒に。」

コノテハハナサナイ・・・

 

瞬間、車が建物に突っ込む。

矛盾を感じる暇も無く、手を引かれるまま

黄色い自動車に飛び乗ると希望へ続く

トンネルをひた走った。

警告のマークを無視して

飛び出すと、そこは光と緑に満ち溢れていて。

そうして、

一面に響き渡る歓声に

陽気な笑い声。

 

「さあ、行きな。」

風にのって、心を広げて、あるべき場所へ。

「翼を動かして。」

両手のぬくもりが、体中に行渡って、

「いけ!空に!」

ファサ

瞬間、飛翔。

受け取った暖かさを抱きながら

高く、高く、高く。

聞こえるのは、風を切る音と自分の笑い声。

どこまでも、どこまでも。

本能に導かれるまま。

「行ったな。」

「ああ。」

「本当に、飛べたんだなあ。」

「何を今更。」

「綺麗だなあ。」

「・・・ああ。」

「地上って、こんなに綺麗だったんだな。」

「ああ。」

 

美しい世界。

自分たちの不自然な体には

ふさわしくないほどの輝きに満ちた・・・

 

「悪くない、なあ。」

「ああ。」

穴倉の中で永らえるよりも、ずっと、いい・・・

飛んでいったあの子の綺麗な姿。

最後に目に映った光景・・・

さ・・いこ・・う・・・の・・・・

 

暗転

ファサ

 

オキテ・・・オネガイ・・・

「ただいま、大切な人たち。」

イッショニイキマショウ・・・

ズットイッショ二・・・

 

 

おしまい

 

100のお題目次へ   テキスト2目次へ

 

あう、あう、正義の味方が悪の秘密結社につかまっていた

天使ちゃんを助け出すお話かと思っていたら

そんな単純なものじゃなかった・・・

ノリは、カリオストロの城でクラリスを助けようとするルパン一味って感じなのに。

世界は、ナウシカの時代から数千年たっていて

汚染された世界に適応した結果、

浄化の進んだ自然界は、人間の体にはもう毒で。

天使ちゃんが生きられるお外の世界では、

単なる人間は生きられないなんて

そんな、殺生な。宮崎監督ってば。

あの後、マスクも無く地上に飛び出したあの2人の運命は

死ぬしかないってことですか。

・・・究極の男のロマンっつうやつ?

いや〜ん、そんなの認めないし。

いいや、展開場面が変わったのは、

天使ちゃんの意思の力ってことにしちゃえ。

だから、あの後天使ちゃんが戻ってくるの。

一緒に生きることを望んで。

え?

だめ?

ま、いいじゃん。

結局天使ちゃんの正体もはっきりしているわけじゃないんだし

ん〜、もっとも、トリウマみたく、人間に遺伝子操作された

生命体の可能性が一番高いかも?だから、

友林的設定では、ついでに運命を意志の力で変える

無自覚の超能力者ってことにしちゃえ。

 

OnYourMarkを見たことある方にしか通じない話で、すみませ・・・