【トップページへ】

ギター/ベースのスケールの覚え方2
 〜拡張配置編〜


●Introduction
   前回、手をほとんど動かさずにドレミを弾く、いわゆる「ボックスポジション」というスケール配置を学んだ。

 さて、実際のインスツルメンタル(楽器だけで演奏する曲)では、音域が広くなるため、ボックスポジションの範囲だけでは間に合わない事が多い。ボックスポジションを飛び出した時に、ドレミの位置がわからなくなるようでは困る。そこで、ボックスポジションの拡張を行う。
 スケールの拡張では、複数のボックスポジションを往復する事になるので、それぞれのスケールをしっかり把握している事が前提となってくる。


●全体の俯瞰図
 まず、覚え方の方法だが、私は物覚えが悪いので、なるべくシンプルな方法が良い。
 いろいろ考えた結果、「超多弦ギターのスケールを連結したものを覚える」という方法を採用する。
 ↓これは覚えなくて良いが、このイメージで拡張する。
←ヘッド側  ブリッジ側→

 要するに前後にスケールをくっつけた格好だ。


●ボックスポジションの分析
 分析と言えるほどの中身ではない。むしろ「そりゃそうだ」とか「当たり前だ」という話だ。

 まず、前回の復習だが、ボックスポジションを作る際に、3音ずつ区切って積み重ねて作った。

 緑のゾーンを例にして説明すると:
(ド_レ_ミ)の上に(ファ_ソ_ラ)、下に(ソ_ラ_シ)が並ぶ。


 一方(ド_レ_ミ)を中心に考えると、その弦のヘッド側に(ソ_ラ_シ)、ブリッジ側に(ファ_ソ_ラ)がある。

 当たり前と言えば当たり前である。
 ローポジションやハイポジション側に移動する事を考えた場合、そのスケールパターンは、あるポジションの隣の弦の並びと同じになる。
 隣接するスケールパターンは、規則さえわかれば改めて覚える必要がないのだ。



 「いや、そんなこと偉そうに言う事じゃないだろう」的な内容だが、スケールなんてそもそも難しいものではない。


●ハイポジション移動
 整理してみる。
 ボックスポジションを展開すると、(ド_レ_ミ)の上に重なっていた(ファ_ソ_ラ)=緑ゾーンの上部分が、(ド_レ_ミ)=緑ゾーンの中央部分のブリッジ側に来る。
 
 そして、それを起点にしてスケール展開すると、スケールのハイポジション移動ができる。

●ローポジション移動
 改めて言う事ではないだろう。ローポジション移動も同じ原理で移動できる。
 



●ゾーンごとの隣接規則
 あとは、隣の弦のスケールパターンが、ヘッド側/ブリッジ側にどのように接続するかを覚えれば良い。
 前後合わせて14パターンあるのだが、規則は至って単純だ。

【法則1】赤および青のゾーンの前後は、全音接続になる。つまり、フレット1個分の空白が来る。


【法則2】緑のゾーンに限って、半音接続になる。つまり、すぐ隣にくっつく。


【法則3】緑のゾーンから赤および青のゾーンに接続する場合は、法則1の通り、全音接続になる。

 覚えるべき規則は以上、3つである。実質2つだ。これで14個の接続パターンを覚えた。

 その通りに接続されているかを、下図で確認して欲しい。
←ヘッド側  ブリッジ側→

 ボックスポジションの接続は、これでほぼ理解できたと思う。

 改めて言う。
 「覚えなくて良い」と言ったはずだ。
 しかし、もう覚えてしまったと思う。



●実践
 あとは実践である。頭で思ってい通りにはなかなか指が動かない。しかも、実際にギター上でやると、かなりの移動量になるので、位置を見失わないよう、よく考えて移動しながら把握していってほしい。

 あるポジションの6弦側から1弦までたどって、そのまま1弦をヘッド側またはブリッジ側に移動して1弦側から6弦側に降りてのような繰り返しをやると接続がわかってくるんじゃないかと無責任に思っていたりする。
 練習では、適当なタイミングでボックスポジションを移動してみるのも良いだろう。




●パターンその2(あるいはボツになったネタ)
 
 先ほど「いろいろ考えた結果」と書いたが、逆を言えばボツになったネタもあるということだ。
 ボツにするほどのダメな方法でもないので、載せておく。
 この図の上段は、絶対音表記(CDEF…)、中段が度数表記、下段が相対ド表記、一番下の指板が実際に対応するフレットで、その下にあるのが1弦または6弦の音である。上下方向の話はどうでもよい。

 肝心なのは左右方向だ。
 まず、中央がC-Ionianスケール(つまり、ドレミファ…の配列)である。ドレミを1音手前から(つまり、シドレミ…で)並べると、B-Locrianスケールになる。それが左側。同様に、ドレミを1音高い方から(つまり、レミファソ…で)並べると、D-Dorianスケールになる。それが右側。
 B-LocrianもC-IonianもD-Dorianも最高音と最低音が違うだけで、同じCメジャースケールを並べ替えたに過ぎない。どれを使っても同じ音で弾けるという関係にある。

 理屈の上ではそうなのだが、実際にスケールパターンを並べると、隣り合ったスケールは互いに関係のない、全く違うものに見える。(これがボツにした理由の一つ)

 細かく見ていくと、一応規則はある。

【法則1】青のゾーンと赤のゾーンについては、全音の隙間がある側にずれると、緑ゾーンになる。
【法則2】青のゾーンと赤のゾーンについては、半音の隙間がある側にずれると、それぞれ逆のゾーンに入れ替わる。
【法則3】緑ゾーンの上2段は、音が下がる方向に向かうと青ゾーンになる。
【法則4】緑ゾーンの下2段は、音が上がる方向に向かうと赤ゾーンになる。
【法則5】緑ゾーンの上1段で、音が上がる方向は緑ゾーンのまま。
【法則6】緑ゾーンの下1段で、音が下がる方向も緑ゾーンのまま。

 という具合に、細かすぎて覚えにくい。たいした事は書いていないが、ルールが多いと考えてしまいがちだ。(これもボツにした理由の一つ)
 また、互いにスケールがオーバーラップしているので、同じ音をどのスケールの立場で出せば良いかの迷いが生じやすいといった、実使用上での問題も生じる。

 単純に連結した方が指の移動量は大きくなってしまうが、ルールが単純で覚えやすい。