コード(chord)とは和音の事(複数の音の重なり)である。 たとえば「ド・ミ・ソ」や「レ・ファ・ラ」という3つの音を同時に鳴らしたようなものを言う。 ギターなどの楽器が鳴らす音のことや、押さえ方をコードだと勘違いする人もいるが、それはコードとは言わない。 単一の音(たとえば「ド」だけ)が鳴らされていれば、それは単音(single note:シングルノート)である。複数の音を重ね合わせたものがコードなので、単音で鳴っているものはコードとは言わない。 また、「Cのコードはこの形」「Fのコードはこの形」という具合に覚える訳だが、コードを鳴らす時の形(押さえる位置)は「コードフォーム」(=コードを鳴らす時の形)のことであり、コード(和音)ではない。この辺が曖昧になっていると、後々理解に支障が出る。 |
ギターにはギターのコードの押さえ方があり、ピアノはピアノでコードの押さえ方がある。違いは何かと言えば、単に押さえ方が違うだけである。同じコードであれば、出ている音自体は同じである。 たとえば「ラ・ド・ミ」というコードの場合のラの音に着目したとき、ギターとピアノでは実際の具体的な音の高低はある。しかし、それは高いラか低いラなのかという事の違いであって、ラの音である事に違いはない。ラの音(A音)は、440Hzの2倍、4倍…あるいは1/2倍、1/4倍…の周波数を持つ音を言う。…55Hz、110Hz、220Hz、440Hz、880Hz、1760Hz、3420Hz、6840Hz…のどれか、である。 音楽理論では、1オクターブ(周波数が2倍、あるいは1/2倍の関係にある音)の違いは同じ音であるという解釈をする。 仮に、ギターとピアノで実際のコードの音がまるごと1オクターブ違っていたとしても、同じコード名のコードであるなら、不協和音になることなく、互いにぴったり重なる。多少のオクターブの違いはあれど、出ている音の名前が同じだからだ。 ここでは、ギターのコードというよりも、もう少し本質的な話:コードそのものがどのように組み立てられ、どのような種類があるかという事に着目した話をする。 |
和音は、数個の音を組み合わせることによって明るい感じ、暗い感じという表情がある。これらの音を曲の中で次々と演奏していくことで、伴奏に表情をつけていく。 コードの移り変わりが伴奏の基本という訳である。 たとえば「ド・ミ・ソ」→「シ・レ・ソ」→「ド・ミ・ソ」と鳴らすと、あの「一同・礼」になる。 通常、曲の演奏という場合は、所定のコードをギターやピアノなどでジャンジャン・ジャカジャカ弾く事になる。 |
結論から言うと『弾きたい曲に出てくるコードだけ覚えれば良い』。 仮に暗記できたとしても、初心者のうちはどうせ指が追いつかないから覚えても無駄なのである。指に覚え込ませる方が暗記するより何倍も時間がかかる。将来使うかどうかわからないコードを片っ端から必死に覚えたところで、時間の無駄にしかならない。 コードはコードでその構造を理解するほうが早い。特にピアノのコードブックは買うだけ無駄である。 |
たとえば「ド・ミ・ソ」という和音は明るい感じがする。「レ・ファ・ラ」だと暗い感じがする。 コードには組み合わせによって、様々な名前がある。「ド・ミ・ソ」であればシー(C)という名前のコード名に、「レ・ファ・ラ」であればディーマイナー(Dm)というコード名になる。 例) Am7 ↑「A」(エー)が基準となる音(ルート音)、「m7」(マイナーセブン)が、その基準音に重なる音の並びを示す。 |
他の所でもう少し詳しく書くが、音の名前には2種類ある。音名(おんめい)と階名(かいめい)である。 音名とは、実際の音の高さを示す言葉で、A音=440Hzというような定義がされている。ロックやポップスでは、音の名前をドレミファソラシド(イタリア読み)ではなくC,D,E,F,G,A,B(シー、ディー、イー、エフ、ジー、エー、ビー)(英語読み)で言う。だから、キーボードの人に「チューニングしたいからAの音を鳴らして」と言えば、440Hzの音が返ってくる。互いのパートで言っている事が同じになるのでコミュニケーションがとりやすい。 階名とは、ある適当な音をドの音と見立てて、全音、全音、半音、全音、全音、全音、半音で区切った音の並びの名前を言う。慣例的に、階名としてドレミファソラシド(イタリア読み)を使う。階名読みの場合は、今キーが何であるか(ドの音が実際に何の音に置かれているか)を互いに確認しておかないと、パート間で具体的に何の音の事を言っているのかわからなくなる。このため、ロックやポップスの現場では、階名読みする事は少ない。 とりあえず、ここではドレミファソラシド=C,D,E,F,G,A,Bとしておくが、ドレミとC,D,Eでは実際には意味する事が違うということを覚えておいてほしい。 Am7 コードの全体の音の高さを示す音の名前がなぜ「A」と書かれてあって「ラ」ではないのかというと、Aが音名だからだ。 コード名が音名によって組み立てられているので、各パートのメンバーが集まって「じゃぁ、ここAm7で行くよ」と言えば、互いに音の高さを間違えることなく意思疎通ができる、という訳だ。 |
最も基本的なコードがメジャーコードである。もう少し格好良く言えばメジャー・トライアドと呼ばれるコードである。 Cメジャートライアド 要するにドミソの和音である。このコードは、単に「C」(シー)と呼ばれる。 ギターの話なのに鍵盤が出てくるが、コードの本質を学ぶ上では鍵盤の方がわかりやすいため、当面鍵盤で説明する。 Fメジャートライアド こちらは「F」というコードである。ファ(F)から鍵盤を1個飛ばしで3つ並んで「ファ・ラ・ド」の和音になっている。これもメジャーコードである。 |
こちらがマイナー・トライアドと呼ばれるコードである。 Cマイナートライアド マイナーコードは、2番目の音が半音下がる。このコードは、「Cm」(シー・マイナー)と呼ばれる。 Eマイナートライアド こちらはEm(イー・マイナー)である。ミ(E)から鍵盤を1個飛ばしで3つ並んで「ミ・ソ・シ」の和音になっている。これもマイナーコードである。 |
メジャーコードとマイナーコードは、どのように区別をつけるかと言うと、まず、押さえている鍵盤の一番左側(低い音)が、ルート音と呼ばれる基本の音になる。ここを基点として、それぞれの音がどれだけ離れているかで区別する。 メジャーコード メジャーコードはルート音を基点として半音ずつ(黒鍵込み)で4半音目と、同様に7半音目の3音を重ねたものである。 ド(C)の音から、半音4個目がミ(E)、改めてCの音から、半音7個目がソ(G)なので、Cというコードはそのような押さえ方になる。 マイナーコード マイナーコードはルート音を基点として半音ずつ(黒鍵込み)で3半音目と、同様に7半音目の3音を重ねたものである。 ド(C)の音から、半音3個目がミ♭(E♭)、改めてCの音から、半音7個目がソ(G)なので、Cmというコードはそのような押さえ方になる。 (Eマイナートライアド) Emは、鍵盤上では白鍵のみで1つ飛ばしで並んでいるため、形の上ではCと同じ押さえ方ではある。しかし、音の構成を改めて数えてみると、マイナーコードだとわかる。 ミ(E)の音から、半音3個目がソ(G)、改めてEの音から、半音7個目がシ(B)なので、Emというコードは白鍵だけの押さえ方になる。 |
音楽理論では、音の間隔を度数で数えることがある。同じ音が1度、隣り合った音が2度、一つ飛ばしが3度…という具合だ。 ドとドは同じ音なので1度、ドとレは隣同士なので2度、ドとミは一つ飛ばしなので3度…と数える。キーがCメジャーの場合、単純に白鍵で何個離れているかというのを数える数え方だ。 ソとラの間隔は全音差で2度という差である。シとドの間隔は半音差だが、これも2度だ。 3音で構成される和音は、基本的に根音(こんおん。ルートとも言う。基準となる音のこと)と、それに対して3度の音と5度の音を重ねる。 |
1つの音が半音違っただけでコード名が変わってしまうため、半音単位で数えた方が何かと便利である。 先ほど2度の音にはソとラのような全音間隔のものと、シとドのような半音間隔のものがある。より細かく言うと全音間隔のものは「長2度」という間隔になる。半音差は「短2度」となる。
同様に、3度の音にも「長3度」と「短3度」がある。長2度よりさらに半音上が短3度で、短3度のさらに半音上が長3度である。
4度と5度は、基本的に完全4度、完全5度と、それぞれ1種類しかない。「完全」と呼ばれる理由は、基準音の周波数と共鳴しやすい周波数関係にあるかららしい。完全4度の周波数比は3:4に、完全5度は2:3という関係になる。
完全度数(4度と5度)については、半音下がると減4度、減5度、半音上がると増4度、増5度という言い方になる。
6度、7度は、それぞれ長短の2種類ある。 完全5度の半音上が短6度、その半音上が長6度になる。
その半音上が短7度、その半音上が長7度だ。
8度は、根音の1オクターブ上になる。基準音の1オクターブ上の音は、周波数が2倍になるが、これも単純な共鳴関係(1:2)になるため、"完全"8度である。
完全度数になるのは、1度、4度、5度、8度だけである。 半音ずつ並べて整理すると、 完全1度(Perfect 1)(根音そのもの) 短2度(minor 2) 長2度(Major 2) 短3度(minor 3) 長3度(Major 3) 完全4度(Perfect 4 ) 増4度(augument 4)または減5度(diminish 5) 完全5度(Perfect 5) 短6度(minor 6) 長6度(Major 6) 短7度(minor 7) 長7度(Major 7) 完全8度(Perfect 8) という具合に呼ばれる。 省略記号で
完全8度から先は完全1度に戻って同じように短9度、長9度、短10度、長10度、完全11度…という具合に数えていく。 |
半音単位で度数を正確に数えると、コードの姿がハッキリ見えてくる。 ルートをCとした場合の表記と構造は以下の通り。
ルートをDとした場合の表記と構造は以下の通り。
メジャーコードは、ルート+M3(長3度)+P5(完全5度)である。 Cから始まってM3+P5だからCというコード Dから始まってM3+P5だからDというコード マイナーコードは、ルート+m3(短3度)+P5(完全5度)である。 Cから始まってm3+P5だからCmというコード Dから始まってm3+P5だからDmというコード …となる。 この理屈さえわかれば、どんなコード名でも何の音で構成されるかを簡単に導ける。 |
たとえば、G#m(ジーシャープマイナー)というのが出てきたとする。 これは何の音が重なっているか、言えるだろうか? 暗記しておかなくても、導き方さえわかっていれば、簡単に導ける。 (1)まず、度数を書き並べる。P1,m2,M2,m3,M3…。
(2)マイナーコードの構造に従って○をつける。マイナーコードはルート+m3+P5。
(3)具体的に音名を半音単位で書いていく。ルートがG#なので、G#,A,A#,B,C…。
(4)○が付いている音名を読み上げる。 よって、「G#mというコードは、G#,B,D#で構成されている」ことがわかる。 |
7度の音を加えたものが7th(セブンス)というコードである。 先ほどの「7度には長短の2種類ある」と言ったように、7thにはマイナーセブンスとメジャーセブンスの2種類ある。 記号としては ・短7度を加えた場合、単純に7が付く。 ・長7度を加えた場合、M7が付く。 追加される側にもメジャーとマイナーがあるので、組み合わせると4通り作れる。 ルートをCとした場合の表記と構造は以下の通り。
Cm7(シーマイナーセブン)は、mがC側に付いて、3度の音が短3度である事を意味する。7には何も付いていない事になるので、7度の音は短7度である。 CM7(シーメジャーセブン)は、Mが7側に付いて、7度の音が長7度である事を意味する。C側には何も付いていない事になるので、3度の音は長3度である。 ややこしいが、そういう書き方なのでそう覚えるしかない。 なお、コードのうち、7thまでわかれば、8割ぐらい事足りる。 |
コードには、転回形というものがある。コードの一部の音を1オクターブ上げたり下げたりして、配列を変えたコードである。 Cのコードは「ドミソ」だが、ドの音を1オクターブ高いドに移し替えて「ミソド」としたのが第一転回形、さらにミの音も1オクターブ高いミに移し替えて「ソドミ」としたものが第二転回形である。(さらにソも1オクターブ上げると、元に戻ってしまう) 7thのコードは4音なので、第三転回形まである。 |
転回形の使い方だが、基本的に他のコードに続く場合に使う。 たとえば、C→Gと進行する場合、単純にGのコードを鳴らすと、音全体の音が高くなって唐突に跳躍したイメージになってしまう(図(1))。 そこで、続くGのコードの一部の音を1オクターブ下げて、Cのコードとはなるべく動かないような音に転回する(図(2))。 これによって、C→Gという進行を滑らかにする事ができる。 |
希に、下記のように分数またはonで2つのコードを並べたような書き方に出くわす事がある。 Dm/A Dm on A これは、「分数コード」または「on(オン)コード」と呼ばれ「ベース音(一番低い音)を、指定された音にしなさい」という意味の指定になる。 通常、Dmというコード(D,F,Aの和音)は、Dの音が一番低くなるようにする。 Dm/Aというのは、Aの音を最低音とした転回形(A,D,Fの並び)で演奏しなさいという意味になる。 分母側は、単音で指定される。 前後の流れ的にDmをAから並べ直した転回形にした結果、Dm/Aになる事は多々あるが、コード名としてのDm/Aという指定は、この配列自体の響きを重視した指定となる。 また、変わった使い方として Dm/C のような分数コードだ。これは、Dmの構成音(D,F,A)ではない音が指定されている。 しかし、C,D,F,Aという4つの音を分析すると
F/Dm 滅多に見ないが、二階建てコードというものもある。ベース音が単音でなくコード指定されたものだ。
コントラバスやチェロといった低音系楽器でDmのコードを鳴らしつつ、バイオリンやビオラなどの高音系楽器でFのコードを鳴らして、全体でDm7にするというテクニックである。 実際問題として、少人数バンドでは二階建てコードが指定されたところで物理的にパート分けするのが無理であること、何が何でもF/Dmに従う必要があるのか?という疑問(要するにDm7だろ、これ)、現実的にベースパートを和音にするとルート音が不明瞭になって気持ち悪いアレンジになるといった問題も起きるため、コードを二階建てにした分数コードは滅多に見かけない。 |
鍵盤で説明してきたが、当然ギターにもコードがある。 ギターのCのローコードは下記のように押さえる。それをそのまま鍵盤上での音に置き換えたものも示す。 ギターのCのコード自体は5重和音になっているが、そこに含まれる音はドとミとソの3種類しかない。 コード理論上では、オクターブ違いの音は同じ音として扱うため、ギターのCのコードは5重和音なのにCという3和音扱いになる。 なぜギターが理屈通りに3本だけでなく6本全部鳴らす(例外はある)かと言えば、ギターの場合「せっかく弦が6本あるんだから、なるべく全部使った方が音に厚みが出ていいよね」という話である。 ピアノ(キーボード)の方も同様に、理屈通りに3音だけで弾いては貧相なので、実際の演奏ではルート音(ベースの役目)を足したりもする。 Cのピアノでの実際の演奏例 この辺になるとアレンジの問題にも絡んでくるので割愛する。 要するに「C」というコードを弾く場合、ピアノもギターも「C,E,G」の3種類の音を出しているだけである。 押さえ方が違うのは「C,E,G」の3種類の音を、どのように押さえて出せば良いかという違いにしか過ぎない。 |
「コードっていったい何種類あるの?」という事で、ほぼ全部書き出してみた。 もちろん、全部覚える必要はない。 弾きたい曲に出てきたコードだけ覚えれば良い。 三和音(Triad)
Cm…マイナートライアド(Minor Triad)。3度の音が短3度 Caug…オーギュメントトライアド(Augumented Triad)。メジャートライアドの5度を半音上げたもの。 Cm♭5…ディミニッシュトライアド(Diminished Triad)。マイナートライアドの5度を半音下げたもの。本来「Cdim」という書き方だが、四和音の方でCdimと書く事が多い。5度を半音下げたということで、Cm♭5という書き方にしてある。 Cm(#5)…変化和音。後述。 C(♭5)…変化和音。後述。 四和音(長6度付加)
※短6度は♭13thのテンションノート扱いになるため、シックスコードの変化形扱いにならない。 四和音(短7度付加)
Cm7…マイナー・セブンス・コード(Minor 7th chord) C7(#5)…オーギュメント・セブンス・コード(Augument 7th chord) Cm7(♭5)…マイナー・セブンス・フラットファイブ・コード(Minor 7th(♭5) chord) Cdim…ディミニッシュ・セブンス・コード(Dimiish 7th chord) Cm7(#5)…変化和音。 C7(♭5)…変化和音。 四和音(長7度付加)
CmM7…マイナー・メジャー・セブンス・コード(Minor Major 7th chord) CM7(#5)…オーギュメント・メジャー・セブンス・コード(Augument Major 7th chord) CdimM7…ディミニッシュ・メジャー・セブンス・コード(Diminish Major 7th chord) CmM7(#5)…変化和音。 CM7(♭5)…変化和音。 その他 (sus4)Suspended 4th chord
3度の音が無いためにメジャー/マイナーの感じがしない事から、装飾的なコードとしてよく用いられる。 (変化和音(Altered chord)・減5度)
(変化和音・増5度)
(その他の変化和音)
(パワーコード)
和声学的なコードではないためコード名表記に特に決まりは無く、メジャートライアドと同じ書き方になることも多い。 便宜的に「C5」のように書く場合もある。 正式な書き方としては「C ommit3」(Cのコードから3度を抜いたもの)となるが、その書き方をしている例はほとんどない。 (sus2)
Csus2の転回形がGsus4なので、和声学的にはsus4で扱われる。 |
コード名が別なのに、構成音が同じになるコードを、互いに「異名同和音」という。 メジャー6th←→マイナー7th
マイナー6th←→マイナー7th(♭5)
このような例は数多い。次に示すテンションコードも、組み合わせ的にはもっとあるのだが、7thコード等と異名同和音関係になる(機能的にも7th等のコードになってしまう)ため、テンションコード自体は、それほど数は多くない。 |
緊張感を与える、非和声音を含むコード。通常のコードが主に根音、3度、5度、7度で構成されるのに対し、9度(=2度)、11度(=4度)、13度(=6度)のテンションノートを加えたコード。さらにその上の15度の音は、ルートの2オクターブ上になって元に戻ってしまうため、テンションは9度、11度、13度の3つしかない。 テンションコードは、料理で言えばスパイスのような存在である。スパイスが主食にならないのと同様、テンションコードが通常のコード進行の中核になる事はない。しかし、適度に使う事でコード進行に適度な緊張が加わり、より効果的に使う事ができる。 テンションコード自体は非常に不安定で緊張を伴う(一瞬、音が外れたように感じる)ため、次に安定的なコードを持ってきて安心させる(解決する)ような使い方をする事が多い。これを、テンションリゾルブという。 |
9th系
♭9と#9は、ドミナント7thのみに限定される。 9thは根音と隣接するため、根音が省略される場合がある。 ディミニッシュコードは流動的(転回形が異名同和音になる)であるため、根音がハッキリしない。このため、付加音は実音で記載される。 9th、♭9thは、rootに向かって解決しようとする。 #9thは、♭9thを経由してrootに向かって解決しようとする。 11th系
11はマイナーコードのみ、#11はM3を含むメジャーコードのみ。 11thは3度の音と隣接するため、3度の音が省略される場合がある。 11thは、m3に向かって解決しようとする。 #11thは、M3またはP5に向かって解決しようとする。 13th系
13,♭13はドミナントセブンスコードのみ。 マイナー7thコードに対する13thの適用は、特殊な場合のみ。 13thは5度の音と隣接するため、5度の音が省略される場合がある。 13thはP5に向かって解決しようとする。 ♭13thはP5かdim5に向かって解決しようとする。 M7th系
9th+11th
9th+13th
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ということで、(音楽的に使える)50種類並べてみた。
実際にはここで登場したコードの8割は使わないと思う。たとえば、テンションコードは不協和音的な不安定要素があって美しい響きにならないため、ジャズなどでない限り、あまり見かける事はない。 要するに使いもしないコードを片っ端から覚える事に意味はないということである。 |
見かけない訳ではないが。
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