だいだいこの手の話はストーリー性が無いし、辞書的に使えるようにまとめてしまうと、ただのコードブックになってしまって、無意味なものになってしまう。かと言って、たいしておもしろくもないので、読んでいる途中で睡魔に襲われやすい。という訳で、分割することにした。 眠い話の続きである。 |
sus4は、3度の音を含まないコードなので、明るいとか暗いという感じを受けないコードである。これと言ってカラーを持たないので、ちょっとした変化を付けたいときの装飾的なコードとして好んで使われる。 しかも、たとえば、E→Esus4という具合に、同じルート音でメジャートライアドとsus4が並ぶ事が多い。特に弦1本で3度の音を変更できる系列のコードだと、sus4が作りやすく、指1本を添えたりずらしたりするだけで済むので、手軽に装飾する事が可能だ。
D系sus4 基本パターン(オープンコード) DとDsus4とD7sus4
D
Dsus4
D7sus4は、さらに、2弦を短7度に変更する。
D7sus4
E系sus4 基本パターン1(オープンコード) EとEsus4とE7sus4
E
Esus4
E7sus4
E系sus4 基本パターン2(バレーコード) FとFsus4とF7sus4
F
Fsus4
F7sus4
※F#sus4、F#7sus4(2フレットバレー) Gsus4、G7sus4(3フレットバレー) G#sus4、G#7sus4(4フレットバレー)は、このタイプのバレーコード。 A系sus4 基本パターン1(オープンコード) AとAsus4とA7sus4
A
Asus4
A7sus4
A系sus4基本パターン2(バレーコード) BとBsus4とB7sus4
B
Bsus4
B7sus4
※A#sus4、A#7sus4(1フレットバレー) Csus4、C7sus4(3フレットバレー) C#sus4、C#7sus4(4フレットバレー)は、このタイプのバレーコード。 D系sus4番外編(オープンコード) Dsus4とD#sus4 D#sus4は、Dsus4を1フレットずらした上で、4,5,6弦を弾かない。
Dsus4
D#sus4
sus4コードは、3和音なので、弦が3本鳴っていればコードとして充分成り立つ。D系sus4 番外編1(ハイコード) D7sus4とD#7sus4
D7sus4
D7sus4を1フレットずらすと、D#7sus4になる。
D#7sus4
5弦は押さえきれないのでミュートする。D#7sus4の場合は、4弦を弾かないパターンもあるが、ルート音が無くなってしまうし、ルート音を入れても充分押さえられるので、弾けるならこの形でも良い。 G系sus4 番外編(オープンコード) GとGsus4とG7sus4
G
Gsus4
Gsus4の構造は、Root=G、P4=C、P5=D。6弦の記号は、弾いても弾かなくてもいいが、無理なら弾かなくていいという意味である。現実的に押さえるのが難しいく、GとGsus4を交互切り替えは手軽な装飾とは言いにくい。実際、ローコードのGにはM3が2カ所あるので、sus4にするにはその2カ所を1フレットずらさなければならない。このため、かなり無理のあるポジションになって押さえにくくなる。無理に5,6弦は弾かなくても雰囲気は出るし、重厚感を残したければ6弦だけ弾いて5弦をミュートするのも有りだろう。
G7sus4
G7
G7sus4になると、1弦がm7になって押さえやすくなるため、5,6弦を弾くスタイルになる。しかし、G7と並べた限りでは、あまり使い勝手は良さそうには見えない。 |
シックスコードは、シックスコード(C6など)とマイナーシックス(Cm6など)の2種類である。
A系6コード 基本パターン(オープンコード) AとA6とAm6 Aコードをシックスコードにする場合は、1弦のP5を1音上げて、M6にする。 Am6は、2弦のM3を半音下げてm3にする。
A
A6
Am6
A系6コード 基本パターン(バレーコード) BとB6とBm6 A系のコードを2フレットバレーにすると、B系のコードができる。 シックスコードについても、例外なく、2フレットバレーでB6、Bm6ができる。
B
B6は、人差し指バレーと、小指バレーのコンビネーションで押さえられる。
B6
Bm6は、理屈の上では、下記の押さえ方になる。しかし、実際には指の数が足りず、押さえる事ができない。
Bm6(完全形)
仕方ないので、Bm6はバレーコード形式はやめ、5,6弦を弾くのをあきらめて、指4本で1~4弦を弾く。
Bm6(一般形)
このノリで、A#m6、Cm6、C#m6…ができる。E系6コード 基本パターン(オープンコード) EとE6とEm6 勘が鋭い人は、もうわかったと思うが、E6は2弦のP5を1音上げて、M6にする。
E
E6
Em6
E系6コード 基本パターン(バレーコード) FとF6とFm6 Eを0フレットバレーとみなして、1フレットずらしたのがFであるのと同様、F6、Fm6ができる。
F
F6
Fm6
※F#6、F#m6(2フレットバレー) G6、Gm6(3フレットバレー) G#6、G#m6(4フレットバレー)は、このタイプのバレーコード。 D系6コード 基本パターン(オープンコード) DとD6とDm6 D系のシックスコードは、2弦のP8(ルートのオクターブ違いの音)をM6にする。 P5を1音上げてもいいのだが、バレーコードにしたときに弾きにくくなる。
D
D6
Dm6
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ディミニッシュコード自体が、すべての音が3半音ずつ並んでいるために根音のハッキリしないコードで、転回形が他のディミニッシュコードになる。つまり、同じ押さえ方で4通りのコード名が付いている。
Dm6とDdim ギターにおけるディミニッシュの基本はDdimである。 Dm6とDdimという、機能的にまるで違うものを並べたが、単にDm6を変形元として利用しただけである。 ディミニッシュの減7度は、短7度よりさらに半音下がった音で、音の種類で言えば長6度と同じだ。そこで、長6度の音を減7度に読み替えた上で、完全5度の音も半音下げてディミニッシュコードを作る。
Dm6
Ddim
Ddimを半音上げたのがE♭dim。♭表記にしているのは、ディミニッシュの性質上から来るだけで、実際は調性に伴って根音が決定されるので、D#dimと呼ばれる場合もある。
E♭dim
さらに半音上げたのがEdimである。
Edim
FdimではDdimと押さえ方が同じで、実際出ている音も同じなのだが、コードの成り立ちとしての構成音が変化していることに注目したい。同音異名コードの関係だ。
Fdim
G♭dim
Gdim
同じように、A♭dimはFdimやDdimと同じ形に戻ってまた1フレットずつずれていくという事を繰り返す。当然、ハイコードは、この形のまま高いフレットに移動する。 |
オーギュメントは、メジャートライアドの完全5度を半音上げたコードである。
AとAaug ギターにおけるオーギュメントの基本はAである。 Aコードの完全5度の部分を半音上げる。
A
Aaug(完全形)
実際には、この形は押さえにくく、全体をずらして他のコードにしにくいため、5,6弦を省略する形にする。
Aaug(一般形)
他のaugコード オーギュメントは、ディミニッシュと同様、各音が4半音ずつの等間隔で並ぶコードのため、転回形が他のオーギュメントになる。ギターでのオーギュメントは、このパターンでずらしていくだけで、途中で1フレットに戻って巡回する。
A#aug
Baug
Caug(ハイコード)
↑↓同じコード。
Caug(ローコード)
C#aug
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マイナーセブンフラットファイブは、ダイアトニックコードの中でも登場するので、時折見かけるコードではある。
ダイアトニックコードとは言え、他のダイアトニックコードと比べても響きが独特で、このコードから別のコードに進行しにくい事もあって、ダイアトニックコードの割にはポピュラーには見かけないコードだ。マイナートライアドでごまかすケースも多い。(例:Cメジャーの曲なのに、Bmが使われる場合など。) さて、押さえ方だが、C7からの変形のパターンと、Emからの変形パターンの2通りだ。
C系m7♭5 基本パターン
これの3弦を短7度に変化させると、C7になる。
C7
多少強引だが、さらに2弦を3半音上げて短3度に、4弦を2半音上げて減5度にする。そうすると、Cm7♭5ができあがる。
Cm7♭5
1弦と6弦はミュートしてごまかす。開放がE音(完全5度)でコード構成音ではないため、鳴ってはまずい。仮に無難な音にするにはさらに半音下げる必要があるので、ミュートするしかない。C#m7♭5に限り、1弦と6弦の開放弦が鳴っても構わないが、他のコードではポジションが違う上に指も足りないので、1,6弦はミュートするのが普通だ。 E系m7♭5 基本パターン Em7とEm7♭5 まず、Dm7である。
Dm7
これを2フレットずらしてEm7を作る。
Em7 5度の音を半音下げると、Em7♭5ができあがる。
Em7♭5
いずれのパターンも開放弦を含まないので、位置をずらすだけで他のコードを作る事ができる。 |
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add9は、コード構成音としては、メジャートライアドに長9度を加えたテンションコードである。セブンスとは違った陰りを持つので、比較的よく見るコードだ。例として、Dsus4-D-Dadd9というような進行は、なんとなくそれっぽい動きになる。 ギターコードとしては、基本パターンが何通りもあるので、非常に覚えにくい。また、いずれも構成音は3度省略形になっている。 |
基本パターン1。
Cadd9
C#add9
Dadd9、D#add9…などは、この形をスライドさせていく。個人的にはF#add9型やAadd9型の方が押さえやすい気がする。 基本パターン2。
Fadd9
F#add9
Gadd9、G#add9…などは、この形をスライドさせていく。基本パターン3。
Aadd9
A#add9
Badd9、Cadd9…などは、この形をスライドさせていく。基本パターン4。
Dadd9
D#add9
理屈の上では、Eadd9、Fadd9…などは、この形をスライドさせていくことになるが、このポジションはあまり見かけない。番外編(1)
Cadd9
バレーコード形式は1,6弦ミュートが辛いために無い。 |
ここまで来れば、ギターコードのハンドブックに出てくるようなコードの大半を把握した事になる。 もちろん、コードはさらに多くの種類があるが、分析や別のコードへの発展のさせかた自体は充分わかったと思う。 当たり前の事だが、ここに書かれている事を知ったからと言って、上手く弾けるようになれる訳ではない。 上手く弾けるようになるには、練習するしかない事だけは言っておく。 |