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ギターとベースの違い

 バンドが演奏している様子を見ると、ギターとベースという、一見すると似た楽器がある。
 とりあえず、並べて違いを見ていこう。

 左側の緑色の方がギター(エレキギター)で、右側の白い方がベース(エレキベース)である。
 (安物で申し訳ない)

●音域が違う
 
 ベース(Bass)は、読んで字のごとく、低音を出す楽器で、低い音を出すために太い弦が張ってある。
 通常は、ベースの方がギターより1オクターブ低い音が出るようになっている。

 


●弦の数が違う
 
 外観の特徴としては、弦の数に違いがある。ヘッド(先端)の部分を見てみよう。
 ギターは弦が6本ある。

開放弦(どこも押さえないで、そのまま弾いたとき)の音は、次のようにしておくのが一般的である。
1弦:E(329.6Hz)(一番細い方)
2弦:B(246.9Hz)
3弦:G(196.0Hz)
4弦:D(146.8Hz)
5弦:A(110.0Hz)
6弦:E(82.4Hz)(一番太い方)

 (何Hzかということは、覚えなくて良い。)


 ベースは(通常は)弦が4本しかない。

1弦:G(98.0Hz)(一番細い方)
2弦:D(73.4Hz)
3弦:A(55.0Hz)
4弦:E(41.2Hz)(一番太い方)


 ギターなのかベースなのかの区別は、楽器の先端にある糸巻き(ペグ)の数を数えると区別がつきやすい。

 なお、ベースには、弦が5本以上あるものもある。
 ↓は、5弦ベース。中にはもう1本増えて6弦ベースというのもある。こうなると弦の数だけでは区別がつきにくい。

5弦:B(30.9Hz)(さらに太い方)
 


●大きさが違う

 ナット(先端の弦をひっかけてある部分)から、ブリッジ(下側で弦をひっかけてある部分)までの長さをスケールという。
 ギターのスケールは、24.75インチ(Gibsonの場合)〜25.5インチ(Fenderの場合)程度あるのが一般的である。写真はPRSのギターで25インチである。
 一方、ベースの場合は34インチ程度(32〜35インチ)ある。
 ベースは、低音を出す楽器のため、必然的に弦の長さ(スケール)が長くなる。このため、ベースの方が全体的に大きくなる。見た目でも特にネック(棹の部分)が長い。

 ベースの方がスケール長が1.3倍以上あるのに、本体にそれほど大きさに違いが無いのは、ブリッジの位置が違うという点もある。
 ギターはボディ中央近辺にブリッジがあるが、ベースはボディの下ギリギリにある。ベースではできるだけ長い弦を実用的な大きさのボディに張る必要があるため、ブリッジがボディ下端に配置される。



●弾き方が違う

【ギター】
 ギターは、おもにピックで弾く。指で弾くこともあるが、その場合は親指が太い弦を、人差し指、中指、薬指でそれぞれ細い弦を担当するような弾き方になる。(クラシックギターは、そんな感じ)
 ギターをピックで弾く場合は、弦を1本ずつ弾いて単音で弾く場合と、一気に振りおろして弦全部を弾く(ストロークする)場合がある。ストロークは、ギター独特の奏法だ。

【ベース】
 ベースは、ピックで弾くこともあるが、比較的指で弾くことの方が多い。エレキベースはそもそもコントラバスをエレキ化したものということもあり、指で弾く場合はピッチカート奏法をする。具体的には親指をピックアップに乗せ、人差し指と中指で交互に弦をはじく。
 ベースは基本的に和音を弾かないため、ギターのようにストロークすることは(基本的に)無い。ピックで弾く場合は、基本的に1本ずつ弾くことになる。
 また、ベースは、役割としてリズムを刻む役目があるため、親指でたたきつけたり、人差し指で弦を引っ張って弦をフレットにたたきつけて、パーカッションのようなパキパキした音を出す奏法(スラップ奏法。昔はチョッパー奏法とも言った)もある。
 ピックで単音を弾く場合は、弾き方としては互いにあまり区別はつかないが、それ以外の奏法の場合はまったく弾き方が違う。



●役割が違う

 別のところで書いたので繰り返しになるが…。

【ギター】
 メロディを単音で弾いたり、伴奏として和音を弾いたりする。比較的わかりやすい楽器だ。

【ベース】
 ベースはドラムと共に低音でリズムを刻んでいく。基本的にメロディ(わかりやすい旋律)を弾くことはなく、ベースラインと呼ばれる、ベース独特のメロディを弾いていく。

 ベースは形こそギターではあるが、実際の役目も弾き方もギターとは似ても似つかない楽器である。



●難易度が違う

 どちらが簡単ということはない。

【ギター】
 ギターは、基本的に和音を弾く楽器なので、指でいくつかの弦を同時に押さえて、複数の弦をいっぺんに弾く。同時に複数の弦を扱うため、そう簡単には弾けるようにならない。
 ある程度のレベルになるまでは、苦労する楽器である。

【ベース】
 ベースは、基本的に単音でしか弾かない。弦も4本しかない。そういった点ではギターよりも手軽ではある。簡単な曲だと、1小節ずっと同じ音であることも珍しくないため、簡単な曲を通して弾けるようになるまでという事だけなら容易な楽器ではある。
 しかし、土台となる楽器なのでミスが許されないし、リズム楽器である側面があるため、正確なリズム感も要求される。メロディを引き立てる役でもあるので、「なぜベースがこの音を弾くのか?」ということになってくると、ギター以上にコードに対する理解が要求される。なかなか奥が深い楽器だ。

 ギターは0→1が難しい楽器で、満足に弾くことができずに挫折するパターンが多い。ベースは1→2が難しい楽器で、ソコソコ弾けるようにはなれるが、そこから伸び悩んでしまう事が多い。



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