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コメコイ4 

登場人物

柳 美琴(やなぎ みこと)
new主人公。
クラスからは、色々と言われ、いじめを受けている少年。
理由は、在る事件が発端らしいが?
幼馴染である由恵や、その友達川梛姉弟とも仲良くなっている。

岬 由恵(みさき ゆえ)
newヒロイン。
いつも美琴を気にしている乙女ストーカーっぽい少女。
最近、美琴がいじめられていることを知らない…というよりも、ケンカするほど仲がいいと思うほどの天然。

川梛 薫人(かわなぎ しげと)
似ても似つかない、二卵生の双子の弟。
姉、百合人に頭が上がらない。

川梛 百合人(かわなぎ ゆりと)
似ても似つかない、二卵生の双子の姉。
弟にはきついが、美琴には、少々甘くて?

千島 雄恋治(ちしま おれんじ)
名前をよく馬鹿にされる少年。
13歳なだけに、まだ子供っぽい部分も?

千代島 咲蘭歩(ちよじま さくらんぼ)
名前が気に入っている少女。
周囲からも評判が良く、かつ美人で、だれからも告白される、一種のクラスに一人はいるモテモテな人。美琴の彼女。

制作未定。

変更の可能性が小あります。

---------------------プロローグ------------------------

それは、ある高校での出来事である。

「遅刻ーー!!!」

そう言ったのは、早朝の7時〜8時にかけて、家から全力疾走をする柳 美琴の姿である。
彼が遅刻しそうになったのは、ある出来事がきっかけであった。

その日の朝

美琴は、重い瞼を開けて、カーテンを開く。
すると、光が一気に部屋に入り、文字通りの眩しいという感覚になった。

「ふぁあ…つかれた…。」

美琴は、学校でも優秀なサッカー部の部員。
今日も、そのサッカーをして、その帰って来た時のことだ。
家に帰ると、数分もしないうちに、眠りにつき、気がつけば朝になっており、どうやら爆睡と言ってもいいほどの睡眠をとっていたらしい。
ゆっくりと朝日を浴びながら体を起こして、まくらの近くにある時計を見て、ようやく目が覚める。

「…、えっと…は…七時ぃぃぃ!?」

美琴が通う、公立水鳥乃(みどりの)学園。通称 水学(みずがく)は、8時30分あたりから授業が始まる。
が、その前に朝の会と呼ぶべきものがあり、それは、その10分前、つまりは8時20分に開始される。
それに遅れたものは、問答無用で、その放課後にみっちりと反省させられるのである。

…、だが、美琴が起きたのは朝の7時である。
が、美琴の家から水学までは、1時間はかかり、その途中に電車が加わると、それにプラス10分。
つまりは到着すると、推定8時10分に着くことになる。
が、美琴の場合、起きた時刻が7時、そして準備を済ませるのを5分間、10分間と仮定しても間に合うわけがない。
それは、電車の待ち時間も加わることになるからだ。

「…とりあえず…頑張ってみるか…」

そう言って、準備を5分で済ませた美琴が、家の玄関の扉を開ける。
そして、全力疾走で、駅へ向かう。

…。そして、話は冒頭へ戻るのである。

「間に合え…間に合え…間に合えぇぇぇ!!!」

校門が閉まってゆく。
それが完全に閉まれば、遅刻確定である。
そして、校門が完全に閉まってしまった…。

プロローグはここまでです。



第一話 僕には、彼女がいます

「まっ間に合った…」

「お前…また寝坊か?」

と、校門を閉めていた教頭に笑われた。
教頭とは結構仲がいい方で、休み時間にたまに遊びに行って、一緒に話したりとする。
まあ、先生の中では一番の中というべきだろう。
この先生は、子供にも優しく、それに面白い。
学校中の生徒からの評判もいい。
だからと言って、ただの暢気者でもなく、やる時にはやる と言った人である。

「今…はぁ…何時…ですか?」

と、息切れした僕はそう言う。
それを聞いた教頭は、学校のほぼ中心に位置し、もっとも校舎の教室よりも高い位置にある時計を指さし、8時15分。
と言った。

「…間に合いますかね…?」

「なぁに、間に合わなかったら、俺が話し相手になって、みっちりと説教タイムを設けてやる」

と、相変わらずの笑顔でこたえる教頭。
その笑顔は、そのセリフ以外に、ほら、早くいけ!と言った厳しい言葉も混ざっているような感じもした。
だから、校舎の中を走った。
普段は走ってはならぬ校則だが、今の状況で走らなければ、居残りである…。
相手は教頭なのだが、それでも走る理由があった。

「あっ、美琴っ遅かったね」

「それ以外に言うセリフ、ないんでしょうか…?」

「まぁまぁ、そんなチワワみたいな目をしなさんなって、少し萌えてくるから」

「…まあともかくとして、今日ですよね?」

「なぜに敬語?まあ、そうだね今日だよ、君が遅刻してきそうな雰囲気であったから、彼女である私がここに来たわけだ、なんとも彼氏思いの彼女なのであろうか!うぅ…感動であるぞ!」

と、妄言のようなものを作り上げる目の前にいる八方美人は、傍から見れば、たしかにそうではあるが、僕から言わせてみれば、少し変わった人だと思えてくる。

「それで、その八方美人さんの彼氏である僕は、周囲から敵視されているのである」

「勝手に人のセリフを取らないでくださいっ!(っていうか、心の声を読むなぁー!!!」

と、大きく手を縦に振りながら必死に抵抗する僕。
だが、彼女の言う通り、僕は、そんな彼女の彼氏なので、特に同級生の同じクラスの子からは、結構な敵視を食らっている。

そして、いつものように彼女に助けられている。
そもそもの根源は貴女でしょうに…。

「それで、後1分でチャイムが鳴って、朝の会が始まると思うのだが?」

「やばっ!」

と、そこに教室の目の前で話をしていて、それに気がついたある一人の少年がその教室の窓から顔をのぞかせてそう言う。
彼の名前は、川梛 薫人。
彼には、双子の姉がいて、その人も同じクラスである。
そして、その教室に僕は向かう途中、彼女、つまりは僕の彼女である千代島 咲蘭歩に捕まって、3,4分の遅れ。
席に着いた時に、一斉に出席が確認され、それまで僕が自席に鞄を置かなくては、僕は居残りである。

僕は、教室の扉を開ける。
横式の扉。
外見から言えば、普通の教室。
特に違和感はないのだが…。

「っち、柳来たのかよ」

「あいつ、チョーシ乗りやがって」

「隣に千代島さんがいるからってよ」

「女に守ってもらうなんて、男として恥だぜ」

と、陰でこそこそ言われていた。

「…はぁ」

と、僕はため息一つ。
そう、僕はいじめを受けているのである。

第2話 僕は、いじめを受けている。

「大丈夫、美琴は、私が守るよ。」

と、隣にいる咲蘭歩が言う。
…そもそも、咲蘭歩が彼女になったから というのが理由で、いじめを受けているわけではない。
評判が悪いのは、なぜか…それはたぶん、 ‘殆話さない‘ からだろう。
僕は、入学直後の頃は、結構友達はいた。
けれど、今いるとすれば、彼女の咲蘭歩と薫人、それとその姉百合人のみ。

「おはよう、今日は朝が遅いね?寝坊?」

と、目の前に現れた、ショートヘアーの茶髪、さらに甘いようなシャンプーの香りがする女の子、岬 由恵。
幼馴染で、多少天然ボケなところが、周囲にもモテている。
というか、顔近づきすぎてる。

「あのさ、どーでもいいんだが、後30秒で鳴るからな。」

と、遠目で薫人が助言を残す。
すると、僕は疾風のごとく、自席へ足を急がせ、ギリギリでセーフ。
こうして、いつもの時間が流れていくのである…。

(−−−1時間目 国語−−−)

この時間、僕は殆寝て過ごしている。
それもそのはず、周囲を見渡せば、誰もが顔をうつ伏せになって、中にはいびきをかいて、先生に減点されているものもいる。
が、そんな中でも、僕の彼女は熱心に授業を受け、かつ僕の方を気にしている。
なぜか?
僕が睡眠を取ろうとすると、僕を悪く思う連中の悪の手が僕を襲おうとしているからだそうだ。
咲蘭歩に気がつかれないように、僕を襲おうとする主に僕の前後左右の席の方々。
それを悟るように、咲蘭歩が国語担当の江西に気がつかれないようにこちらの前後左右を睨みつける。
その睨めつける速さはほんの一瞬。
まさに、虎に目をつけられたエサが、周りの外敵からそれが狙われないように、監視するのと同じようだ。

「くぅ…くぅ…」

そのおかげで僕は、安眠ができるのである…。

そして、授業が終了するチャイムが鳴っても、僕は起きてはいなかった。

「かぁいい…がお…」

と、何やら耳に声が入ってくる。
この声は…咲蘭歩?
…えっと…まさか…

「はっ」

「あぁ、ざんねぇ〜ん、もう少し見たかったなぁ〜美琴の寝顔〜」

そんなものを見てどうなる…。
それはいいとして、退屈な国語の時間は過ぎたらしい。

「ああそうそう、これどうぞ」

と渡されたのは、一冊のノート。

「いつもごめんな、二倍の授業内容をまとめるなんて…」

「いいの、いいの、私もいいものを見れたんだし」

と、笑顔を返す彼女。
ああ、なんだろう、落ち付く。

咲蘭歩がまだ僕の彼女でなかった時の方が…騒がしかった。

(−−−3年前−−−)

僕は中学2年生になったある春の出来事であった。
中1の頃に起こしたある出来事…。
それが響いてか、僕への態度が一変していた。
何をしたか?
それは、僕からではない。
彼らからだ。

一度殴られた。
それがきっかけ。

何も言わずただ下を向いて、殴った相手の発言を無視し、僕は光のない瞳に自身のことを問う。

「…僕は…なんなの…?」

と。
おかしな話であるが、それが本当にいいたかった、いわば答えなのだ。
だが、その答えに答えを持ちかけてくる人なんて、いない。
わかっている・・・。わかっていた…。

「無視すんなっ!この…」

「…」

僕は、振りかえらず、そのまま教室を目指す。
自席に向い、ただ空を拝んでいたかったのだ。
だが、その願いが叶う…と信じた。

僕は、トイレに行き、自席から離れて、それが起きた。
肩を無理やりに相手からぶつけてきて、勝手に殴りかかってきた。
その顔は、いらつきの顔。
多分僕はミットにでもされているのだろう。
いじめというよりも、ただの‘家具‘のような存在価値であったのだろう。
だが、反論もしない僕。
そのせいだろうか、もう一度殴られる。
謝れ

と言われようが、

反省しているのか?

と言われようが、僕には関係のない話。
いや、むしろこちらからそう言うべきなのではないだろうか?
ただのミット代わりにされ、ストレス解消のために使われる。
これに対して、彼らは僕に原因があるものだと思い込んでいる。
その証明として、現に僕は、様々な悪口を浴びせられることとなった。
原因はわからない。
ただ、そうされているだけだ。
普通の生活をしているはずなのに・・・。
どういうわけか、僕がいるだけで嫌気がさすような眼で見られている。
周囲からのそんな眼を見せられて、どうとも思わない程、僕は人間として腐ってはいない。
が、その眼差しが僕を指すのであれば、僕はそれに意見を言う気にはなれなかった。

…そして、高校1年生までそれは続いた。
まで、というのは、僕の彼女、咲蘭歩がいたからである。

第三話 出会い

彼女と付き合ったのは…たしか、桜が咲き乱れ、満開の桜が、自らの無数の花を太陽の光を浴び、色を輝かせ、自らを、生まれ育った生地へと体を回しながら寝かせようとしていた。
そんな日だった。
僕は、いつものように、暴力を受けつつ、顔を滲ませ、自席へと体を運ぶと、鞄に詰めた教材を机に入れる。
すると、なにか違和感のある音がした。
クシャ 
表せば、そんな紙を押し込んだときに聞こえそうな音。
とりあえず、それを確認するため、僕は教材を机の上に置く。
そして、机の中に手を入れ、それを見つける。
原型を整えると長方形になる。
所々がグシャとなっているのは、たぶん先ほどのせいだろう。
長方形に対角線を引くと、中心で交わるというが、その中心に、ハートマークのシールのようなものが貼られている。
それを取って、長方形の形から、三角形を新しく作るように上にあげ、中に入っている紙を取り出す。

内容は以下のような文。

{放課後、一番大きい桜の木の下で待っています。}

というものだった。
はて、なんのことだろうと思った…。

(−−−放課後−−−)

僕は、約束通りに従った。
大きな桜の木というと、僕が以前から使っている昼寝スポット…。
誰にもばれないような、桜並木を通って行くと、一つだけほかの色と異なった、こげ茶色のような色をした桜の木がある。
その木のことを知っているのは僕だけと思っていたんだが…。
そう思いながら、僕は、桜の木の前まで行く。
すると、誰かが桜を見ていた。
一人だ。

「あれが、この手紙の差出人かな」

と僕は桜並木を歩きながらそう言う。
もちろん、誰からも返事はない。

「あの…」

と、僕が言うと、彼女はこちらを振り向いた。

「始めまして・・・かな?柳 美琴くん」

「…えと…千代島…さん?」

「光栄だよ、覚えててくれたんだ、名前」

「この手紙は…」

「うん、私。」

と、こちらを振り向かずして返事を続けていた、ピンクの色をした髪の持ち主。
長さは、腰まである。
それに、誰が見ても美人。
僕の学校の生徒なら、一度は告白をするというほどである。

そんな彼女が…。

「それで、話…なんだけどね」

僕に言ったこと…。

「率直に…、私は貴方を守りたい」

これが、僕らの出会いであり、彼女の告白だった。



では、本編をスタートします。

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