40

コメコイ トランス・リストバンド -異次元編-

第14話 ルルティ

「フン、ギア2で来るのなら、こちらはギア3にするかなギア3 鬼雷炎(きらいえん)刺雷(さつらい)!」

と、金蝶が、言うと、金蝶の体にまるで炎のように、電撃が走っていた。

「そろそろ、君たちも邪魔になっていたところだ。7thのね」

「7th!?」

と驚いて言ったのは、まぎれもない、ルルティであった。

「知ってるのか?」

「ええ…、元盗賊集団とも言われているわ。7th。通称トランスリストバンド・コレクター…そして、そのリーダーの名前は…ハンカ・ルルティア…重罪中の重罪…盗みから殺人まで犯す…最悪の犯罪者」

「成る程、やっぱり君も、‘使徒‘か」

「その名を言うなっ!!!」

と、言って、金蝶を睨みつけるルルティ。
普段のおっとりとした素顔は、もうなかった。

「ああ…、使徒というだけで、国を追われ、その名を隠しては…名を変える」

と、いらつく笑顔でこちらを見下すように言う金蝶に、ルルティはひどく怒り、リストバンドを前に向ける。

「殺す!!!絶対にぃぃぃぃ!!!!あわああああああ!!!!!」

「ルルティ!」

止まらないルルティは、暴走を始めてしまう。
あちらこちらを凍りずけ、あらゆる生物をも凍らせ、さらには無害な人までも…。

「ルルティ!もうやめろ!!!」

「うっさい!だまれぇ!!!!」

「ひっひっひ壊れてやんのー」

と、その攻撃を軽々しくよける金蝶。

「テイク・オブブリザード!!!」

と、ルルティが言うと、空のいや空気中にある水蒸気から、ほこりまで、すべてを氷漬けにし、それを一つの塊に作り上げ、それを手に乗せると、圧縮され、5cm程度までに収まる。

「くらえぇぇ!!!」

その塊を勢いよく金蝶に投げつけると、その塊は、勢いよく破裂し、無数の小さな粒へと変わる。
攻撃範囲を測れない程の小さな粒たちが、一瞬で金蝶を包み込み、固まり始めた。

「砕け散れぇ!!!」

と、ルルティは、手を握りしめる。
完全に凍らされた金蝶が、ばらばらに氷ごと砕け散る。

「はぁあああ!!!」

と、今度は力を込めて、その砕け散った氷を一つ残らず踏みつける。

「これで…これで…」

「終わったとでも思ったか?」

だが、金蝶は、すぐ隣で、悠長に腕を組みながら暢気にしていた。
そして、手をルルティの顔面まで構えて

「終わりなのは、そっちだったね」

と言って、電撃を直撃させた。

「うあぁぁああああああ!!!!!!」

ルルティは、激しい電撃を食らって、体を飛ばされる。
ルルティの体は、すでに焼け焦げていた。

「ルルティィィ!!!」

「おおっと、お前はこっちだぜ…」

と、金蝶は一瞬で、績の目の前まで接近すると、そのまま首を締め上げて、投げ飛ばす。

「んーと、卑弥呼様、後はよろしく」

とニコっと笑い、手を振って、その場から立ち去った。
残された卑弥呼は、績の下へと歩いて近づく。

「僕を…どうする…気だ…」

「…邪魔者は、消すようにと命令されたのじゃがな…」

卑弥呼は、ルルティの方を見る。
その眼はまるで哀れな者に同情するかのような目。

「…ルルティは…このゲームに僕をかけたんだ。だから…今度は僕が、彼女を救う」

「…そう…じゃな…せめてもの償い…じゃな」

「そう言われると罪滅ぼしのような感じだな」

「妾も、そなたの罪滅ぼしに協力したい…」

「そんなことをしたら…」

「妾が嫌いか?」

「…わかった…同行してくれ」

と、僕が言うと、ヤッター!といった感じで、飛び跳ねる。
まるで、子供みたいだ。

「今、子供みたいじゃと思ったじゃろ!!!しょんにゃわけにゃいんじゃからにゃ!」

と、いつもながら噛んでしまうのも、卑弥呼なのだろう。

「さて、彼女の葬送を済ませ、行こうではないか…」

と、卑弥呼は、彼女の持っていたリストバンドと、小さな指輪を取ったあと、それらを僕に渡した。

そして、僕らは、彼女を近くの土に埋め、そこに祠に建てる十字の木材を使ったものを刺して、手を合わせた…。


第15話 異世界への扉

「現代には、奴がおる。今のそなたじゃ、百人いたとて、かなう相手ではないのじゃ」

「…、わかってる・・・卑弥呼、それで、どうする気だ?」

「まずは…そうじゃなぁ…そなたの力を見るために、まずは妾の‘世界‘で修業じゃ」

と、卑弥呼はニコニコとしながら言う。

「修行って…、あいつはすぐにでも卑弥呼を追いかけてくるんじゃないのか?」

「フム…そうじゃな…いや、そのことなんじゃが…」

と、少し考え込んで、また口を開いた。

「妾は、そなたのそばにいたい…、ダメか?」

と、うるうるとした目を見せてくる卑弥呼…。

「…わかった…」

「そうか、では、妾の世界へ…」

と、卑弥呼が言うと、フワっと体が浮かび、そして、その場所に存在していた績と卑弥呼が一瞬で消えた。

そして、二人がたどり着いたのは…大きな滝、それに、大きな城、がある。

「フム、なかなか進んだ文化であるな」

と、関心を寄せる卑弥呼。

「ここは卑弥呼の世界なんだろ?じゃあなんで関心なんか…」

「ここの文化は、時代によってその文明を制御されるようになっておる。たとえばじゃな、そなたの時代と妾がいた時代の差に広がった時代の枠には、あらゆる時代が存在する。その時代の中の一部の文化が、この世界に繁栄されるのじゃ。わかるか?つまり、そなた方の時代の文化をこれは得て、それに適した姿、形となっておるのじゃ」

「長々と説明どうも」

「それと、言うべきことを忘れておった、そなたの友が、7thとやらの下へ行った。」

「…!?」

突然言われた卑弥呼のセリフに、僕は驚いていた。


一方そのころ、晴彦たちは、7thの第一拠点地 鉄の花園に到着していた。

「…、7thとやらがいるのはここなのか?」

「…ええ、」

と言われ、俺はそれに従った。


さらに一方、学校では、ある異変が起きていた。



第16話 絶対絶命

私の名前は、烏羽 奏子。

14歳。

ある日、学校で見つけた一匹のハムスター…を、どこかで見覚えのある人の顔を思い出した。

潤野 績。

学校では、 同級生によくいじめられ、さらには先生からも軽蔑のまなざし。

私も一種の第三者。つまりは外野である。

関係のない話を聞いたその日から、私は彼の本性を探っていた。

「…これ何?」

導かれるように、ある公園へとたどり着く。

そこにあったのは、少し土で汚れたリストバンド。

不気味な人の形に、アーチェリーでもしているような形で描かれたマークがある。

それが何なのかはわからない。

でも、とりあえず、はめてみた。

…すると、腕につけたそのリストバンドが光はじめ、やがて弓の形となった。

「えっえっとぉ…」

これ、なんてアニメ?
なんて、思ってしまう。
現実にこんな物なんか…。
と思い、眼を擦る。
でも、目の前のものは消えない。

「なんなのぉ!これぇ!」

と、その場で叫ぶが、周囲の人は誰もいないので、返事を答えてくれたのは、そこらへんの野良犬であった。

ワンッ!
と一言。

まったく、さびしいものだ。

そして、そんなこんなで、私家に帰ることにしたのであった…。
無論、弓矢がなんなのかは定かではないので、とりあえず誰にも見せないようにしようとした。

実際、大きさの調節はできないが、自分の背ぐらいあるので、背中に回せばいいものと思っている。

…はずだった…。

一方そのころ、晴彦たちは、交戦中であった。

「クラッシュ!」

と、晴彦の前に立ちはだかった、7thの一人、白蝶が、そう言う。

「リフレクト!」

と、それに返す絶対的な技を繰り出す晴彦。

そして、ロロティも交戦中であった。

「7thの基地を知る、まあそこまでは褒めてあげましょう」

と、手を叩きながら、階段を下りてくる人物。

「…まさか…ハンカ・ルルティア!?」

「僕の名前を知るか、おめでたい」

その姿は、まるで績。
というよりも、そっくりであった。

「我名において、貫かん、我名において、滅っせん」

両手にリストバンドをはめた彼は、そういう。
晴彦は、それに備える。

「サンクトリゥス!」

と、それを唱え終えた彼は、一瞬で晴彦のそばにより、殴り飛ばす。

「トリゥリウス!」

今度は、右腕をロロティに向け、それを放つ。

「ごはっ!」

二人ほぼ同時に地面に着く。

「んだ…あれは…」

「魔術…ありえない力さ…」

「く・・・」

「我名において、それをつかむ、光の剣を、我がこの手に…」

「まっまずい、あれは!」

「デリート・マクトゥリス!」

そうハンカが言うと、両手から、勢いよく、光のビームのようなものが放射され、一瞬で晴彦とロロティが吹き飛ばされる。

「弱い…。」

ハンカはそう言い残した。

第17話 煉獄協会第七部隊 

そして、績たちは、卑弥呼の作り上げた、邪馬台国(異世界)で修業をしていた。

「ふむ・・・。で、そなたの方は?」

「こちらは問題はないわ、でも珍しいわね、貴女からの連絡なんて…何年ぶりかしら?」

「そなたに鬼道を授かった時以来じゃ、そこで、煉獄協会第七部隊隊長のそなたにちとお願いがあるのじゃ」

「鬼道の次に難題そうね…、大体見当は付く」

と、一方は卑弥呼、もう一方は、誰かは存じ上げない、黄色の髪を持ち、かつ赤い瞳が目立ち、服装は、なんといえばいいのか…水兵の服を着ていた。
績には、それが学生にでも見えるぐらいに、ぴったりである。
さらに、黄色い髪を、ポニーテールにしている。
どれぐらい切っていないのかはわからないが、これだけはわかる。
あのポニーテールから、元に戻そうとすれば、髪が腰からアキレス腱まで行きそうなことぐらい…。

「隊長、そろそろ…」

「ああ、もうそんな時間じゃったかもう少し待てぬか?ユメよ」

「…すみません。」

彼女は、後に来た、恰好の好い少女にそう言い、少女は瞳を績に向け、下に顔を向かせ、その後部隊の下へと戻った。

「卑弥呼とその…女性は、どんなかんけいなのか…聞きたい…ですね!」

績は、岩の体を持つ、ゴーレムと互角に戦っている。
その最中、績は、そう言った。

「妾とこのココノアは、多少馴染みがあってな、邪馬台国で、鬼道を教わり、その力を伝授させてくれたのは、まぎれもなく、ココノアじゃ、つまりは簡単にいえば、師弟関係というものじゃ…」

「そんな大それたものでもないでしょうに」

と、苦笑いしながら卑弥呼が言うと、それに続いてココノアが、クスクスと笑いながらそう言う。
…何と言うか、こう見ると、美人だ。

「そなたがいうか?妾にその力が備わっていなかったならば、アレをなし得られなかったのじゃ、感謝しておるぞ」

「邪馬台国の女王卑弥呼様直々のお言葉、なんと申し上げればいいか…感謝感激です」

卑弥呼のセリフに、笑顔で返すココノアは、そろそろ…と言い残し、その後その場を去った。

「さて・・・、そろそろ行くんじゃろ?」

「ああ…、籠晴が…晴彦が待ってるからな」

ゴーレムをバッグに、績はそう言う。

「その前に、後ろのでかいの、なんとかしたらどうじゃ?妾には不愉快じゃ」

「分かったよ、卑弥呼」

と、績が言い、180度、片足を後ろに向け、体をそちらへずらす。
そして、剣を突き刺す。

「爆裂」

績がそう言った直後、その剣から激しい爆風が飛ぶ。
刃先から衝撃波を飛ばし、ゴーレムが、木端みじんに石ころと化す。

「それじゃ…いきますか…」


To be coming





そして、晴彦たちもそのころ、7thの下へ急いでいた。

登場人物

ハンカ・ルルティア
最強と言われた、7thボス。
魔術と呼ばれる力を扱う。
だが、両手にあるリストバンドがないと、作動しない。

晴彦(覚醒)
晴彦の覚醒状態。
リストバンドの力の影響で、自らを制御できなくなってしまう。

7th
リストバンドコレクター。

煉獄協会

トランス部隊と呼ばれる、リストバンドを使わず、同じ効力を生まれながらにして持つ一族が結集した者たちの集まり。

煉獄協会第七部隊

部隊長ココノアを中心とした、別名 魔女の使い とも言われる。
なぜか卑弥呼と仲がいい。 

[mente]

作品の感想を投稿、閲覧する -> [reply]