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コメコイ トランス・リストバンド -未来編-

第18話 金蝶…その名は紬

卑弥呼と僕は、3年後の未来に来た。
異次元(邪馬台国)からの移動で、ここにこれたのだ。

「未来世界というと、こんな感じなんじゃな、まあ妾にとってみれば、さっきも、未来なわけじゃが」

「邪馬台国の人たちは心配してないのか?」

「妾は、あの時代で‘死んでいた‘んじゃ。」

…、卑弥呼は、そのようなことをいっていた。

死んでいた…?
どういうことだろうか、と、僕は思っていた。

そんなとき。

「フム、やはり卑弥呼様は、そちらにいましたか、探しましたよ」

「妾は、不必要ではなかったのか?金蝶・・・いや、紬よ」

「ほほ〜、やはり情報網が広いお方だ。おそらくは、煉獄協会の者の教えですかな?ヒヒ」

と、からかうように笑う紬。

それを横目で見ていた僕は、リストバンドをはめる。

「フム、あえて聞こう、お前、ルルティ(あいつ)が今どこにいるか知ってるか?」

「…、天国が地獄ってあたりか?」

「後者にあたり。キヒヒ、怨念部屋について、あいつに教えてもらったか?」

「…魂の…怨念を永遠に苦痛として与えられる場所」

「それが、何を意味するかわかるか?魂とは、すなわち、生者が死者となった時、それが幽体離脱し、魂となり、本来ならば、この世に未練がある限り、残る。だが、あいつの場合、敗者、このリストバンドのゲームによって定められた敗者なのだ」

そう言って、紬は、リストバンドを掲げる。

「…もしも、お前が敗者となれば、お前に関連するすべての人間、生き物、そして物質に至るまで、何もかもがそこへ流し込まれるそれがこのゲームのルールだ。」

「…」

僕には、それが何となく理解はできていた。
だが、今それを聞いて、はっきりした。

「僕が勝者ならば?」

「至るすべての敗者の中にいる者の願いを聞くこともできるぞ?あいつも例外ではない」

「…そうかい」

と、話が終わったところで、僕はこう言った。

「…だったら、意地でも勝者になってやるさ!お前を、ここで倒す!」

「クハハハハッハハハハハハッハハハハハハハハハハハ!!!やってみろぉぉぉ!!!今のお前に、ボクはたおせねぇあああははは!!!」

「ギア1 アニマル・リストバンド 」

そう言うと、績のリストバンドが反応し、形を変え、績は、ライオンへと変貌した。

「ギア1 雷曲「棘」」

紬もまた、ギア1で戦う。
薔薇の棘のように、鋭く尖った無数の触手が、体に電撃を走らせ、績を囲んだ。

「ガオォォォ!{うらぁぁぁ!!!}」

績は、全力疾走で走る。
その速さは、もはや人間の走る速さではとても追いつけはしない。

対して紬は、雷曲「棘」で対抗をする。
無数の棘を績へ伸ばし、そして、叩く。
それを軽やかなステップでかわしつつも、勢いの止まらないスピードを見せる績、あと数mもない。

「ギア2 トライアングルソード」

績は続いて、モードをギア2へと変える。

「ギア2 雷曲「鉄扇」」

績は、三つの剣を、器用に使いこなし、紬は、大きな扇を作り上げる。

「妾も力を貸そうかの、ハッ!」

そう卑弥呼が言うと、地面が揺れ、績の足場を高く上げる。
それに乗って、動きが止まった時、それにつづけ、績は足場から飛び降りる。

「いくぞぉぉぉ!!!ギア3 形式・トライアングルクロス」

そう績が言うと、績にまとう3本の剣が、績を包むように高速で回る。
そして、紬に向かって、一直線に突っ込む。

「ただの直線攻撃か?そんなの、すぐによけられるよキヒヒ」

と、紬は、言ったとおり、績の攻撃をひらりとかわす。
だが、風圧で、紬の体が浮く。

「なっ」

それは、一瞬。
績の剣が、風圧で績を地上付近ギリギリで浮かせた。
そう、これこそが績が編み出した、宙自在術、浮遊風(ふゆうふう)。
さらに、その風圧で舞いあげた紬は、その状態で、3本の剣が、体を貫いていた。

「ぐっ・・・らい…曲…」

「ぶざまだなぁ!」

「…お前は…」

すでに決着をつけたかに思えた戦いの観客の中に、新たな人物が現れる。

「俺の名前は、フォルテ。フォルテ・D・クリシェード」

そう名乗る男は、一歩、また一歩と紬に近づき…

「消えよ」

と一言を言った。
すると、その瞬間に、そこにはなからいなかったように、消えた。

「…さて、次は君の番だ」

そう僕の方に向いてそう言った。


第19話 タッグ・オブ・シンクロ

「我が名に記せ、地獄の剣…その姿を表し、その強(つよし)を示せ」

「我が名に記せ、神の盾よ…その姿を表し、その守(まもり)を示せ」

フォルテと卑弥呼の声が重なり、まるで中和するように、ほぼ同時にそれが姿を現す。
一方は、炎獄に包まれし邪剣。
一方は、神にこそ許された聖なる盾。
それが、凄まじい早さで盾に突き進む。

「ギア3 トライアングルクロス」

僕も、臨時体制に入る。
相手は、あの紬を、弱り切っていたとは言え、触れずに消した人物。
油断はできなかった。

「妾の地に踏み込んだ罪、そなたの体で思い知れ」

卑弥呼が盾を翳している盾の片方の手から、黄色い光が生み出される。

「我が命にて、そなたに命ずる。妾は、卑弥呼、この身に宿りし血において、ソナタヲ、タオス」

卑弥呼は、最後の言葉が変になりまながら、それを翳す。

「ミヨ!ホウジャノオオツツヲ!!!」

卑弥呼のしゃべり方が変わった。
そして、先ほどあった盾が姿を変える。

「スゥ...宝者の大筒!!!」

卑弥呼がそう言うと、盾が、巨大な大砲、もとい筒の形となる。
そして、直後に卑弥呼が人差し指で、方向を決めるようにし、 てぇ! と一言大声を出す。
ゴゴゴッと激しい音を出し、筒から光が洩れる。

「プラズマ砲発射!」

ビジュウウウー…と音を立て、光が一直線に線を描く。
それは確実にフォルテに当たった…。
シュウウウ...と音を立て、筒から出ていた光が止まる。
直後に、卑弥呼も倒れた。

「おっおい!卑弥呼!」

「う…」

そして、そのまま眼を閉じて、意識を失ってしまった。
僕は、トライアングルクロスで、光の向かった先を調べに行く。

「…、なるほど、面白い」

僕のすぐ真後ろで、声がし、それに振り向いた直後に、
サッカーで言う、オーバーヘッドキックを諸に食らってしまう。

「ごはっ!」

ゴゴンッ!
と地面にたたきつけられ、僕は、意識を失った。

ドラクエなら、パーティが全滅したところだ。

そして…僕らは、フォルテにつかまってしまうのだった。

続く。





卑弥呼 
鬼道を使い、相手に直接の打撃たるダメージを与えることができる、遠 中 近のどれにも劣ることはない戦闘力を持つ。
近接格闘では、鬼道よりも、肉弾戦が得意な模様。


トライアングルクロス という新たな技を身につけた。
近、中距離に優れている。
紬の雷曲に対抗するために、ギア3を己の力で身に付ける。


別名 金蝶。
雷の力、雷蛇を使いこなす。
ギアを3まであけることができるが、本人は、ギアを入手したことはなく、ギア自体を作り上げた。

フォルテ・ダル・クリシェード
績を倒そうとする者。
7thとは違い、リストバンドも一つしかない。
が、リストバンドの力があまりに強すぎて、逆に頼らないこともある。

ピノア・スフェン・コンチェルト
績を守ろうとする者。
フォルテに対抗するため、リストバンドを杖に変えている。
その力は、至近距離では弱いが、中距離、遠距離の攻撃に対しては、凄まじい。

ハルヒコ・クリフォンネ・ボトラジオン
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