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コメコイ4 第三章

第7話 恋する二人

その日は、何かしらと忙しい日であった。

「…、率直にいいますと、それはNOです」

「なんでっボクは、みこちゃんをこんなにも愛しているというのに!」

目の前にいるロンゲの茶髪な少女もとい、九晴(ここのは) 夕空(ゆうあ)の発言に、僕は拒否する。
というのも、話は、数十分前にさかのぼる

(−−−学校前−−−)

「ふぁ〜…」

いつもよりも5分ほど速い登校であることをここに記す。
まあ、その理由も、彼女関連ということもここに記す。

「ねむたそぉ〜だね、美琴」

「まぁ〜…、率直に申し上げれば、遅寝早起きということをしてしまったせいかと」

「あはは〜」

八方美人がそこに笑う。
紹介せずとも知れた我が彼女、咲蘭歩は、今日の早朝に学校へ来ないと、君の家に火を付けると脅迫メールをよこしてきたのだ・・・。

「誰が脅迫メールだって?」

ぎくっ
流石に鋭かった。
思考を探るようなあの目線、というか探る目には勝てなかった。

「可愛い、可愛い、ほんっとに可愛い貴方の彼女が、愛のメールを出したというのに」

この人がナルシストだということは、もうお分かりであろう。

内容

件名 さあ、起きたまえ!

今すぐにそのベッドから体を起こし、愛する者の胸へさあ飛びついてくるのだ!
 by君の愛する子猫より
PS あと30秒以内ね、よーいドン!

 
「可愛い内容ではないか」

「どこが、明らかに何か殺気を感じますよ」

「クフフ...」

どこかのアニメキャラクターか何かの笑い声を放つ彼女は、少々怖い。
…僕は、その場から一歩足を引く。
それにつれて、彼女もまた、こちらへ一歩近づいていき、それが続いていよいよ教室の壁まで追いつめられた。

「…許してください」

「それなりの礼儀ってものがあるわよねぇ〜?」

「…どうすれば…?」

と、僕が言うと、彼女は、多少悩み、数秒で立ち位置を戻すと、すぐに口を開き

「うーん、公衆の面前で、ディープキス?」

「ぶっ!」

思わずはいてしまった。
公衆の面前で何をさらすきですかっ!!!

「冗談よ、でも少しはしてくれてもいいのよ?」

と、微笑しながらそういう彼女に、僕は

「よしてください、一々その件に関してのごちゃごちゃに巻き込まれたくないんですよ」

そう一言をこぼす。
だが、そんな僕の発言を彼女はこうバッサリと切る

「もちろん、それが狙いよ?」

「…」

冗談のない一言に…僕は、その場に絶望を浸らせる。
壁に片腕を乗せ、それに体の体重をかける。

「でも、もしも、本当にごちゃごちゃしてたら、私がどうにかしてあげるわ」

「いや、そもそも、そんなことをしないでください。てか、僕はしませんよ、そんなこと…」

えー、という不満の顔を見せる。
それをキッと僕が睨むと、びくっと体を震わせた。

「え…、なんで・・・なんで夕空がここにいるの!?」

彼女は、そのようなことを僕に向けて発する…。
いや、それは、僕ではなく、僕のすぐ背後に潜む人に向けたのである。

「ボクがいては、まずいの?」

僕は、こけてしまう。

「もう、そんな驚かなくてもいいのにっ」

と、ムクっと膨れる彼女の名は、九晴 夕空。
前に遊んでいた。
…だが、あの日…親が他界してから、僕と夕空は、遊ばなくなった。
実家から離れ、ダンボールハウスで暮らしていたことを伝えていない。
いや、彼女にそんなことを言っても無駄だと感じてのことなのだろう。

「でも、つくづく甘いよ〜ボクが、美琴の現在地を知らないと思ったの?」

ニコッと笑顔になる。
…まあ、セキュリティ万全な貴方のお家ならね…。

「でも、どうして、今になってなのかしら?」

と、咲蘭歩は言う。
…一理…あるかも

「あら?どうして?」

「中学校、貴女はどうしていたの?」

そうなのだ、僕自身、中学では、夕空と会っていない。
さらに、ダンボールハウスにいた小学生の時も、彼女は僕に一度も出食わしていない。
だが、セキュリティの力を借りれば、いつでも僕を見つけることができたはずなのだ。
しかし、今この瞬間にある高校生という時に、なぜ来たのだろうか。

「それは、美琴と正当なお付き合いをしたいからに決まってるじゃない」

…、はいここで一言、 は?
今の顔を表せば、それはそれで…。
そして、話は冒頭に戻る。

「…、率直に言いますと、それはNOです」

「なんでっボクは、みこちゃんをこんなにも愛しているというのに!」

みこ…ちゃん?
僕は男だ、変な名前をつけないでくれ

「それに、僕には彼女がいる。」

「…なるほど、その彼女が、貴方ってわけ…へぇ…」

少し落ち込んでいるようにも見える。
だが、それをフォローしようとすれば、また何か言ってくるはずだ。

「というわけで、夕空とは、付き合えない」

そう僕ははっきりと言ったんだ。



第8話 蒼薔薇(あおあばら)と紅薔薇(べにばら) 前編

「香しい薔薇の香り…やはり、私(わたくし)には、薔薇に愛されていますわ」

「…、それで、なんで僕はこんなところにいるのでしょう?」

夕空との会話後、授業を受ける前に、トイレに行こうと思い、一人で行き、その帰り、僕は黒い怪しい服の集団に囲まれ、一瞬にして、意識を失わされた。

「アッ…貴方の学校のぉ…川梛 薫人…という方を知っておらっしゃるかしら?」

と、顔を多少赤くし、耳もとの髪をくるくると巻いたりほどいたりの仕草をしながら、彼女はそう言う。

「…薫人っすか?」

「そっそう…その〜…薫人に…惚れたの」

「へぇ〜」

と、普通に返す僕。

「なっ何なんですのっ!貴方は、人生に関係することですのに!」

「それは、貴女だけでしょう?というか、薫人、好きな人いますし」

と呆れ顔で僕は言う。
ちなみに、この反応は、慣れているからだ。
…もう、何回目か…。

「…誰…ですの?教えていただけないと、貴方を戻しませんよ?というか、永久にここにいてもらうことになりますよ?永遠の恐怖を味あわせてもらいますよ?嫌でしょう?永遠の拷問。嫌なら、早々に答えてください、一秒でも早く、いいや、0.1コンマで。今すぐ、さあ、さあ、さあ…」

怖い。
段々と近づきながら、縛られた僕に近寄る。
…というか、場所からして、ここは拷問部屋か?
学校内にこんな場所があるとは思えない。
というか、思いたくない。
そして、まず一番に気になるのが

「貴女は誰なんですか?」

ということだ。
そう僕が言うと、彼女は、片眼をつぶり、まあウィンクした状態で

「私は、粕壁 椎雫。大宮王(おおみやのう)学園出身ですのよ」

「…あの、出身は、地元のことを言うのでは?」

「言うに事欠いて!よろしいですわ、では、桜宮…桜宮街(おうみやがい)ですわ。」

…、桜宮街と言えば…大宮王に嫌われているはず…名前通り。
僕が、心の中でそう呟いていると、彼女は

「そっそれで、彼薫人さんは、誰が好きなんですの!?」

「…実の、姉だよ」

それと聞くと、彼女はうれしそうにニコッとした。

「それなら安心ですわっ姉様なれば、血がつながっている同士、結びつくこと話できませんのよっ」

「義理なら?」

僕がそれを言うと、え?冗談よね?という顔になった。
あ、なんか面白い。

「冗談です」

「…後で少し説教が必要のようですね…」

僕は、後に恐怖を見た。

後半へ続く


九晴 夕空
咲に続く身ことに恋する少女。
美琴に甘く近寄り、誰よりも美琴を理解しようと、日々励んでいる。

潤野 夢産在(うるの むうあ)
潤野 績に次ぐ潤野家の名を持つ男の子(?)
冷静で、すぐに状況を把握する。
女子からの人気も高い。
が、本人は全然意識しない。

粕壁(かすかべ) 椎雫(しいな)
お嬢と呼ばれるお金持ち。
名門 大宮王学園にいたのだが、ある日急に美琴たちの通う学校へやってくる。
成績優秀、スポーツ万能、家事から何まで完ぺきにこなす。
なんともパーフェクトなお嬢様。
薫人に一目ぼれする。

桜咲(さくらざき) 歩(あゆむ)
詳細不明

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