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展示場の料金設定は・・・? | |
と、いうようなタイトルをつけましたが、実際のところ、利用料金の設定は、各会場とも秘中の秘となっています。 ですから、一般論の範囲内でのお話となります。 普通、展示場のようなハコものの経営は赤字です。 たとえば、ビッグサイトの入場者が年間7000万人いたとしましょう。 ところがビッグサイトには、独立採算制が導入され、人件費をも含めた会場運営経費(大修繕を除く)は、すべて会場側の収益で賄うよう命じられ、事実、それが実現しています。 普通の場合、会場の運営は、公共団体の直営か、株式会社等への運営委託となっています。 ビッグサイトに独立採算方式が導入されたのは、運営側に経営感覚を養ってもらおうという意図があったためです。 しかし、これを実現するには、独立採算でも何とかなるという読みがなければなりません。 | |
大きな施設というものは、まったく稼働していなくても、お金を食ってしまうものです。 警備・清掃など、最低限のスタッフは準備しておかねばなりませんし、電気代などの経費もゼロにはできません。 施設が稼働すると当然、運営費用も一定の割合で増えます。 これに対して、収入は稼働率に比例して増加します。 | |
稼働率が、ある限界を超えると、必要以上の費用がかかるようになります。 混雑整理のための要員があらためて必要となりますし、設備の痛みも急増します。 したがって、収入が維持管理経費を上回るところが、損益分岐点となる稼働率ということになります。 これを、何パーセントと読むかです。 でも、差し渡し600mもある施設の損益分岐点など、簡単にわかるはずはありません。 そして、ここから逆に、その稼働率で、プラスマイナス・ゼロとなる収入を獲得するためには、施設の利用料金をいくらにすればいいか、逆算していくのです。 その結果、料金表(案)ができあがります。 そして、料金案を練り直し、施設の維持経費を再検討し、・・・・・・・。 と、いった形で、最終的な料金決定がなされます。 最後に、もう一つ注意すべきなのは、特例料金の設定です。 特に、「公共の利益に資すると判断された場合」などの、役所向けの減額措置を設けないこと。 しかし、この例外規定を作れば、必ず赤字になります。そうなれば、「やっぱりハコもの行政だ」と批判されるのは施設側ですし、正規料金で使っている民間の主催者はへそを曲げて、別の施設に移ってしまいます。 独立採算を求めながら、料金減額を要求するのは、役所の横暴です。 * * * * * * * * * * * * * * * * * * さて、これまで長々と話してきましたが、つまるところ、理想的な展示場というのは、収益の上がる展示場のことです。 しかし、他の施設よりも高い料金設定しただけでは、収益はあがりません。 おそらく、私は存命中に第二のビッグサイトを見ることはないでしょう。 しかし、世界中のどこかで、新しい展示場を建てようと試みる人がいるならば、ビッグサイトをはるかに凌駕する展示場を作ってほしいと思い、本稿を掲載いたしました。 なぜだか、わかりますか。 ビッグサイトをしのぐ展示場の出現が、ビッグサイトをさらに理想的な展示場へと導く原動力となるからです。 幕張メッセの誕生が晴海会場を東京ビッグサイトへと変貌させたように・・・。 | |
終わり |