<補足説明>

純粋に企業業績のみを評価する補助金は、これまでなかった。
国の「小規模事業者持続化補助金」は、「持続的な経営に向けた経営計画に基づく、小規模事業者の地道な販路開拓(創意工夫による売り方やデザイン改変等)の取り組み」に対して支払われる補助金です。50万円(ないし100万円)の少額の補助制度でしたが、これは画期的なものでした。
それまでの産業振興補助金は、「何か新しい事業を行う」という事業性に着目して支払われるものでしたが、持続化補助金は、企業の日々の地道な経営活動を評価する、というものだったからです。
持続化補助金の補助対象経費→

しかし、現実にはたいへん多くの申請が寄せられると、やはり、審査を乗り切るためには、やろうとしている事業を際立たせる必要があるのではないかと、皆が感じるようになります。
だから、この補助金の場合も、「新規性や公共性」などが高評価されるようになります(と、個人的には思っています)。

採択された事業のテーマを見る限り、やはり、「地道にコツコツ」とか「会社の儲けをアップする」というものよりは、「達成目標が好評価されそうなもの」、「事業が際立つような内容」が多数並んでいます。
わかりやすく言うと、「〇〇を達成するための△△の実現」とは、「△△によって〇〇を達成する」とかいうテーマが多くなっています。




専門家が指導すると、やはりどうしてもこういう名目が付くようになるんですね。

補助金だと、どうしてもそういう形に落ち着いてしまうのは、やむを得ないことかもしれません。
それは、<補助金→新事業→収益向上>、という図式から逃れられないからです。
持続化補助金という目的から言うと、「ぼちぼち店先のひさしとか、看板とかを新しくしたい」といったような素朴な内容が多く寄せられるはずなのに、たぶんそのようなレベルで採択に到達するのは難しくなっていったのではないか、と感じられます。

これに対し、「直接的に経営を向上させるということを標榜して申請し、採択された」事業計画を進め、それが結果的には経営ダウンになってしまったとなれば、「事業目的が達成されていない」と言われても申し開きできません。
この場合、補助金は交付されません。かなり厳しいです。

しかし、それでも、企業経営を直接アップする補助制度を作りたい、と私は思います。
そもそも、そちらの方が求められているからです。

[追補]
平成28年11月に募集開始された、国の「革新的ものづくり・商業・サービス開発支援補助金」は、企業経営の向上をかなり意識した制度設計になっています。
本制度で、達成目標に到達した企業は、金融機関などから、かなりの高評価を得ると思います。経営者の見識についての信用は高まりますし、ウソはつかない会社だとわかるからです。


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