<補足説明>

補助金は使途明確が前提、だが人件費は複雑
補助金というものは、「補助対象が明確であること」ということが前提条件となっています。
最終的に交付される補助金が「一律いくら」となっていても、その前提となる経費は、細かく積み上げるというものがほとんどです。
しかし、そのために、「実際に補助した人件費よりも、申請書を作るための人件費+それを検査するための人件費」の方がずっと高額になるという、はなはだクレージーの事態が発生しているのです。
商業・サービス業の分野で、そんな細かい資料を要求すると、経営者に怒られてしまいそうです。
補助金では、最初の決定額が全額でないのが普通→

「何にでも使ってもいい、金一封」は、「交付金」と呼ばれ、こっちの方が使い勝手がずっといいのですが、それだと大きなの予算は確保しにくくなります。 予算をつけるのは優秀な官僚のみなさんで、彼らは実務をしません。

東京都の産業振興策において、かつては企業向けの人件費補助事業を行ったこともあります。
しかし、現在、その大半をやめてしまいました。
人件費補助の確定検査について経験者は、「砂をかむような毎日だった・・・」とこぼしていました。

人件費をチェックするだけで精根尽き果ててしまい、その事業の成果まで検討する時間がありません。本来吟味されるべきは、事業そのものの成果なんです。
そして、検査を受ける側に企業も、人件費補助を受けるためにたくさんの書類を作らされます。そのために人手がかかりますが、その部分に関しては大概補助金が出ません。
「人件費補助をもらうために夜なべして書類を作った。でも、その仕事は補助対象にはならない・・・」といった、状況が発生します。
「補助金をもらうために人を雇った。結果、赤字になった」と、企業側は不満を顕わにします。


小さな企業は、ほとんど何でも経営者がやります。補助金をもらうのが、こんなに大変だと知っていたら申請しなかった、という経営者もいます。

もちろん、検査をする側でも、検査担当者の人件費が必要になります。
「総額を考えたら、補助制度がなかった方がコストパフォーマンスが良かった」なんでことが、実際にあります。


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