実践! 経営革新入門 社内の検討経過も残しておくと便利
●企業名、申請内容の公表は、よく考えて決める

[相馬(中堅社員)]: 最後に、企業名の公表ですが、これは公表した方がいいのでしょうか。

[都庁担当者]: 自社で行う新たな取り組みが、第三者から経営革新計画として承認されたということですから、名誉あることです。問題なければ、できるだけ公表した方がいいと思います。
しかし、現実問題として、自社の取り組みについて、当面、ないしょにしておきたいということもあるでしょうし、社名は公表してもいいが、計画内容は秘密にしておきたいという場合もあります。
こういったケースを選択できるようにしてあるのが、別表7です。

[相馬(中堅社員)]: 承認されるかどうかわからない時点で、そんなことを考えなくてはならないのでしょうか。

[都庁担当者]: こういったことまで、しっかりと決められていることが、計画には必要なのですよ。

[相馬(中堅社員)]: よく分かりました、今日いただいた助言を織り込んで、計画書を完成させたいと思います。


(別表7)
[企業名等の公表]
「経営革新計画」が承認された場合、下記の記載内容を東京都のホームページ上で公表可能かどうか、該当する項目の左欄に〇印をしてください。
回 答 欄   
公表可能 1.企業(組合)名  〇  5.所在地 
2.代表者名    6.電話番号 
3.資本金 〇  7.業種
4.従業員数   8.経営革新計画の名称
公表不可    
注)公表してよい場合、1〜8の各項目ごとに〇印をして下さい。

[中小企業経営革新事例集の作成]
今後、経営革新を行おうとする中小企業の参考のため事例集を作成する場合、下記の記載内容を活用することが可能かどうか、該当する項目の左欄に〇印をしてください。
回 答 欄   
活用可能   1.企業(組合)名    5.所在地 
2.代表者名  6.電話番号 
3.資本金 7.業種
4.従業員数 8.経営革新計画の名称
公表不可    
注)活用可能な場合、1〜8のうち活用可能な項目ごとに〇印をして下さい。

[東京都経営革新優秀賞について]
経営革新計画終了を控えた(終了までの期間が1年未満)企業を対象として、経営革新計画の実現状況、実現までの創意工夫や経営指標などを審査し、他の中小企業の模範となる企業を表彰するものです。例年6月〜8月頃に募集します。該当する項目の左欄に〇印をしてください。
回 答 欄   
 1.応募したい   2.応募したくない    3.わからない


[承認後のフォローアップについて]
承認後、計画実施に関わる経営支援を実施する目的で、東京都から無料で経営の専門家を1回派遣する事業が実施された場合、御社への派遣を希望されますか。該当する項目の左欄に〇印をしてください。
回 答 欄   
 1.希望したい   2.希望しない   3.わからない




かくして、都南空調サービスの申請書は完成した。

審査会の判定は「確認後承認」となった。

審査会が確認を求めたのは、本計画について、都南空調サービス自体の係わり方がよく見えてこない、というものであった。
要するに、「単なる場所貸しではないか」、という疑問である。

これについては、当初からの話し合いの経過を示したPT報告書があり、その中で、都南空調サービスが主導的な立場で計画が策定されていったこと、専門企業の参画を図った方が効率的に事業運営が進むことなどが記載されてていたため、本計画が都南空調サービスが主体となって取り組む経営革新であることが明白となった。

この確認により、本計画は承認されることとなった。




 
 <補足説明>
最後にもう一度、念押しします。
経営革新計画の策定に係わると、「計画策定」自体が主目的にすり替わりがちになります。
会社にとって一番大切なのは、どのような事業を行うか、そしてそれが採算に合うか、ということです。この本筋からずれることのないように、計画の整合性を図る必要があります。




*本稿はこれで終わり*   元に戻る