まちの元気創出、ボランティアの促進(新)
[例示]地域コミュニティの活性化、ボランティア活動の活性化、まちの安全・安心の確保など
[2017の採択案]
なし
東京都庁(というよりお役所全般)は、人件費というものを軽く見過ぎている。
ボランティアというのは、自主的な社会貢献だ。「活性化」するというのは、どのような意味なのか。
本来、「自主的に協力したいと思っている人がいるならば、こういう役割ができますよ」と、情報提供すればそれで完結するもの。
実際に協力する人がいるかいないかは結果論でしかない。いなかったらそれまでで、諦めるしかない。
「ボランティアが不足していたから事業がうまくいかない」というのは、まったくのお門違いだ。
ひょっとしたら、“ボランティア”という名前の“タダ働き”してくれるマンパワーを欲しているのだろうか。それではブラック企業と同じだ。
そういうことに、気の利いた提案はできない。
まちの安全・安心なら、「監視カメラを増やす方策」を考えればいい。
実際、私の近隣でも子供にイタズラをした犯人が監視カメラの画像が証拠になって捕まったという。偉い人の息子で、何回もそういうことで逮捕されていたらしい。
だから、監視カメラの増設に補助金を増やすとかすればいいのだが、これについては<現金給付・設備整備は不可>という条件に抵触する。
残るは地域コミュニティの活性化となる。こいつは難問だ。
私とて、できるだけそういうことには係わりたくないと思ってしまう。それに漠然としすぎている。
ギブアップしたいが、それでは芸がなさすぎる。
[事業提案]
事業名:区民ゴミの市大会
「ノミの市」ではない、「ゴミの市」だ。
災害が起こったとき、いらない衣服などが大量に送られてきて、かえって困ることがある。
現地にとっては、ゴミでしかない。しかし、これを出した人々にとっては「まだ使えるから、もったいない」と思って取っていたもの。
私も、昔作ったガンプラなど、いくつも死蔵しているが、捨てるに捨てられない。
だったら、どっかに持ち寄って、欲しい人に黙って持っていってもらおう。
それで、誰も持って帰らなかったら、それはやはりゴミなので、捨てていただこう。
そういう、思い切りをつけるための「ゴミの市」。別名「断捨離市」ってのは、いかがだろうか。
元都庁職員として言わせてもらうと、今回の提案制度には、大きな欠陥がある。
もちろん、広く都民の声を聞くことは大切だ。職員よりも都民の方がいいアイデアを持っているかもしれない。
だから、そういう努力は続けるべきだ。その前提での話になる。
さて、都庁の場合、毎年夏になると予算編成が始まり、「新規事業を考えろ」という下命が上司から発せられる。
新規事業を出せないと「仕事に対する積極性がない」と評価される。だから、管理職は必死だ。
そうして、私たち下々は、無い知恵を絞って、無理してでも何か新しい事業を考える。
労働者は組織の命令に背けない。「そんなのやりません」という答えはない、「やったけど、ダメでした」という結果だけが受け入れてもらえる。
私が、予算要求をやっていた時代は、今よりお金が無かった。だから、新規事業を要求しても、あれこれイチャモンを付けられ、対応できないとバサバサと切られた。
切った部署こそ、この提案制度を担当している「財務局主計部」だ。だから、恨み辛みはたくさんある(担当も入れ替わっているので、今となっては逆恨みだが・・・)。
毎年毎年、このようなことを続けていると、職員も疲弊してくる。そのうち、何も新提案をしなくなる。
ひょっとしたら、そういう状況だから主計部が都民提案を求めているのではないかと、疑いたくもなろうではないか。
各事業部門が“本気で”新規事業を提案する場合、予算措置の要求と同時並行して組織と人員の要求を行う。これは水面下で進むので、都民の目には見えない。
だが、今回の都民提案では、その組織と人員の確保が、担保されていない。財務局主計部には、そういう機能がないのだ。
だからこそ、条件を付けているのだと思う。
(1)原則として単年度事業=ぱっと咲いて花火のように消えてもかまわない事業に限る。
(2)現金給付・設備整備は不可=利害関係が生じなくて、後腐れ無くやめられる事業に限る。
そういう実情を知っているから、私は本事業に提案することができない。何か提案して昔の仲間を苦しめたくない。
その一方で、提案を求められている項目は、一朝一夕では解決できないものばかりだ。
私の経験では、単年度でものになるものにあまりいい事業はない。悪く言えばアリバイづくりで終わる。本当にいい事業は、2年目、3年目にようやく成果が生まれる。
「10年続けろ」とは言わないが、せめて5年くらいは続く事業にしてほしい。
現金給付も設備整備もない事業となると、提案してくる件数が減る。にもかかわらず強く提案してくるケースがあるとすれば“利益誘導型”の事業案である危険性がある。
例えば、高齢者の居住環境を向上させようとする提案があるとすると、その提案者の周囲にそうした設備を作っている会社があるとか・・・。
そういう心配もした方がいい。
もう一度繰り返す。都民の意見を聞くことは大切だ。
どんどん聞けばいい。そして、それを各事業局に割り振り、良い案だったら翌年度の予算要求に反映させる。
そして、お金も組織・人員もキチンと配置し、継続的に成果が上がる事業としてやっていく。
そうでないと、各事業執行部門が、提案内容を受け入れてくれないではないか。