しろうと考えではありますが・・・

一人暮らしのためのわがままターミナルパック
以前、「一人暮らし中高年向け安否確認事業」というのをご提案いたしました。
簡単に説明すると、「一人暮らしのまま万一のことがあったとしても、救命はされたくない、でも、そのまま放置されるのも回りに迷惑。だから、手遅れ気味に様子を見に来てくれるビジネスを誰かやってね」、ということでした。

老人見守りのビジネスが多数ある中で、こういう事業が出てこないところをみると、やはり、世の中まだまだ良識派の人が支配的なのでしょう。
でも、正直、高齢独居老人の域に入りかけの私としては、上のような気持ちが本音です。

最近、「終の信託」(周防正行監督)という映画を見、「9割の病気は自分で治せる」(岡本裕 中経の文庫)、「思い通りの死に方」(中村仁一、久坂部羊 幻冬舎新書)の2冊の本を読み、ますますもって、“いたずらな延命策”が嫌いになってきています。

しかし、あっさり昇天できないと、自分の意思も伝えられないままに、だらだらと延命させされてしまうかもしれません。
そこで、この事業提案となりました。
一人暮らしのためのわがままターミナルパック!   
まずは保険。
およそ生命保険は「死んでいく本人」のためではなく、「残された家族」のためにかけられるものです。
一人暮らしには家族はいません。だから、「死んでいく本人」のための保険が必要なのです。

一人暮らしのまま「命に係わる病気」になったなら、延命措置はされたくありません。
しかし、「命に係わらない程度の重篤な病気」にかかって入院する可能性はあります。ケガをする危険も高齢化で高まります。
そうなったときの経済的負担はかなりのものです。

ところが、たいがいの保険には「死亡時保障」というのがついています。身寄りのない者にとっては、そんなものいらない。
そればかりでなく、「死亡時の保険金受取人」欄が無記入だと、保険そのものに入れません。昔なら、「法定相続人」とかなんとかいい加減なことを書いておけばOKだったのに、最近はコンプライアンスがうるさくなってダメのようです。

だったら、「死亡時受取金」分をディスカウントした安手の掛け捨て傷害保険を作ってもらいたい。
自動車保険だって、運転距離によってディスカウントされるような保険があるのだから、傷害保険だって「死亡時保障」がない保険があってもいいのではないかと思います。

だいたい、他人を受取人にした生命保険に入ったら、命が危険じゃないですか。

次に、延命忌避の自己主張を預かってもらいたい。

本当なら、きちんとした遺言を書きしたためるべきだと思いますが、弁護士さんに頼むと、かなりお金がかかります。
「延命されたくない」という意思表示と「お金に絡まないお願い事」だけ、預かる事業をしてほしい。
できれば安めな保管料で。

わが国では、「どうみても安楽死が適当」な悲惨な状態であったとしても、本人の意思が確認できないままで延命措置をしないと、医師が殺人罪に問われることになるんだそうです。
でも、自分の意思を伝えられない状況に陥ったとき、どうやって自分の意思を伝えればいいのでしょうか。

そこで、自宅のよく見える場所にステッカーを貼る。

私〇〇〇〇が、重篤な病気にかかり、あるいは大けがをして、自分の意思表示ができなくなった場合、以下のとおり処置願います。

                  記

1.生命維持装置の接続、胃瘻など、いっさいの延命措置は、これを拒否いたします。
2.ただし、苦痛を排除する措置が取れる場合は、受け入れます。

詳しくは、以下にまで、ご確認ください。

[連絡先]
〇〇生命保険会社 生前意思保管事業部
電話 03-xxxx-xxxx

それでもって、保険会社が、法的に問題ない範囲内で、本人の意思を確認できるチェックリストを作って、保管しておくのです。
オプションで、「危篤になったときに連絡してほしい人に通知を出す」などのサービスも用意しておきます。

※注:おそらく法的に乗り越えられない部分が多々あろうと思いますので、そのあたりは専門家が考えてください。財産分与まで決めるなら、やはりきちんとした遺言書を作り、公正証書とする方がよいと思います。

最後に医療経費をどうするかです。

自分の意思を伝えられない以上、医療費も払えない。
先に述べた保険が充当されるとしても、それでは足りないでしょう。

こういう場合のために、一定金額を保険会社に信託しておき、そこから医療費を賄うシステムを作ってはどうでしょうか。延命措置を望まないから、そんなにたくさんの額を積む必要はないと思います。
どっちみち遺産を残しても国庫が持っていってしまうのですから、最後のお金くらい自分に使いたいですね。
運良く余るようななら、指定の社会福祉団体に自動的に寄付する仕組みにします。



それにしても、「人に迷惑をかけずに死んでいきたい」という希望をかなえたいだけなのに、ほんとうに難儀ですなぁ。
 

ホームに戻る→