月夜裏 野々香 小説の部屋

    

架空戦記 『大本営特攻』

 

 

 第21話 1961年 『瑞穂皇紀元年』

 60・・・・50・・・・40・・・・30・・・・20・・・・

 京都で午前0時までのカウントが始まる。

 全国民は新しい瑞穂暦の始まりに期待を膨らませる。

 10・9・8・7・6・5・4・3・2・1・0

 全国で1万数千発の花火が打ち上げられ、全国で新しい時代の始まりを祝った。

 「随分、盛大じゃないか」

 「ほかの星にでも行かない限り、こういう事はないだろうけどね」

 「来年のいまは、極東日本も花火が上がるな」

 「あまりみたくないな」

 「しょうがないよ。法的にも完全にアメリカ合衆国51番目のApan州の誕生だ」

 「我が祖国に行くのにパスポートか、やれやれ、ユダヤ人の気持ちが分かるな」

 「おれ、それ言ったら “全然違う” とユダヤ人に殴られた」

 「そうなのか?」

 「祖国を失った流浪の民の苦しみが分かるのは、ジプシーくらいだそうだ」

 「日本の統治者が日本人を保護しているみたいに思いやがって」

 「放蕩生活に少し憧れるんだが」

 「生かさず殺さずという事を知らないんだよ」

 「まぁ ぶっちゃけ、ムラ社会の縛りとか、徴就制には、飽き飽きだがね」

 「日本人って、根回しとか、派閥とか、陰険過ぎて嫌だよ」

 「・・・まぁ 豪州に移ってかなり変わったがね」

 「微妙にね」

 「瑞穂実る国になるだろうか」

 「さぁ・・・」

 日本人の意識変革は、ゆっくり、

 そして、確実に進んでいく。

 

 01/03

 アメリカがキューバと国交断絶。

 

 01/04

 アフリカ8ヵ国首脳会議が開かれる。

 

 01/08

 南フランス 首都アルジェ

 南フランスは、フランス統一と袂を分かつようにアルジェに首都を移した。

 奴隷制度を敷く、その国風は20世紀のアメリカ連合国とも言われた。

 北フランスは統一戦争を起こす気もないのか、静観。

 くの字に狭くなった国土で過密的な資本投資を繰り返し、

 極度の近代化を成し遂げていた。

 “南北フランス離婚?”

 新聞を賑わせていた。

 ドイツ人は、わたしはフランスが大好きで二つある事が嬉しいという始末。

 とはいえ、南北フランスとも、行く末が違うだけで順調に国力を伸ばしていく。

 実のところ南北フランスとも作為的といえた。

 南フランス(25万ku)は、アルジェリア(238万1741ku)と合わせると、263万1741kuを超える大国。

 人種撲滅という汚い仕事をするため南北二つのフランスで分かれただけ、

 協議離婚にも見えた。

 フランス人であれば、南北の行き来は自由であり、自由に移動でき国籍を変更できた。

 フランス人も都市の北フランスと田舎の南フランスを選べるが気に入られたらしい。

 軍事費は、徐々に増え、ドイツ、イタリアを警戒させているが脅威に至らない。

 しかし、いずれは、ドイツ帝国にも負けないという気概はあるように思えた。

 北フランスの敵は、公害であり、

 南フランスの敵は、アルジェリア人と言えた。

 アメリカも極東で差別政策を推し進めており、

 先進国は、どこも人種差別で反発していない。

 日本人は特別扱いされているので黙っているだけ。

 北半球の白人世界は広がる傾向にあり、

 地中海沿岸、中国北東部も白人の世界と言えた。

 アルジェの湾が望めるカフェテラスは南フランスを強調していた。

 白人客に日本人たちが混ざって座っていた。

 「米独ソ白人連合が組む可能性は?」

 「利害が合えば、ありそうだね」

 「合うかな」

 「日本が脅威になればね」

 「それでエセックス12隻か」

 「まぁ そんなものだろう」

 「ところで、北フランスの製造業が急速に伸びているようだな」

 「いずれ追い付くとしても、当面は、南フランス製を買うべきだろう」

 「気取り屋がみさかなく働くと怖いな」

 「ドイツも農業に人口を取られて、少し、遅れ気味だ」

 「広い大地を均等に近代化することなどできんよ」

 「北フランスと南フランスの格差を見れば即分かりだ」

 「ドイツは、汚い仕事ができる劣等民族を追い出してから失速気味だよ」

 「いつまでも高品位の軍事力を維持できるものか、民需に切り替えた方が効率が良い」

 「宇宙ロケットを飛ばしているからだろう」

 白人たちの視線を感じるが敵意というより興味。

 店員の対応も礼儀正しく、差別こそされていない。

 「いつまで続くかね」

 「尊敬を勝ち得ている間かな」

 「日本人って、そんなに人格者だったかな」

 「さぁ 軍事力だけじゃないってところも見せたいね」

 「山を削って、運河を作って?」

 「そんなところかな」

 

 

 01/14

 新横浜のマリンタワーが完成する。

 

 インドのトロンベイで、第2原子反応炉が操業を開始する。

 

 01/15

 カイロで、第1回アジア・アフリカ女性会議が開催される。

 

 01/17

 34代大統領ドワイト・D・アイゼンハワー

 「・・・今日、我々は、過度な投資と近代科学の向上により新しい時代に直面しています」

 「利便性は高められます、しかし、残念な事も少なくないでしょう」

 「小さな工場、研究室で個人が得られる栄誉は相対的に小さくなっていくでしょう」

 「また数百から数万の先進技術を集約させた兵器体系は、即効的な対応が求められ・・・」

 「その一つでさえ、国力を大きく削ぐでしょう」

 「核兵器の保有は、全人類を新しい世界に直面させてしまいます」

 「今後も軍事力と経済力とも膨大な開発費を必要とし」

 「それまで存在しなかった軍産複合体と、それを支える雇用者の意見が強まるでしょう」

 「ドイツ、日本、イタリアがそうであったように・・・」

 「軍産複合体の資金力によって議員が選出されたり」

 「民主的に選出した議員が非合法な脅迫に屈伏する可能性もあるわけです」

 「欲に目が眩んだ暴力によって、良心が殺害されることもあり得るのです」

 「一部の特権階級により、アメリカが右翼化する可能性を秘めているのです」

 「開発はますます莫大なものとなり、国民の負担はますます大きくなっていくでしょう」

 「アメリカ合衆国は民主主義です」

 「必要とする軍事力と経済力により、個人の人権や主張が押し潰されない事を節に祈ります・・・」

 「私は金曜日の正午に一市民となることを誇りに思い」

 「そして、楽しみにしています」

 34代大統領ドワイト・D・アイゼンハワーが去り。

 35代大統領ジョン・F・ケネディが誕生する。

 

 01/24

 奈良、平城宮の発掘で、ゴミ穴から41点の木簡が発見される。

 

 02/02

 長岡地震。マグニチュード5.2、死者・行方不明者5人、家屋損失220戸。

 

 02/08

 アメリカとインドシナが経済技術援助協定を締結。

 

 02/10

 パリでEEC6ヵ国第1回首脳会議が開催される。

 

 02/12

 ドイツが人工衛星からの金星ロケット発射に成功する。

 戦後、15年、優生遺伝工学に基づいてジーンリッチ種族が生産されていた。

 人工的に優生遺伝人種を容認するドイツ社会だった。

 しかし、別のベクトルも存在した。

 ルイ・フェルディナント・フォン・プロイセン(54)

 ヴィルヘルム2世の孫がロケットを見上げる。

 アドルフ・ヒットラーが悪事と一緒にドイツ第3帝国から出奔すると、

 旧ドイツ貴族が幅を利かせ始める。

 ヒットラーは、ドイツ貴族を既得権益に浸る豚の様に考え軽蔑していた。

 しかし、ドイツ社会は、ジーンリッチ同様、貴族もステータスとして容認していく、

 フォン・プロイセンは、次の選挙でドイツ帝国の総統になりかねない人気だった。

 「・・・彼の影響力は少しずつ消えていくな」

 「いまのところ、権力は金融だけですし、年齢的に退いてるのでしょう」

 「権力に執着せずか、気質が潔くて好きだな。好感が持てるよ」

 「ドイツ人の総意に不満が残っているようでした」

 「ですが彼個人の歴史的な偉業は達成されていますし、それで、満足したのでしょう」

 「ヒットラー総統も神ではなく、一介の独裁者に過ぎなかったわけか」

 「しかし、エヴァ・ブラウン銀行を怒らせるべきでないと思いますが」

 「わかっている。ヒットラーの子供たちも戻ってくるだろう」

 「賛同者は多いかもしれません」

 「だがジーンリッチは若いからね。能力が高くても経験不足はいがめまい」

 「最年長でも20歳程度ですから」

 「ジーンリッチに反対するものではないよ。彼らの才能は隔絶しているからね」

 「しかし、もうしばらくは、ナチュラルに任せて貰いたいものだな」

 「ええ、ドイツ人の総意は、まだナチュラルにありますから」

 「現にアメリカ合衆国でも我々の技術で優生遺伝の子供たちが生まれているからな」

 「USA in USAは、ドイツ第3帝国の支部のようなものですし」

 「有力者は自分の子供の優生遺伝を望みますからね」

 「優生遺伝の精子と卵子はドイツ第3帝国に集中していますから・・・」

 「日本でも遺伝子工学が研究されていると聞いたが?」

 「はい、器用な人種ですので」

 「不器用なドイツ民族の補完になるかもしれないな」

 「多少、小心で小賢しげな部分が気になりますが・・・」

 「それをなんとかするのが優生遺伝なのだろう?」

 「はい」

 

 

 02/12

 コンゴ(ザイール)首相ムルンバが殺害される。

 

 02/13

 コンゴのムルンバの暗殺

 ドイツ・イタリアがコンゴに新たな干渉をすると通告する。

 コンゴ沖

 ドイツ海軍6万トン級空母シュレージェン

 「アメリカ空母機動部隊が並走する気のようです」

 「5万9000トン級空母フォレスタル型サラトガか。ポンポン空母を建造しやがる」

 「アレで牽制しているつもりでしょう」

 「F3Hデーモン、F4Dスカイレイ、ダグラスA4スカイホークか」

 「電子装置を別にして、アメリカは5年ほど遅れている」

 「極東アメリカが軌道に乗れば経済力がついて、巻き返してくるのでは?」

 「それが一番怖いな」

 「豪州日本との友好関係は崩せませんね」

 「まぁ 忌々しい事にな。せめてコンゴで足場を作りたいものだ」

 「ポルトガルは、共同統治でも良いと?」

 「アンゴラ、モザンビークはともかく、ゴアは考えものだな。インドとケンカしたくない」

 「しかし、ゴアなら海軍基地を建設できそうですが、インドでは無理では?」

 「ゴアに武器を輸出しているらしいが防衛は、収支を悪化させる微妙だな」

 

 

 02/17

 徴就労働条件検討委員会が初会合を開く。

 

 上野動物園にマカロニペンギンが初来園する。

 

 02/18

 政府が農業基本法案を衆議院に提出する。

 「公平な土地分配で近代化や開発ができるものかな?」

 「代替地は、準備できますし、公示価格資金さえあれば私有地を移動して貰えるものです」

 「んん・・・」

 「移動した方が儲かりますよ」

 「人はストレスを受けても、都心に近い都市が好きだからな」

 「利便性の問題ですよ。最近は物流と交通が広がって、郊外化も進んでいます」

 「ほとんどの国民は、成長が拡大していることを知ってますし」

 「タイムラグはあるよ」

 「水を引き込んで、なるべく公平な代替地を用意しておきます」

 「私有地と公有地の違いはあるが、まるで7世紀中頃から始まった口分田制度だな」

 「人口より土地が大きいからでしょう」

 「というより開発しなければならないアネクメネ(居住不可能地域)が大き過ぎるのだ」

 「やはり、積極的な労働力と依存する消費者の方が近代化させやすい」

 「これ以上、個人生産者を増やさない方がいいが、そうもいかないか・・・」

 「問題は、消極的な労働力しか得られない徴就制です」

 「もう、農民から土地を取り上げるのは難しいよ」

 「それに政府が社会保障で老後の面倒を診せられるのも御免だ」

 「小さな政府の方が機関の硬直に耐性があり、老害対策で良いと思われます」

 「問題はアメリカの要求だな。何であんなに必死なんだ。公民市場のどこが嫌なんだ」

 「アメリカは、貨幣制度を介しての人民支配ですから」

 「非貨幣制度的な公民市場は困るのでは?」

 「もう、放っといてくれと言いたいね」

 「自由資本主義に浸透しやすいのは、反発しやすい共産主義でなく」

 「日本やドイツのような全体主義ですから、アメリカ資本は、敵意を持ったと思われます」

 「現在進行形か」

 「ドイツは連邦化、日本も民主化に歩み寄ったので、矛先がソビエトに向いたのでしょう」

 「ですが公民市場が今後大きくなり」

 「アメリカ社会に影響を与えるようになれば、日本に攻撃的になるかもしれません」

 「やれやれ、民族自決で自主独立したいのだがね」

 「相変わらずゴリ押しな国だな」

 「ドイツ、ソビエト、アメリカが戦略爆撃機を互いに向け合っているので、バランス次第かと」

 「・・・・」 ため息

 

 02/20

 ケネディ大統領が就任式で極東アメリカ・ニュー・フロンティアを強調する。

 

 

 極東信託統治領(満州・朝鮮・台湾)の防衛の半分は土木工事によってなされていた。

 人海戦術でも急勾配で造成された山海関は、越えられなかった。

 アメリカ合衆国にとっての救いは、中国大陸が統一されておらず、

 人海戦術を行使できる前に防波堤の工期を終わらせられそうな事だった。

 精強な戦車でも人民の海に飲み込まれれば助からない。

 そのための造成工事であり、

 たとえ人海戦術で押し寄せても、川の様に誘導され、

 群衆が絞り込んだ状態で大砲を撃ち込むだけで数千人を一度に無力化できた。

 「アメリカ政府は大陸側をどうするって?」

 「さぁな。あいつらは労働者を欲していながら有色人種を排他したがるから矛盾している」

 「資本主義が強くなれば有色人種は労働者として命拾いする」

 「民主主義が強くなれば有色人種は排斥される。それだけだろう」

 「それで、極東信託統治領に黒人を移民か、分かりやすいな」

 「ソビエトに対しても、中国に対しても、異質であることが防衛に繋がる」

 「自存自衛というやつね」

 

 

 03/06

 公民市場大会が開催され、非貨幣構造改革案を軸とする公民運動方針を承認。

 国連で日・独・伊・米・英の通貨為替調整事務局が創設。

 

 03/09

 非徴就労働者全国労働組合創設。

 

 03/14

 アメリカのケネディ大統領が中南米開発援助10ヵ年計画の進歩のための同盟を提唱する。

 

 03/15

 日光東照宮の薬師堂(重要文化財)の秋津への移転が始まる。

 アンゴラ動乱が始まる。

 

 03/16

 豪州 新神戸で、国産水中翼船どるふぃん号完成する。

 

 03/20

 重工業関係300品目に対する貿易自由化が発表される。

 

 03/24

 ニューデリー

 世界平和評議会大会が開催される。

 

 大和大陸

 豪州日本は徴就制で第二次、第三次産業人口を確保。

 急速に国力を高めていく。

 一時落ち込んだ貨幣経済も貸家と飲食産業が増え、ようやくインフレが進む。

 ごった返す日本人移民者と観光客に混ざり、アメリカの諜報員たちが入国する。

 「・・・随分、豊かな国になったな」

 「むかしならダラダラと戦うだけで、日本を日干しにできたのに、もう、無理だな」

 「だらだら、戦っていたから豪州を占領されたんだ」

 「豪州を占領されたのは、戦艦部隊ごと真珠湾に突っ込んできたからだ」

 「窮鼠猫を噛むか、時間稼ぎになっただろうな」

 「いくら国力があっても、反攻の拠点を奪われたら年月が失われる」

 「それだって巻き返せたさ、日本産業は破綻していた」

 「日豪交換を言いださなければな」

 「アメリカは侵略を否定していたから色めき立つわな」

 「だいたい、あれで欲の皮をつっぱらかせたのがいけない」

 「合法的にフロンティアが手に入る。それも中国大陸の権益付きだぞ。誰が拒める」

 「まぁ おかげで北半球は三竦みで、豪州日本だけはバッファー・ゾーンだ」

 「良いよねぇ 高見の見物が出来るって」

 「それより、エヴァ・ブラウン銀行の影響力は、思ったより少ないようだ」

 「んん・・・系列企業の広告が少ないが台風の目ってやつだろう」

 「豪州日本を隠れ蓑に資本を置き、名義をドイツ所有にしているのかな」

 「ユダヤがアメリカとイギリスの金融資産をクロス保障させているのと似ているね」

 「つまり、エヴァ・ブラウン銀行は、豪州日本に潜んでいる状態か」

 「大和大陸の資源は、ドイツに流れやすいから、チタンは、問題なさそうだな」

 「タングステンは、まだ、採掘されていないようだ」

 「豪州日本のピザは水の問題を解決すれば、アメリカ合衆国並みに大きくなりそうだな」

 「個人生産者という形でピザを広げるのは、権力統制を意識せず済む、ありだろうな」

 「まぁ 徴就制でどこまで生産効率を上げられるか、怪しいがね」

 

 

 04/01

 公民養老チケット・公民保険制度が作られる。

 

 04/01

 インドで、第3次5ヵ年計画が開始される。

 

 04/04

 辻政信参議院議員が東南アジア視察に出発する。

 「戦後の日本人は、どいつもこいつも戦前戦中の気概を失いコアラ化している」

 「ほのぼのとしてしまいましたからね」

 「愚民バカどもが、世界史どころか、日本史すらも忘れておる」

 「人間の歴史は有限な資本、資材、人材を奪い合ってきた」

 「モノを想像し、開発し、練熟させ、守りながら運営を軌道に乗せ・・・大変だろう」

 「ええ」

 「人間の欲望は想像力や労力よりはるかに大きい」

 「だから奪おうとするのだ。だから争いがなくならないのだ」

 「人の皮を被った魑魅魍魎だよ。簡単に金と権力の亡者となってしまう」

 「恩を返すより復讐心の方が強かろう」

 「ええ」

 「優越感に浸り自己満足を得るために他者を貶める。それが幸福なのだ」

 「量を増やす事を望み、質の変革など望まない」

 「惰性は向上心に勝り、硬直は成長より強いのだ」

 「キリストも言ってる。死人は死人に任せろと」

 「皆、自己変革を望んでいない生きてるとは名ばかりの死人なのだ。それが人間なのだ」

 「生み出し育て成長させるより、相手を殺して奪う方が楽だ。だから戦争がなくならない」

 「ええ格好しぃのアメリカ合衆国を見てみろ」

 「資本家は国内工場を潰してでも儲けようとする」

 「世界は利己主義によって成り立っている」

 「己の権力を欲して、他者を権力から引き摺り落とし」

 「己の財を欲して、他者の財を奪い」

 「己の自由を欲して、他者の自由を束縛し」

 「己の生存圏を押し広げるため、他人の生存圏を踏み潰してきたのだ」

 「異国同士の融和などありえんのだ。最近の軟弱な風潮は我慢ならん」

 「仮想敵の喪失がそうさせたのでは?」

 「覇気を失ってはならん。なにが政治外交戦略による拮抗だ。バカが」

 「インドネシアが軍国主義化しない限り、目が覚めそうにないな」

 「第1戦艦部隊の特攻は、日本民族の気概、誇りです」

 「真珠湾に記念艦を造らせればいいのに政府まで反対しやがる」

 「アメリカに返還しますからね。まぁ アメリカ人は前向きですが日本政府の方が・・・」

 「日本政府のヘタレが。アメリカ人だって歴史的な遺産をなくすものか」

 「奇襲で先制攻撃で開戦は、ダーティ・イメージが強いので嫌なのでは?」

 「先に主砲を撃ったのはアメリカだ。俺が生き証人だ」

 「まぁ 領海突破の時点で宣戦布告のようなものですから」

 「日本の歴史的な意義があるだろう」

 「ええ・・・まぁ・・・」

 その後、東南アジアで辻政信参議院議員は行方不明となる。

 

 

 04/06

 サラリーマン公民金融が始る。

 

 04/06

 南フランス政府とアルジェリアの人権交渉が開始される。

 

 04/12

 世界初の有人宇宙衛星船エヴァ・ブラウン1号がガブドス島宇宙基地から打ち上げられる。

 地球を1周したキルヒアイス少佐は “地球は青かった” と報告。

 

 04/16

 キューバでカストロが社会主義革命を宣言する。

 

 ドイツ帝国 ゲルマニア(旧ベルリン)

  重量 全長 全長×全幅×全高 馬力 速度 航続距離 武装 乗員
タイガーV 50 10.29 7.26×3.76×3.08 1080 60km 400km 71口径88mm×1 7.92mm×2 4
新型戦車 50 10.29 7.26×3.76×3.08 1280 70km 400km 60口径105mm×1 7.92mm×2 4
T55 36 9.20 6.45×3.27×2.35 580 50km 450km 56口径100mm×1 12.7mm×1 4
7.62mm×2
M48 44 9.30 6.35×3.65×3.10 810 48km 463km 51口径105mm×1 12.7mm×1 5
7.62mm×2
センチュリオン 52 7.60 3.39×3.01 650 34km 450km 51口径105mm×1 12.7mm×1 4

 新型戦車が試作されていた。

 寸法はほぼ同じ、にもかかわらず、外見も中身も、全く違うものになっていた。

 装甲は薄くなり、重量分の余裕が火力重量に転化されていた。

 インホイールモーター12輪で加速が可能であり、機動性が高まっていた。

 1両当たりの製造単価を押し上げたが重量/馬力比の関係で稼働率と耐久年数が向上していた。

 質のドイツ、量のソビエトの関係は変わらないと考えられていた。

 「おい、ソビエトが55口径115mm滑空砲の研究を進めているらしい」

 「ちっ やっぱりそう来たか」

 「ではこちらも滑空砲に?」

 「一応、ラインメタル社が44口径120mmを開発しているがね。搭載も出来るよ。しかし・・・」 ため息

 「APFSDS(装弾筒付翼安定徹甲)弾で使うタングステンがない」

 「かといって、対戦車用砲弾のHEAT(成形炸薬)弾だけだと、うまみが少ないからな」

 「どこの国でも、そう考える。どんなに有利な兵器でも国情が許さなければ作れない」

 「複合装甲は?」

 「まぁ おいおい進んでるがね。予想される火力から車体を守るのは至難の業だよ」

 「セラミックも、カーボンも、シリコンも、チタンも、長短あるからね」

 「チタンは航空機関連が取りたがるからね」

 「共有部品なら戦車でも使ってるよ」

 「ジェット戦闘機も最近、追いつかれていないか?」

 「南極開発費が余計だっただろう」

 「いや、あれは、日本の専有を許したくなかっただけ」

 「だいたい、地政学で不利なんだから南極は無理なんだよ」

 「国内開発開発しなきゃならないのに無理させやがって」

 「いや、アメリカも極東開発していたから相当無理してるはずだよ」

 「やれやれ、どいつもこいつも小賢しいことするから足並みがおかしくなる」

 「まず、分母を大きくしないとな」

 「分母十分に大きいよ。分子を充実させるべきだよ」

 「国防費に関して言うと、そうだよな」

 「Ta1958とMe1960は?」

 「アメリカのF100系も、ソビエトのMiG19も恐れるに足らず、たぶん最強空軍を維持できると思うよ」

 「F4ファントムとか言うのは? たしか開発中だろう」

 「ああ USA in USA の情報だと、P47サンダーボルトの感覚だと」

 「あのタイプか、好きだなアメリカは」

 「乗って安心侵攻型は、考え方として分かるけどね」

 「ドイツの国情だとどうしても、迎撃機にるからね」

 

 

 04/16

 ノルウェー与党の労働党がNATOの核配備をめぐる問題で分裂、

 反核を主張する社会主義人民党が結成される。

 

 04/17

 キューバでCIAによるピッグズ湾事件が起る。

 

 04/19

 DC6旅客機。

 「大使。もうすぐ、豪州日本です」

 「そうか、エセックス型空母の引き渡しをしなければならないな」

 「良いのですか?」

 「極東日本の細々としたモノを持って行かれるよりはな」

 「アメリカにとっても日本にとっても、好都合ということですか」

 「日本は、潜水艦を建造したがっているらしいがね」

 「だから空母を?」

 「潜水艦を望んでいる国には転売させないように空母を与え」

 「空母を望んでいる国には転売させないように潜水艦を与える」

 「いやがらせが国際外交の常識だよ」

 「公民市場は? 適正な経済競争は国家の成長で確かに必要だと」

 「アメリカの資本家どもは、貨幣経済を介さない公民経済の波及を恐れているだけだ」

 「戦前の日本軍より、戦後の公民市場を恐れているよ。彼らの成功をね」

 「波及すれば、共産主義以外の形で、富の分配を強要されますからね」

 「しかし・・・資本家連中好みの事を言ったものの・・・どうしたものか?」

 「アメリカの競争は適正なレベルを越えてのマネーゲームですからね」

 「数百、数千、数万の人間から土地や富を奪い合い、労働を強制し、富を集中させる」

 「不幸な人間を作って、お金持ちになり優越感に浸ることが本当に幸せなのだろうか・・・」

 「負けた人間に立ち直る機会が与えられているが成功率は減退している」

 「わたしは、日本に生まれ、日本軍と戦ってきた」

 「しかし、どちらも誇りにしたいものだな」

 アメリカ駐日大使としてハーバード大教授のライシャワーが着任する。

 

 

 04/22

 南フランス首都アルジェ

 反ペタン派のフランス軍退役将校らが反乱を起こした。

 タイガーV同士が砲撃戦を繰り広げ、市街戦となった。

 砲声が轟き、フランス人同士が殺し合った。

 ホテル

 「凄いねぇ 今どき首都で市街戦なんて」

 「近代国家として恥ずべきだね」

 「現地民を抹殺し過ぎて壊れちゃったんだと思うよ」

 「殺伐としたのになれるのって考えものだね」

 「だけど、タイガーV戦車同士の砲撃戦って、決着つかねぇ」

 「同じ場所に2発命中か、至近距離で撃ち合うしかないのな」

 「でもこれで、アルジェリア人に対する反発は大きくなるし弾みがつくんじゃない」

 「そりゃ アルジェリア人に同情はするけどさ」

 「アメリカも表立って反発してないし」

 「ドイツも、イタリアも人種差別肯定してるし、このまま行きそうだな」

 「アメリカはどうするんだろう。アメリカ憲法を否定するのかな」

 「白人は、有色人種の隣人を嫌だと思ってるからね」

 「俺の隣人は、別に嫌っていない気がするぞ」

 「有色人種で、このホテルにいるのって日本人だけだろう。特別だよ」

 「・・・政府軍側がかなり優勢だな」

 「うん」

 

 

 新京都 首相官邸

 「ようやくインフレが進められる」

 「下手にインフレやると国民は生活苦。倒閣ものですからね」

 「だいたい、アメリカ極東信託統治領を人間牧場だとか、過激に反応し過ぎだよ」

 「人の間(あいだ)で生きていける人格を持つ。それが人間らしいと言えます」

 「まったくだ。大家とか社宅まで人間牧場みたいな反応をされては困るよ」

 「自給自足の小さなコミュニティーで、円満で人間らしい気質など得られませんからね」

 「徴就制は国民の人格的な修養も含んでのことだ」

 「素のままの我が侭を押し通すような輩は、社会の害以外の何物でもない」

 「最近は “礼儀” を “媚び” と反発しますから呆れますよ」

 「まぁ 貧富の格差を大きくしないと、資本、労働、資材を集約できんからな」

 「極東日本から撤収できれば、外資が入ってきますので経済効率が向上しそうです」

 「新興産業の雇用確保も相当大きくなりそうだな」

 「徴就人口も増やさないと駄目でしょうね」

 「産業界は20年以上働かせたがってるよ」

 「徴就年月は最大で5年ですからね。それ以上は、使用者側の責任です」

 「自分の土地があるのにいつまでも他所で働くものか、代わりの徴就者と後退させるべきだな」

 「まぁ 慣れるまで半年くらい必要ですからね」

 「財界が同族経営の弊害があるとブスくれてますよ」

 「どうせ、閨閥人事だろう、大多数をボロ雑巾のように使いたがれても困るよ」

 「あまり長い間農地を放置させられても困るしね」

 「公民市場は、任期後の選べる種の品種を増やして欲しいそうですよ」

 「ちっ 農業優遇政策を続けるしかなさそうだな」

 「社会保障の優遇でなく、政策の優遇で済むので助かりますがね」

 「弱者・老人・不具者を切り捨てられる政策が出来るドイツが信じられんよ」

 「ある意味、羨ましいですがね」

 「まったくだ、日本人にも、死んで欲しいやつは一杯いるからね」

 「少なくともまだ平均年齢が低い事が幸いです」

 「今後は、平均寿命が延びていくだろうな」

 「それはそうと潜水艦120隻の解体はいいとして、エセックス型12隻をどうするんです?」

 「たしか・・・哨戒空母8隻、強襲揚陸艦4隻じゃなかったかな」

 「本当に必要なんですか?」

 「全然いらん、むしろ、原子力潜水艦の方がマシ」

 「はぁ〜」

 「日本から豪州に設備を運ぶより楽だからしょうがないよ」

 「アメリカとの付き合いで落とし所ですか?」

 「アメリカが極東に張り付いてからというもの、海軍力の縮小で困ってるらしい」

 「マッチポンプじゃないですか」

 「良くある話しだ」

 

 05/04

 アメリカ

 黒人と白人の公民権運動家を乗せたバスが南部の黒人差別に抗議。

 ワシントンを出発する。

 

 05/05

 アメリカでマーキュリー・レッドストーン・ロケットが有人弾道飛行に成功する。

 

 05/27

 マラヤのラーマン首相がマレーシア構想を提起する。

 

 

サーブ35ドラケン
推力 自重/運用重量/最大備重 全長×全幅×全高 最大速度 航続距離 武装 ミ・爆
5689/7850kg 8250/11400/17650 15.35×9.4×3.89 2119km/h 1763km 30mm×1 2000kg

 

 

 初飛行が終わったばかりの機体が豪州日本で組み立てられた

 これは契約を結んだからと言える。

 ドラケンより強力な機体は、ドイツで飛んでおり、アメリカでも開発されていた。

 にもかかわらず、豪州日本はドラケンを採用し購入した。

 国際外交政治で日本がフリーハンドを得るためであり。

 豪州が軍事競争しなくてもいいほどの好立地にあることの証明であり、

 少ない軍事費で費用対効果が認められることにあった。

 「空母を買わず、航空機開発費くらい出せばいいのに・・・」

 「波風立てたくなかったんだと」

 「はぁ〜」

 「戦車と装甲車類は、ドイツ製のライセンス生産になりそうだよ」

 「適当だな〜」

 「侵攻部隊の2分の1でも負けないとか言うからだ」

 「内陸に引き込んで戦えればね」

 「国民を巻き込みか?」

 「その方が軍民一致が可能になる」

 「大戦中は、口先ばかりで、まったく一致していなかったからな」

 「ていうか、戦争に巻き込まれる可能性すらほとんどない」

 「最近、外交力が上がってないか」

 「安全地帯にいると外交は楽だよ」

 「おかげで弱い」

 「敵がいなくて軍内部で分裂するより。戦力不足で結束していた方がいいんだよ」

 

 06/06

 徴就・雇用の格差是正と促進事業団法が公布される。

 

 06/12

 マン島オートレースの125ccと250ccで本田技研工業のチームが優勝、

 オートバイ輸出増加への道が開ける。

 

 06/15

 原燃公社が岡山県人形峠でウラン鉱床を発見する。

 

 06/19

 クウェートが独立する。

 

 06/21

 東京五輪の種目で柔道・剣道・バレーボールがIOCで決定する。

 池田・ケネディ日米首脳会談が行われる。

 「日本の安全保障でエセックス12隻は妥当ですよ」

 「はて、どこかの国が攻めてくるような可能性があるのですか?」

 「まぁ “備えあれば憂い無し” と先人の日本語があるではありませんか」

 『この腐れ外道・・・』

 「確かに・・・」

 「中古の電線、配管やコンクリートを剥ぎ取って豪州まで持って行くことないと思いますし」

 「ワザワザ、極東日本から運んで使うような物でないモノばかり」

 「エセックス型空母と同じで。お互い有効活用ですよ」

 「まぁ それはそうですが・・・・」

 「それなら、一部をエセックス型12隻と交換すると割安じゃないですか」

 『維持費がかかるわい』

 「双方とも国益になうことではあるし、ここは握手すべきではないか」

 ・・・握手・・・

 

 

 06/25

 イラクがクウェート併合を要求する。

 

 06/29

 イラク軍がクウェートに侵攻する。

 

 07/01

 イラクのクウェート侵攻に対してイギリス・サウジアラビア軍がクウェートに進駐する。

 

 07/18

 チャップリンが来日する。

 

 07/18

 国防会議で豪州日本防衛力整備計画が検討されていた。

 「まず、豪州日本の開発が進むほど戦利品としての価値が大きくなっています」

 「豪州日本を侵略・支配する事で得られる利益は、ますます大きくなっているといえます」

 「その事が豪州日本を守り、国民の生命財産を守る、最大の理由です」

 「しかし、国民の国防意欲が低いことが最大の問題と言えるでしょう」

 「戦前・戦中の経験則だと、軍と民の認識差に悩まされました」

 「敵に先制攻撃をさせた方が国民の戦意高揚を保ちやすい」

 「そういった事も踏まえて国防を考えるべきでしょう」

 「それだと、問題はキンメルの様に無能扱いされて退陣させられる事でしょうかね」

 「まぁ、彼を無能だとは思いませんが戦略的な力点を得ようと思えば覚悟すべきでしょうか」

 「想像を超える攻撃を受けなければ良いのですがね」

 「確かに・・・しかし、優秀な将校は揃っているようなので支障はないかと・・・」

 『『『『『どこの国が攻撃してくるんだろう・・・』』』』』 苦笑

 「まぁ 戦意高揚のための予算を手抜きできますがね」

 「しかし、現代戦だと悠長過ぎませんかね」

 「民主化が進んでいますので・・・」

 「国民の戦意がなければ戦線が維持できない状況ですし・・・」

 『『『『『どこの国が攻撃してくるんだろう・・・』』』』』

 「現在の係争の焦点は、北半球の東部戦線、中東、満州です」

 「豪州日本は係争の焦点から離れ過ぎているので・・・」

 「日本国民は、国防意欲がない」

 「その部分で隙が生まれ、付け込まれると考えられます」

 『『『『『どこの国が攻撃してくるんだろう・・・』』』』』

 「中国情勢は、無法者が携行武器を保持し、大陸全域の治安を悪化させています」

 「また、麻薬なども蔓延している状況ですし」

 「こういった事柄からも、国防に隙を作ってはならず・・・」

 『『『『『どこの国が攻撃してくるんだろう・・・』』』』』

 「また、満州・樺太域の米ソ対立も豪州日本への火種となる可能性もあり・・・」

 「「「「「・・・・・」」」」」 ため息

 

 

 07/19

 東大の調査団がイスラエルのアムッド洞窟でネアンデルタール人の人骨を発掘する。

 

 07/19

 チュニジアでイタリア軍と民族解放軍の衝突が起こる。

 

 08/06

 ドイツのエヴァ・ブラウン2号が地球を17周する。

 

 08/13

 岩手県の安家洞が日本一の長さの鍾乳洞であることが確認される。

 

 08/15

 新東京(旧シドニー)で、ソ連工業見本市が開かれ、ミコヤン副首相が出席する。

 

 08/27

 南フランスが反乱軍の殲滅を宣言

 

 09/10

 イラクのクウェート侵攻に対してアラブ安全保障軍が交代してクウェートに進駐する。

 

 09/15

 ケネディ大統領が核実験再開を発表し、ネバダで核実験が行われる。

 

 09/16

 豪州日本は、土木建設のための核利用を検討する。

 

 09/17

 ドイツ総選挙でキリスト教民主同盟が第1党となる。

 

 09/20

 米独ソが軍縮共同宣言を行う。

 

 09/25

 日本航空がジェット機ボーイング367-80を採用。

 「この機体が観客20万人の真上でバレルロールをやったのか」

 「なんか、それだけで買い、という気がするね」

 「まぁ 戦闘機でドラケンだから、旅客機でバランスを取らないとね」

 「本当は国産が良いんだけどね」

 「慌てる必要はないよ。いずれアメリカを追い抜ける」

 「だと良いけどね。総人口9400万。緑化を急がせないと」

 「水は、最大の問題だよ」

 

 国連総会でアメリカのケネディ大統領が、米独ソ軍縮協議を提案。

 

 09/28

 シリアで、軍事クーデター。アラブ連合から離脱する。

 独伊信託統治領パレスチナ

 「シリアがこけたか」

 「工作だけで敵対勢力を切り崩せると爽快だな」

 「ゲシュタポがやったの?」

 「らしいよ。まぁ モサドとの諜報戦で偶発的に起きたみたいだけど」

 「モサドか、あいつら、何かとケンカを売ってくるからな」

 「マダガスカルを制したら、パレスチナに侵攻する気かも」

 「無理だろう」

 「無理でも思う事は自由だよ」

 

 

 10/01

 カメルーン連邦共和国が成立する。

 

 10/25

 バラオ・ガトー型ハウスが大和大陸沿岸に並ぶ。

 アメリカ潜水艦150隻の再利用計画の一つだった。

  排水量 全長×全幅×吃水
海上 1526 95.02×8.31×4.65
海中 2414

 モスボール化されていた潜水艦の兵装・機関を剥ぎ取り、

 内装を整備し、国民宿舎代わりに使うというものだった。

 「・・・政府が核の土木建設利用の歯止めを検討してるみたいだけど」

 「人工湖は欲しいけど生態系を先に調べてじゃないかな」

 「たぶん、米独ソが兵器利用ばかりだから、様子見なんだよ」

 「放射能も怖いからな・・・」

 男たちが潜水艦の舷側に開けられた玄関扉から艦内入っていく。

 「・ほぉ〜・・・潜水艦も、随分と変わり果てたな」

 「木目調室内は、やっぱり基本だろう」

 「アメリカ人も泊まりやすそうだ」

 「農民だって旅行ぐらいしたくなると思うよ」

 「そんなとき、こういう軍事モノが良いんだよ」

 「落ち着かないんじゃない?」

 「日本人の本質は脊髄反射戦闘民族だから、こういうの好きだと思うよ」

 「徴就者は、1隻何人ぐらい?」

 「そうだねぇ 2階建左右にシングル7部屋で14室で倍だから28室だから・・・」

 「サービスの度合いもあるけど従業員は10人くらいか」

 「良く既存の旅館組合からクレームが来なかったね」

 「既存の旅館組合の別館所有だもの。修学旅行にぴったし」

 「伊号じゃ作らなかったのかよ」

 「あの時は、徴就制とれなくて、従業員が足りなかっただろう」

 「4隻くらい験しに作ったけどね。解体したに決まってる」

 「はぁ〜」

 「しょうがないよ。モスボールまでして伊号を保存する必要はなかったし」

 「まぁ せいぜい稼いでもらえればいいけどね」

 「一応、国防意識を育てられるだろうという、思惑で支持者もいるんだぞ」

 「なるほどねぇ・・・推理物の舞台で良いかも・・・」

 「だろう、経済は、相乗効果だよ」

 「海中ホテル型もあるの?」

 「あるというか・・・満潮で甲板くらいかな。海中展望窓も、まぁ 飽きないかな」

 「維持費がつらそうだな」

 「塩害があるから。ガラス・亜鉛メッキの塗装とか、ちょっとね」

 「掃除洗濯、布団の乾燥もあるから従業員は辛いかもね」

 「若者向きだね」

 

 

 

 10/30

 ソ連が50メガトン級の大型核爆発実験を実施する。

 

 11/02

 箱根、第1回日米貿易経済合同委員会が開催される。

 

 11/13

 水資源開発促進法と水資源開発公団法が公布。

 産炭地域振興臨時措置法が公布。

 

 11/24

 国連総会で、核兵器使用禁止宣言とアフリカの非核武装地帯宣言が可決される。

 

 

 12/09

 ニューデリーでアジア史会議第1回大会が開かれる。

 会議場

 「日本は白人世界から有色人種世界を防衛する義務があるんだと」

 「まぁ 協力しないこともないけど、タダじゃ やらないよね」

 「人間不信というか、後進国に幻滅しているからね」

 「やっぱり、利権を確保してからじゃないと・・・」

 「うんうん、老人介護じゃあるまいし、浪費はいやだよ」

 「神は自らを助ける者を助ける」

 「まぁ 信頼できるだけの対価を払えだね」

 

 

 12/12

 旧軍人による池田隼人ら政府要人暗殺計画が発覚、

 13人が逮捕される(三無事件)。

  “無 税   官公庁の大幅人員削減による財政収縮と公社公団の民営化”

  “無失業  大規模な公共事業の実施による失業者吸収”

  “無戦争  ミサイルや宇宙兵器の開発による外国からの侵略の阻止”

 公民市場

 新聞を読んでいる人たちがいた。

 「やれやれ、政治や経済のわからん軍国馬鹿どもが考え無しに立ち上がる」

 「誇りを守ろうと暴走して、危なく滅ぼされるところだったのに全然懲りてねぇ」

 「薄っぺらなプライドで、極東日本から追い出されたことを忘れてやがる」

 「無税じゃミサイルも宇宙兵器も作れんのに・・・」

 「無失業って、土地があるのだから徴就されない方を喜んでるくらいだからな」

 「だいたい、引っ越しで市町村の統廃合は上手く言ってるし」

 「官僚を効率良く配分しても人口の3〜5パーセントくらいいないと・・・」

 「それに中国人や朝鮮人に金や武器を貰って国家転覆じゃな」

 「金と武器をやるからクーデターやってくれって “うん、やる” が日本にもいるのな」

 「バカの専売は、中国人や朝鮮人ばかりじゃないってこった」

 「愛国ぶって、外国人に金もらって利用されているだけか。外資より始末に負えねぇ」

 「それとも3無がフェイクで、財界と官僚がグルになって公民市場を潰したがっているとか」

 「財界と官僚が組むと貧富の格差が膨れ上がって、過疎化するからな」

 「財界好みの採算性重視ばかりが行政じゃないんですがね」

 「アメリカみたいに狭い場所にひしめき合って、競争するなんていやだよ」

 「自由競争の原理が働いて社会を便利にするらしいけど」

 「けっ 自分のため以外に金を払うやつがいたら、お目にかかりたいぜ」

 「アメリカは、お金持ちにサービスするための媚び産業になっていくよ」

 

 

 12/19

 インド軍がポルトガル領ゴアに突入、

 しかし、ポルトガル軍に反撃されて、停戦。

 ゴアを守ったのは、タイガーV戦車100両といえた。

 当然、ポルトガルは、赤字。

 列強は、インドとの関係を考え日和見。

 ドイツ第3帝国だけが兵器を輸出し支援していた。

 ポルトガル領ゴア

 ホテル

 日本人たちがいた。

 「まるで欧州の都市みたいだな」

 「気になるのがインドの対応だよ。アメリカに付くか、ソビエトに付くか」

 「日本に付く可能性は?」

 「有色人種なら日本と組む可能性もあるかもしれないけど」

 「しかし、日本は軍事同盟としてどうかな・・・」

 「むかしと違って、土地持ちケンカせず、戦意低いからね」

 「しかし、流石、タイガーVだな。インド兵を押し返した」

 「造成工事の堡塁は高さ5m。底も5m。幅も10m以上で、人海戦術にも対応できるだろう」

 「ふっ ポルトガルも気前がいいなぁ」

 「ドイツに借金を背負ったはず」

 「ドイツはアンゴラとモザンビークに基地を建設するはずだよ」

 「怖い怖い」

 「なのに、日本の経済成長はいま一つかな」

 「貧富の格差を広げて近代化したいのに農民が反発してるからだろう」

 「徴就制で近代化は、いま一つかな」

 「終身雇用じゃないから老害みたいなのもないし、世代交代は良いと思うよ」

 「しかし、技能を習得するのって年単位だろう」

 「石の上にも3年っていうからね」

 

 

 12/31

 極東日本(Apan州)

 35代大統領ジョン・F・ケネディと59代内閣総理大臣池田勇人が時が来るまで並んで待っていた。

 キャンベラ(旧京都)で日章旗が降ろされようとしており、星条旗が昇ろうとしていた。

 午前0時までのカウントが始まる。

 60・・・・

 戦艦大和に搭乗した極東日本の居残り官僚が出航までの時間を過ごしていた。

 「来週は戻って来るんだけどな」

 「パフォーマンスだから・・・」

 50・・・・

 グリーンカードを準備し、

 パスポートに出国スタンプと入国スタンプを押さなければならないと日本人と

 入国スタンプを押すためにパスポートを持っているアメリカ人。

 二人の同僚が二つの国旗を見上げていた。

 「いよいよ。俺の祖国になるんだな」 うんうん

 「俺は外国人か・・・」 感慨深げ・・・

 「戦争なんかするから・・・」

 「俺じゃないけど、後悔してるよ」

 40・・・・

 日本人の旅行者たちはパスポート持参だった。

 「里帰りにパスポート持参かよ」

 「情けねぇ」

 「戦争なんかするもんじゃないな」

 「でも、むかしと違って、物凄く住み易くなってるのが忌々しい」

 30・・・・

 「ちっ! すんなりと日豪交換か」 イギリス

 「両国ともぶりっ子しやがって、つまらん」 ソビエト

 「日米戦争は金になるのにな」 ドイツ

 「利害関係が大きいのなら日米が衝突するかも・・・」 イギリス

 「結局、日本人は出たり入ったり、500万から600万ほど残るらしいよ」 ドイツ

 「利の方が大きいんじゃ期待薄だよ・・・」 ソビエト

 20・・・・

 「豪州に行って、企業するのか?」

 「ああ、随分と小金を貯めたからね」

 全アメリカ国民はアメリカ合衆国第51州Apanの始まりに期待を膨らませていた。

 10・9・8・7・6・5・4・3・2・1・0

 Happy New Year United States of America!!

 Happy New Year 1962!!!

 Happy New Year State Apan!!!!

 アメリカ大統領と日本の総理大臣が条約批准を称え握手する。

 数万発の花火が打ち上げられ、アメリカ合衆国Apan第51州が誕生する。

 

 

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 月夜裏 野々香です。

 引っ越ししました。

 

 史実

  人口が減って相対的に一人当たりの富が増していくのに勝ち組と負け組が作られ。

  不公平に貧富の格差が広がる社会。

  

 戦記

  日本民族発祥の祖国を捨て、一皮剥けた国民性になりそう。

  富の集約と水の関係で人口が急激に増えたり、急激に減ったりはないと思います、

  消費者・労働者を徴就制で経済を増減させることができるかも、

  非貨幣経済で生活できる土地所有者が多く、

  国は年金・社会保障の労苦が少ないかも、

  拝金主義に傾倒しておらず。

  貧富の格差は史実より、少ないと思います。

  経済成長は水資源に合わせてゆったり成長していきそう。

  近未来は、コアラ村のほほん島大陸になりそうです。

  

  

 この先もなんとなく気になりますが (笑

 続きを書く可能性は・・・・・

 キリがいいので日豪売国戦記は、これで完です。

 遠い未来の豪州日本です。

 

 

 

 オーストラリア大陸

 西オーストラリア州 鉄鉱石鉱山 マウントトムプライス、パラバード、マウントニューマン

 西オーストラリア州 金鉱 スーパーピット山 

 西オーストラリア州 金・ニッケル鉱山 カンバルダ

 クイーンズランド州 炭鉱 グーニエラ・リバーサイドー、モーラ、

 ニューサウスウェールズ州 炭鉱 マウントソーレーイー

 ノーザンテリトリー(北部準州) ウラン鉱山 ジャビル

 クイーンズランド州 ボーキサイト鉱山 ウイパ

 

 

 

 

日本連邦
オーストラリア (大和) 北ニュージーランド (瑞穂)
タウンズビル 福岡 オークランド 旭川
ブリズベン 広島 ハミルトン 札幌
シドニー 東京 ウェリントン 函館
       
キャンベラ 京都    
メルボルン 大阪 南ニュージーランド (秋津)
アデレード 仙台 クライストチャーチ 高松
    ダニーディン 高知
パース 舞鶴    
    信託統治領
ダーウィン 沖縄 ポートモレスビー ポートモレスビー
    ラバウル ラバウル
タスマニア (八島)    
ホバート 豊原    
       

  

 

 

意外と CMサイト 感慨深い

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誤字脱字・感想があれば掲示板へ

 

第20話 1960年 『バイバイ、皇紀2620』

第21話 1961年 『瑞穂皇紀元年』 完