月夜裏 野々香 小説の部屋

   

20XX年 日本沈没 『龍の魂魄』

        

 

 

第11話 02月 『もう 〜』

 南極は僅かな期間で冬に閉ざされ、

 日米の艦隊、輸送船団は、引き揚げていく。

  

 アメリカが日本に協力するのは利益があり、

 大義名分がある事に気づいたからといえる。

 メタンハイドレート気化という地球規模の危機を大義名分を利用すると、

 えげつないほど利権が入る。

 そして、日本が躊躇するような事も “地球のため” と、始めていく。

 第7艦隊

 揚陸指揮艦ブルーリッジ 艦橋

 「大義名分は、大切だよ」 にやり

 「あ・・・ですが、日本は現地で融和していこうと思っているので・・・」

 「いいとも、アメリカが悪者になって利権を手に入れる」

 「資源は日本に供給しよう。代金は後払いでいいからね」

 「ふ、普通に買えば・・・」

 日本人は札束で頬を叩く方を選択。

 金持ちの日本に経済活動で勝てないことがわかると、

 アメリカは地場の利権だけでも手に入れようとする。

 「なっ!」

 「なにをいう、地球規模の危機に日本は立ち向かっている」

 「そして、アメリカは全力で、それを支援する。実にすばらしい光景じゃないか」

 「はぁ・・・」

 アメリカ人は、口実さえあれば武力を背景にし、かなり理不尽。

 武器で恐喝するのが得意だった。

 日本沈没で主権、領土、民族的生存圏を維持したいと思っている日本戦略と。

 日本沈没でアメリカ西海岸の損失補填と、

 その後のメタンハイドレート気化でも国際的な主導権を発揮しようとするアメリカ戦略は、根底で違う。

 「日本人は、志が低すぎるよ」

 「よりグローバルでダイナミックな視点と視野が必要だよ」

 「はぁ・・・」

 インド大陸に現れた第7艦隊は、砲艦外交を繰り広げる。

 当事者の日本代表は生き残ろうとしているわりに “花と散る” 潔さを持ち合わせて、大人しく。

 アメリカ代表は、ヤクザの如くだったりする。

 “過程を美しく” と考える日本人と。

 “結果が良ければ” と考えるアメリカ人の違い。

 「人間の欲望は地球より大きいのだ。その一部を手放させるだけでも殺し合いが起こる」

 「はぁ・・・」

 「私は、公よりも強い」

 「だから自由資本主義、民主主義は、個人の権利を優先し」

 「その結果として、アメリカ合衆国は、繁栄を手にしたのだ」

 「なるほど・・・」

 「日本が一時的に経済で有利になったのは日本沈没という危機意識が」

 「挙国一致という結果につながった偶発的なものだ」

 「なるほど・・・」

 「そうに違いない。そうでなくてはならないのだ」

 提督は、自分で自分を納得させて自己完結してしまう。

 「偉大なアメリカは、かわいそうな日本民族の人権を守るため」

 「各国に駐留軍を配備してやろう。遠慮はいらないから、がんばろうな」

 「はぁ・・・」

 そう、アメリカが駐留軍を派遣する場合、基地周辺が原始的だと駐留軍のモラルが低下する。

 しかし、日本人町に基地併設で買い物や遊休ができるのなら維持費を安くできて、おいしい。

 生態系で言うと、アリとアブラムシの関係に近い

 「ですがアメリカ駐留軍が日本人町を守るというのは・・・ちょっと・・・」

 「わかっている。日本人町とアメリカ駐留軍は別個の話し、セパレートだ」

 「はぁ・・・」

 お人よしな日本は、アメリカと組んで現地支配権を確立するという選択を取れず。

 だからこそ、アメリカは日本と組みたがるという悪循環。

 現地民が、どう考えるか、かなり不安。

 しかし、温暖化の影響を理解できない国は多く。理解したくない人間も多い。

 こういう国は、製品売っても買い取れない資源もある。

 そして、アメリカ海軍の圧力があると、必要悪なのか物事が早く進む。

  

  

 福岡 仮官邸

 時折、ビルが揺れる。

 福岡は地震が比較的少ない、

 さらに最新の耐震設計を信じて仮官邸にしていた。

 しかし、地震は心臓に悪い。

 揺れるたびに被害規模が気になる。

 予算配分がメガフロート、日本人町、南極大陸開発に振り分けられていく。

 「・・・総理、南極移民船団は、任務を終えて、引き揚げます」

 「進捗度は?」

 「予定より5パーセントほど進んでいるようです」

 「そうか、問題は?」

 「やはり、下水、ゴミなどの処理でしょうか」

 「んん・・・だよな・・・ん?・・・」

 耐震構造のビルは揺れが小さい。

 しかし、周辺の町並みは、崩れ落ちたり。倒れたり。

 地震の速報で被害が伝えられるたびに弱気になっていく。

 「日本列島も、かなり危ないな」

 「地殻の温度が微妙に熱を帯びているようです」

 「んん・・・その熱を逃がすことは?」

 「大気にですか? それとも、海に?」

 大気に逃がしても温暖化。

 海に逃がしてもメタンハイドレート気化で温暖化。

 「んん・・・命を惜しんで、なりふり構わずか。命を惜しまず、なりふり構うか」

 「難民という形ならほとんどの日本人を避難させることも可能ですがね」

 「命を賭しても日本民族として主権と人権を保ったまま避難したい」

 「それが “日本民族相互補完計画” だ」

 「ですがメガフロート、日本人町、南極大陸への避難は、ともかく。その後の温暖化に対しては・・・」

 「日本の優先事項は、日本沈没からの避難になる」

 「しかし、世界の優先事項は日本沈没で引き起こされる津波とメタンハイドレート気化だ」

 「意識の差は、摩擦に繋がります」

 「だが温暖化の危機がなければメガフロート建造も、日本人町の自治も、南極大陸もなかった」

 「津波と温暖化防止に対する予算配分は、選択の余地がない」

 「日本人町は、南極の氷が溶けてもいいように高台への移民を目指しています」

 「そうなると、当然、現地政府との衝突もありえます」

 「んん・・・それでは、いかんのだろうが遺憾ともしがたいぞ。我々、政府は、無能か?」

 「力足らずは、認めますが愚かしい真似だけは、自制し防いでいると自負しています」

 「力足らずか・・・力を見せ過ぎていないだろうか?」

 「やり過ぎていないか?」

 「世相は、殺伐としている」

 「もっと、締め付けるべきという意見もあります」

 「微妙だな。反発する者も1割。強硬派も1割程度だ」

 「8割は、黙して語らず。まだ、普通ですね」

 「日本人らしいが不気味だよ」

 「富士山の爆発以前と国民感情も違って感じる。今の国民感情は把握しにくい」

 「死と直面しているからでしょう」

 「メガフロートは、南極が溶けた場合。どうなる?」

 「高波とか、津波の大きさによります」

 「30mくらいの波なら途中の防波網で波を斬減させつつ、現状の海域を維持できれば沈没は免れるかと」

 「高波の規模が大きいと困るが、これだと、北大西洋のサルガッソーも、ありなのか?」

 「そうですね。海底までの深度が深い方が波の影響は小さいはずです」

 「南極が溶けた場合の予算も組むべきだろうか?」

 「メガフロートの価格高騰で助けられる日本民族の実数が減ることになるかもしれません」

 「日本沈没以降は、自分の力で生きろだと駄目なのか?」

 「いいかもしれませんが日本民族の集束力が低下します」

 「どうも、日本民族は、親方日の丸式というか、護送船団方式というか」

 「国に依存する気持ちが強すぎるな」

 「それが “日本民族相互補完計画” じゃないですか。国民の総意ですよ」

 「民族自決を維持したい。希望はある。そのために働いている」

 「ふ 朝鮮人は政府も、他人も、信用しない。時々 あの自分本位な生き方が羨ましくなる」

 朝鮮の暴動がテレビで流されていた。

 経済的に追い詰められ、

 職を失った民衆が高台を得ようと押し寄せ、警官隊や軍隊と衝突を繰り返していた。

 沈む日本列島で見られない光景が沈まない半島で見られた。

 「高台に大型居住ビルを作ればいいのでしょうが・・・」

 「利権の取り合いか?」

 「それより、自ら建設する大型ビルの構造を信じていない、でしょうか」

 「それに一旦、高台から離れると見捨てられたりしますし」

 「んん・・・」

 「問題は、韓国の建築物は、耐震性じゃないので、少しでも揺れると・・・」

 「半島は、日本より強靭な岩盤層で地震がないのだろう」

 「日本列島のメガリスが崩れ落ちた場合、マントルが東側に移動する可能性もあるので・・・」

 「大きな地震でなくても津波の高さは・・・想像できませんね」

 「そりゃ難儀だな」

 「あと、あの性格ですと短い期間でも、狭い場所で過ごすのは大変かもしれませんね」

 「ストレスに弱そうだな」

 「他人事ではないかと思います。日本は沈没するのですから」

 「日本列島と運命を共にする人間は、どのくらいだろうな」

 「日本列島を愛する日本人は多く、一緒に沈みたがっている人間もいるようです」

 「統計は?」

 プロジェクターに表が映される。

 「んん・・・日本人は、環境の変化に弱く、狭い視野と世界でしか生きていけないのかもしれないな」

 「・・・しかし、地震の度に変動していますから、当てにならないかと」

 死んでも良いと達観的だった人間が死ぬ直前で死ぬのを嫌がって足掻いたり。

 死にたくないと足掻いていた人間が妙に潔かったりで不思議。

 「・・・総理、十勝山で地震の予兆です」

 「十勝山周辺に緊急避難警報だ。救援部隊を出して、避難個所を確保しろ!」

 なんとなく慣れてきていた。

 職員が右往左往しながら、状況を確認していく。

 「・・・しかし、桜島とか、浅間山とか、雲仙だけとか、遅れているな。計算違いか?」

 「エネルギーを放出しているところと、溜め込んでいたところの違いかと」

 「タイミングの問題か」

 「おそらく・・・」

  

  

 アフリカ大陸

 格差といえば地域格差と社会格差がある。

 社会格差を問題にされると困る富裕層は地域ごとの貧富の格差を問題にし、

 社会格差を等閑にさせる。

 地域格差を問題にされると困る都市は人間の階層からくる社会格差を糾弾し、

 地域格差が等閑にさせたりする。

 保身のため、別の問題に摩り替えてしまう手法は、よく使われる。

 アフリカは貧しい。

 しかし、特権階級は並みの日本人以上に良い生活をしている。

 収益の多くは、地下資源の売却利益。

 地下資源が安く買い叩かれた結果、設備投資が繰り返され、

 低価格の電子製品が売られたり、

 このアフリカにも電子製品が流れていたり。

 地平線が見えるアフリカの大地に立つと、

 特権階級はビルの上に住み、階級的に雲の上にいる。

 庶民は、それなりに生かされている感じだろうか。

 なんと、沈没する日本より犯罪が多く身近。

 これだと近代化が妨害されてしまう。

 日本人の農業移民が始まると、アフリカ人も手伝い始めたりする。

 いざ、付き合い始めると、どうして植民地にされたのか、後進国なのか、これもわかりやすい。

 人種差別をするなというのは無理な話しで自然と差別してしまう。

 無論、なるべく、人種差別しないようにする。

 しかし、現地民の同士で人種差別していたり。

 人間の本性は、人種に関係なく、あまり変わらない。

  

  

 ホワイトハウス

 寝る間を惜しんで働くって、なに?

 家族団欒は大切だろう、とか。

 そんな労働だけの人生に何の価値がある?

 もっと、人生を楽しむべきだろう。

 働くなよ・・・・

 これが通用したのは戦後から復興し、高度成長が終わったあと。

 日本民族も一息ついたのか “いいよ” で、乗ってしまう。

 そして、今回は、日本沈没。

 日本民族存亡の危機だと怠惰な人間性追求も用しない。

 日本人が人口需要で遮二無二働くとアメリカ産業は軒並み駄目。

 人口需要フル回転の日本経済に依存して従属していく。

 しかも、メタンハイドレート気化と絡んだ産業も大きいと邪魔をすれば地球温暖化で生物の大量絶滅。

 しかし、アメリカは、合理的で機転も利いて、金の亡者で正義の味方。切り返しだけは、早い。

 超大国アメリカは、日本沈没を利用しながら利権を増大させていく。

 そして、悪巧みも、一息ついた頃。

 「・・・もし、地球温暖化を食い止めることができなかったら・・・どうなる?」

 「海抜は上がるでしょう」

 「二酸化炭素だけでなく、メタンが大気中に広がれば南極の氷も半分くらい溶けるかもしれません」

 プロジェクターに映像が流れる」

 「海洋が増した地球が映る。実に準備が良い。

 「んん・・・私のホワイトハウスが沈んでいるじゃないか」

 「まぁ そうならないように現在、日本の支援をしているのですから」

 「仮に間に合わなかったとしたら?」

 「生態系が狂うと、やはり人類滅亡ですかね」

 「もっと生き残る確率を増やすべきだろう」

 「そうですね・・・日本と同じようにメタン吸蔵用メガフロートを建造するのは、いいかもしれませんね」

 「日本近海でメタン吸蔵を手伝うのか?」

 「いざというときは、住民の避難所にもなりますし」

 「密閉されているので、少しくらいの環境変化にも対応できますし」

 「住みやすそうな海域に移動することもできるでしょう」

 「アメリカは国土が広い。メガフロートを建造した方が、いいのかね?」

 「そうですね。どうせ、既存の産業は軒並み、日本に圧倒されていますし」

 「危機感を煽って人工需要に拍車を掛けても良いかもしれません」

 「メガフロートは、有用なら使えばよく、不用なら日本に売ればいいわけですし。問題はないかと」

 「技術的な問題は?」

 「チタンの凝着ですかね」

 「ですが空母建造ほどではありません」

 「ブロック構造の箱ですからノウハウも把握できてますし」

 「日本に恩を売る意味でも検討すべきかもしれません」

 「それに日本が買わなくても、低地の国土は、ありますし、そこが買うでしょう」

 「儲かるのなら悪くないが、日本は単一民族で民族に愛着があるのでは?」

 「だよな。普通の国は、お金持ちだけ逃げ出して、主権や経済基盤ごと移す、というのは普通じゃない」

 「純血種は、こういう環境の変化に弱いはずだがな」

 「日本人町、メガフロート、南極大陸で希望を持たせて挙国一致、弱みを強みに転換させているようです」

 「それと “オタク” 票の関係で政治的に妥協を強いられそうです」

 「増えているからな」 苦笑い

 「どちらにしろ、規格だけは日本と合わせたほうがいいでしょう。その方が売れそうですし」

 「メタン吸蔵装置も、まぁ 難しい技術でもありませんし、予算があれば、量産できるでしょう」

 「パテント料は、免除してもらえるはず」

 「同じ人工需要でも戦争より健全で良いだろうね」

 「政治的危機を起こし、国民を糾合して権力の集約を図るのは、好都合ですから」

 「羨ましいものだ。天然で、それができる日本は楽だな」

 

 

 空港で・・・

 日本の警察官に見送られ、

 白人達が涙ながらにアニメソングを歌いながら帰国していく。

 本来なら射殺して闇から闇へと葬るはずが、

 余りのバカらしさに日本警察も萎えたところ。

 「良いんですか? 帰国させても・・・」

 「日本アニメファンによる。日本人アニメ作家の拉致誘拐未遂か・・・」

 「でも、3件目ですよ」

 「子供もいるし、素人の癖に良くやるよな」

 「でも涙ぐんでますよ。また来るんじゃ・・・」

 「アホどもが・・・」

 「でもアニメで日本語を覚えるなんて・・・頭、良い方じゃ」

 「良い悪いより、頭の使い方を間違っているだろう」

 「まぁ 工業力の観点だとアニメ作家なんて、余り役に立たない連中だから」

 「日本人町ができたら、さっさと。国外に出されると思うがね」

 余震で空港が僅かに揺れ、

 どこかで事故が起きたと通報が入る。

 「ったく、この忙しいのに・・・」

  

  

 地盤の液状化で工場が傾いて、作業ができなくなっていく。

 また亀裂が入ったメガリスにも海水が浸透していったり、

 ミリ単位で大地ごと膨れるような計測地点も観測されていた。

 対応策は、水抜き、凝固材を流し込み、

 無理やり、水平バランスを取ることだが一時凌ぎに近い。

 酷くなると、それすら難しい。

 そして、日本は、あまり使われていない飛行場があった。

 地盤も、土台も、ジャンボジェットが離着陸できるだけあって、

 最初から地震も計算して建設されている。

 工場の移転は、こういった場所に行われていく。

 仮説工場が建設され、

 合理的、機能的、効率的な機械配置がされていく。

 地震で失われていく家屋と、

 代替で作られていくユニット型仮設住宅の競争で仮設住宅も作られ、

 人材も必要になり、皮肉なことに破壊と再生が日本のGDPを押し上げる。

 林業も、どうせ日本沈没だからと、5年を目安に段階的に伐採され、

 ユニット型仮設住宅も日本沈没だからと安直に作られていく。

 田所博士の家は、地震研究をしているだけあって地盤が安定し、

 耐震性を考えられて建設されていた。

 おかげで田所エリと、間借りしている阿部玲子、

 そして、小野寺俊夫(痩せ)、結城達也(デコ広)は、住所変更で仕事を変えずに済んだ。

 変わりに地震の調整とか、近くの職場で仕事内容が変わったりする。

 倉木美咲は小学校が使えなくなり、新校舎と新しいクラスを再編成中で休み。

 「ああ〜 お皿が割れてる」

 「エリちゃん、テーブルの上にお皿を置いたままにしていたでしょう」 倉木美咲が怒る。

 「あ・・・ごめん」

 「もう、エリちゃんは、プラスチック皿ね」

 「あ〜ん、せめて、セラミックにして〜」

 「自分で買ってきなさい」

 食糧以外の配給は優先順位が低かった。

 「ぅぅ・・・」

 「ああ・・・天井にひびが入ってる〜」

 「うそ! げっ!」

 「つぎ、大きいのが来たらヤバイかも・・・」

 「そんなぁ〜」

 「仮設住宅も、近いわね」

 「ぅぅ・・・」

 「それより、次の職場は、決まったの?」

 「これから、役所に行ってくる」 しょぼ〜ん

 「・・・まぁ お皿も探しておくわ」

 「本当♪ 美咲ちゃん、お願いね」

 倉木美咲は、休みを利用し、

 廃墟の中から目ぼしいモノを拾って、

 交換所へ持って行き、小遣いを稼いだりしていた。

 もっとも、盗難防止があって、区画が限定されていたり。

 危険だったものの、

 こういった仕事は人気があり、

 再利用も兼ねて進められていたりする。

 

 

 海上のメガフロート底部

 メガフロートは、恒久施設として真剣に建造されていた。

 最初の底部を海に浮かべると、

 あとは、船で運んで階層ごと上乗せしていく。

 このやり方になったのは、造船所がすぐに空くからという単純な理由。

 ほかにも他の工場で作ったものを他の港で乗せて持って来れる利点もあった。

 順番通り載せて行くと、一定の割合で沈んで行く。

 そして、最上階のユニットを乗せてしまうと、

 巨大な海洋都市が建設されるという手はず。

 何しろ乗用車を1年で1000万台も製造できる国なのだから、

 その気になれば、居住ユニットを詰め込むのもできたりする。

 もっとも、それだけでは生活できないから駄目だろうで工場を併設すれば重くなる。

 当然、頑丈に作らなければならず。

 最上階にジャンボジェット機が降りられるようにだと、

 さらに、頑丈に作らなければならずで、あれこれ目減りする。

 多少不便でも飛行場・工場メガフロートを別に作って低階層にする方式も検討されたり。

 湾内に浮かぶメガフロートの底辺に数人が立っていた。

 「一応、電車も走らせるのか?」

 「リニアだよ。リニア。全長が6kmもあると、端から端まで往復させたいと思うよ。普通」

 「リニアねぇ 時速500kmで?」

 「まさか。リニアが良いのは、速いからだけじゃないよ」

 「でもさ、吃水だけで30mって、どうなの?」

 「製鉄所は、もっと大きくなるし、深くなりそうだけど」

 「港に停泊するわけじゃないし」

 「全長6000mで、全幅1000mだろう。吃水30mでも怪しい方だよ」

 「最上階の飛行甲板も30mの高さだから、もう少し軽量化したいね」

 「縦60m。居住区は16階建てか、空母なんか目じゃないな」

 「不便だけど、飛行場は別に作って、機能的にやった方が資材を浮かせるんだけどね」

 「というより、ジャンボジェット使う必要性があるかな」

 「んん・・・飛行機があるからね」

 「まぁ 日本人町で使えばいいけど・・・」

 「国としての機能だと、ジャンボジェットがあるほうが、いいですがね」

 「メガフロートを移動させるポンプジェットは役に立ちそうなの?」

 「どうだろう。下水のついでみたいなものだし」

 「ポンプジェットを使った自走は、海流に負けない程度の気休めだろう」

 「だけど、淡水プラントとか、生活排水とか、かなり、悩まされるな」

 「かなりね」

 「あと、塩害に強いのはセラミック、カーボンナノチューブ」

 「チタン、グラスファイバーだけど、生産ラインが不安定だよ」

 「オランダ、ドイツ、イギリス、フランスもメガフロートを研究し始めているらしいから」

 「意外と、間に合うんじゃないか」

 「そういえば、ロシアも・・・」

 「あそこはいいよ」

 「いや、あそこ、低地だろう。温暖化で困るのがあそこだ」

 「そうか、気候が良くなって、穀物生産が伸びるとか、言ってたぞ」

 「氷が融けなければね」

 「だけど、結構、不安なんじゃないか、気象が変わるのって」

 「まぁ 妨害もしていないし、消極的支援という感じだから、そうなんだろうけど」

 「妨害しているのは、半島と中国だっけ?」

 「北朝鮮は、狙っているらしいよ」

 「うそっ!」

 「南は低地が多いから幹線が寸断されると・・・ドサクサに半島統一」

 「そんなぁ 沈む国に半島難民なんて来られたら、いやだよ」

 「せっかく在日が逃げ出したって言うのに」

 「再入国は、止めているよね」

 「まぁ 止めてはいるけど、入ろうと思えば、密航で入れるし」

 「もう〜 海岸線ありすぎだよ」

 「日本海側が発展しなかったのは、そういう簒奪があるかもね」

 「ちっ! 疫病神が」

  

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 月夜裏 野々香です。

 アメリカは、ジャイアン化しています。

 アメリカは、国際力学上、最強なので日本側も無碍には断れず。

 諸外国との調整に苦慮しそうです。

 メタンハイドレートの気化という前人未到の危機を前に何を馬鹿やっているんでしょう。

 とはいえ、利己主義が労働の原動力で、あながち、的外れではなく。

 その方がメタンハイドレート気化に対抗できそうな気もします。

 ていうか、人間の欲望は、もう知らん、呆れた! です。

  

 日本の神社は、11万余りとか。

 3分の1は稲荷神社だそうでキツネは強い。

   

  

AOE-424 補給艦 はまな

 

DD-172 護衛艦 しまかぜ

 

DD-171 護衛艦 はたかぜ

 

J28E 護衛艦 ひえい

 

DDH-141 ヘリコプター搭載護衛艦 はるな

 

 

 

 

 

 

横須賀 配備艦隊
旗艦 DDH143しらね     5200t
第61護衛隊 DDG174きりしま     7250t
  DDG171はたかぜ     4600t
第5護衛隊 DD111おおなみ DD110たかなみ   4650t
第1護衛隊 DD107いかづち DD102はるさめ DD101むらさめ 4550t
         
横須賀 地方総監部
第21護衛隊 「はつゆき」 「しらゆき」 「さわゆき」 2950t
第41掃海隊 「すがしま」 「のとじま」 「つのしま」  
  特務艇「はしだて」 輸送艇「2号」 多用途支援艦「すおう」 砕氷艦「しらせ」
         

佐世保 配備艦隊

旗艦 DDH144くらま 5200t
第62護衛隊 DDG173こんごう 7250t
DDG178あしがら 7700t
DDG170さわかぜ 3950t
第06護衛隊 DD104きりさめ DD109ありあけ 4650t
第02護衛隊 DD103ゆうだち DD112まきなみ DD157さわぎり 4650t

佐世保 地方総監部

第23護衛隊 護衛艦「いそゆき」 護衛艦「はるゆき」 護衛艦「あさゆき」
第26護衛隊 護衛艦「おおよど」 護衛艦「せんだい」 護衛艦「とね」
第3ミサイル艇隊 ミサイル艇「おおたか」 ミサイル艇「くまたか」 ミサイル艇「しらたか」
第43掃海艇 「いえしま」 「まえじま」 「まきしま」
第46掃海隊 「もろしま」 「ゆりしま」 「ひこしま」

 

誤字脱字・感想があれば掲示板へ 

第10話 01月 『まぁ 〜』
第11話 02月 『もう 〜』
 

登場人物