月夜裏 野々香 小説の部屋

    

ファンタジー系火葬戦記

 

『魔業の黎明』

 

プロローグ

幕藩体制と士農工商の膠着した封建制度は個人の人格と才覚を押し潰していた。

遅れた閉塞社会は、自由と人権を抑圧し、移動と流通を妨げていた。

日本は、蘭学に啓発されており、

黒船来航を切っ掛けに西洋近代技術文明に圧倒され、

薩摩と長州に倒幕の切っ掛けすら与えた。

幕末から明治にかけ、維新運動が高まり、

薩長同盟は天皇を人質に取って、官軍となり

264年続いた徳川幕府に大政奉還させてしまう、

その後、薩長同盟は、戊辰戦争、函館戦争を勝ち抜き。

明治維新は、天皇中心とした中央集権国家となり。

廃藩置県・士農工商廃止など社会基盤を変革し、

行政、司法、議会、金融、流通、交通、産業、経済、教育など改革を断行。

矛盾と軋轢を孕みつつ、西南戦争で不満分子を打倒して統一。

紆余曲折を経ながら和洋折衷の近代化へと向かう。

 

しかし、光もあれば影もあった。

日本は、日清戦争で朝鮮半島の利権を手にし、

日露戦争で満州鉄道権益を手にする、

その後、第一次世界大戦で軍需産業が拡大。

シベリア出兵へと済し崩しに軍拡を続け、

遂には、国力を超える軍事力を保有し、

戦後も軍縮できず。

軍部は保身と地位と権力を要求し、軍事費は増大、

貧国強兵へと転落していく。

国民は長いモノに巻かれ、事勿れに従っていく。

1929年10月、アメリカ合衆国で世界大恐慌が起こる。

全世界的な不況により日本経済は困窮していく。

そして、日本の国政を経済再建ではなく、

生存圏拡大膨張政策に向かわせる。

1931年9月、満州事変

1932年 5.15事件、

 

この時期、アメリカ経済は、大恐慌以降、不況と失業者に喘いでいた。

 1932年 アメリカ合衆国の失業者は最悪の1200万。

 

1932年7月 イギリスは経済防衛のため自由貿易を捨てブロック経済に移行。

 

軍事費で消耗した日本経済を破綻させ、

さらなる右翼化に向けさせる。

日本は軍部の保身と寡頭権力者の利権が結び付き、

国民の富と生産力を奪い続け、

政府は、国家運営と外交手段を狭められ、

経済を急速に悪化させ、外交関係を悪化させていた。

1936年 2.26事件

軍部は軍縮派、反対勢力を駆逐。

利権拡大と恐怖により軍事力を増殖させていく。

大日本帝国は自ら作り築き育て上げた軍部・大本営に国権を奪われていた。

1936年 日独防共協定

1937年 日独伊三国防共協定

1937年07月 日中戦争

日本は、国際外交バランスを見失い。

大陸膨張は歯止めが利かず。

列強の外圧により日本は、ますます軍事傾倒を加速させていく、

 1938年 アメリカ合衆国はニューディール政策。

人工需要により雇用が改善・失業者は700万弱となる。

 

1939年09月 ポーランド侵攻と第二次世界大戦

 アメリカは需要があれば供給できる資源と産業が存在しており、

 雇用を回復させたのは戦争だった。

 イギリス、フランスはアメリカに軍事物資を発注し、

 アメリカの失業者が急速に減少していく。

敵性国家となったイギリス・フランスとの交易は減少し。

アメリカとの貿易も縮小していた。

 

1940年09月 日独伊同盟調印。

 アメリカが日本に対し圧力をかけるのも失業対策の雇用確保。

 そして、アジア市場を欲しているためであり。

 産業を再生させられるのであれば、戦争でも良く。

 極東満州利権とアジア巨大市場でも良かったのである。

 アメリカは、国内事情と失業対策のため他国を追い詰め、

 戦雲を煽り人工的な需要を作っていたのである。

この物語の始まる頃、

大日本帝国の国家財政は破綻していた。

 

 

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The dawn of the magic industry

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ファンタジー系火葬戦記 『魔業の黎明』

第01話 1941年 『大本営 長門』