ローゼンメイデン |
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第一ドール 水銀燈 |
知(陰) | 第二ドール 金糸雀 |
意(陰) | 第三ドール 翠星石 |
情(陽) |
第四ドール 蒼星石 |
意(陽) | 第五ドール 真 紅 |
知(陽) | 第六ドール 雛 苺 |
情(陰) |
第一ドールの水銀燈は、一人、海辺を放浪
第三ドールの翠星石。第五ドールの真 紅は、お茶会。
第二ドールの金糸雀は、ミーディアムと遊んでいる。
隔世で意思を回復したローゼンメイデンは、事態の流れに困惑する。
「・・・やれやれ、眠っていたとはいえ、クリスのヤツめ、焦りおって」
「どういうことだね、ラプラス」
「さあ〜 しかし、ローゼン。アリスゲームを進める時期だったのでは?」
「んん・・・しかし・・・核になるローザミスティカが、全て薔薇水晶に奪われて・・・まぁ いい」
「それで、どうします?」
「んん・・・人形たちがアリスゲームを望んでいないのであれば仕方があるまい」
「策があるので?」
「人形の知性、情緒、意思は、十分に成長した。練成は、頃合だな」
「しかし、人形たちに、その気がないのでは?」
「雛苺が真紅。蒼星石が水銀燈なら、陰陽の組み合わせで悪くない」
「ですがローゼン。アリスゲームができないとなると・・・」
「んん・・・どうしたものか・・・王様との約束も、あるしな・・・・」
「わたしは、いい加減。アリスを誕生させて契約を終わらせたいのですがね」
「ラプラス。どうせ悪さしかしないのだから。もう少し付き合っても良かろう」
使い魔は、人間の負の感情を餌にしている。
かなり理不尽な言い分だった。
「はぁ〜」
「人形で統合できなくても、ミーディアムで統合する方法もあるのだ」
「本当に?」
「ああ、ミーディアム同士で結ばれれば、生まれる子供にアリスを収束練成させられる」
「なるほど・・・・上手く行くので?」
「元々、一つのローザミスティカなのだから、ミーディアム同士も惹き合うようになっている」
「不確定要素は、多分にあるがね」
「まぁ・・・二世代にわたって、介入ですからね。それも、男女の世代を合わせなくては・・・」
「本当は、人形同士のアリスゲームでローザミスティカを統合するのが楽なんだがね」
「では、人形の方で?」
「んん・・・」
「では、ミーディアムの方で?」
「そっちも面白いがね」
「ふっ 人間も、なかなか、あこぎで面白い事をする」
「結局のところ、犠牲を強いる相手が人形になるか、人間になるか、だよ」
「アリス姫覚醒なら人形でも、人間でも良いと?」
「わたしは、王様との約束さえ守れれば、どっちでも良いことだ」
「人間は、もっと不誠実だと思っていましたが意外と義理堅いですな」
「我々、悪魔並みの義理堅さだ」
「相手が死んでも、契約は遂行するよ」
「王様の遺産をアリス姫に渡して、わたしは、この件から手を離せる」
「そりゃ 契約が終われば、わたしは、どっちでも、いいですよ・・・」
「人間の方が男女の絆が深まって、喜ぶかもしれないだろう」
「本当に?」
「ああ、元々、一つだったローザミスティカだ。惹き合う力も伊達ではないよ」
「心と魂を矛盾しないほど細分化させてしまうと感情の作用に対して反作用がないのでは?」
「矛盾する心を融合させながら練成するのが難しかっただけ。それが、どうかしたかね」
「純粋な感情ベクトルを持つ人形は、これほどの、パワーがだせるとは驚きですな」
「副産物かな」
「・・・お手並み拝見しますよ。ローゼン」
「わたしは、また眠りにつくよ。次に起きる頃は、王様との約束を果たしているだろう」
「おやすみ、ローゼン」
「おやすみ、ラプラス」
数年後
桜田ジュンが、消えた指輪を悲しみ、叫ぶ。
「真紅〜!!!」
「どこに行ったんだよ〜」
・・・未来・・・・
その日、メールが届く
あなたは、巻きますか? 巻きませんか?
「はぁ?」 × 4
なんだろう・・・・ × 4
「ま、いいか・・・」 × 4
「あ〜! 人形が動いた。良くできているな」
「・・・・」
むふ♪
そぉ〜
バシィ〜ン!!!
「いでぇ!」
「今度、やったら、殺す・・・」
「ぅ・・・喋った・・・の、のろいの人形?」
「バカか。おまえが悪い」
第一ドール 水銀燈 = ミーディアム 瑞樹高校1年3組 桜田(さくらだ) ハヤト
「まぁ かわいい。でも、お人形さんゴッコという年じゃないか」
「よろしく、かしら。ヨシエ」 にこ♪
「・・・・・」
バタン!
!?
「ヨシエ〜」
・・・・
「ヨシエ〜 なんで、眠ったのかしら?」
第二ドール 金糸雀 = ミーディアム 瑞樹高校1年3組 柏葉(かしわば) ヨシエ
「良くできた人形ね」
「よろしくです。ミサキ」
「・・・・・」
バタ〜ン!
「こらぁ 人間! トランクに閉じ込めるなです!」
「きゃー! 人形が〜!」
「だ、だしやがれ、です〜!」
「きゃー! 人形が〜! 怖い〜」
「こんな、かわいくて綺麗な人形に何を言うです。こ、この、バカ人間!!」
「きゃー! 人形が〜! 喋った!」
「だしやがれ〜 人間!」
「きゃー! 人形が〜! 暴れる〜!」
第三ドール 翠星石 = ミーディアム 瑞樹高校1年3組 柿崎(かきざき) ミサキ
「へぇ〜 かわいい人形だな」
「ん?」
「これを巻けば良いのか。だけど、なんだろう。巻くと、請求書でも届くのかな」
「・・・・ま、いいか」
キコキコキコ
「・・・・」
バシ〜ン!
「痛た!」
人形に引っ叩かれる経験をした人間は、一体何人いるだろう・・・
「人間。物を持つような持ち方をしないで」
「おっ! 喋った・・・動いた?」
「そう・・・あなたが、わたしの家来。新しいミーディアムね」
「えっ!」
第五ドール 真 紅 = ミーディアム 瑞樹高校1年3組 草笛(くさぶえ) ミツル
瑞樹高校
草笛ミツルは、13年間、ごく普通に生きてきた。
たぶん、ごく普通の経験をしながら人生を苦しみ。
少しだけ楽しんで妥協しながら結婚し、子供を作って・・・・
それなりに生きて死んでいくと漠然と思い描く。
特に自分自身が輝いているわけでもない、
世界も輝いているように見えない。
尊敬できる人間もいない。
偉人伝の中には、それらしい人間はいる。
しかし、現実に人生を変えるような出会いはなさそうだ・・・
そう思っていた昨今。
ああ〜 それなのに それなのに・・・
草笛ミツルは、自嘲気味に頬に触れる。
あれは夢だった。という微かな希望をアザが完全否定していた。
回想・・・・
そもそも人形に人権はない・・・あ・・・
この人形は草笛ミツルの人権を尊ぶつもりがないと真紅の視線に気付かなかっただけの話し。
アンティークショップに人形を売ろうとして、本当に人形の下僕にされたのだと思い知らされる。
「・・・ミツル。あんたって、史上最低、最悪のミーディアムだわ」
もうすぐ、死線を超える・・・・・死ぬ・・・さようなら・・・僕の人生・・・
と思っているところで、真紅に、そう言われた。
史上空前絶後。
人形の下僕にされたことを思い知らされる。
なんと哀れな存在だろう。
死ななかったのは運が良かった。
というより死の闇に消え行く寸前に契約したからだろうか。
死線まで、あと半歩で後ずさり。
薄汚れた現実が少しだけ、ありがたく思えた。
いまは “みんな” とか “世界” とか、抽象的な概念に尊い価値があると感じる。
色褪せていたのは、現実世界でなく。
夢をなくした自分自身だった事にも気付かされる。
ちょっとだけ反省した。
昨日までの自分より、立派になれただろう。
しかし、人形の家来とか、下僕は抗議したくなる。
いや、とても無理だ。
あんな強い人形が存在するとは自衛軍でも勝てないだろう。
あの人形が、宇宙人の侵攻・侵略兵器だったら世界は占領されている。
自分ひとりが犠牲になって済むのなら・・・
そう思えるのなら人間は救いがあるだろう。
いや、死なば諸共な道連れ根性だけは人一倍。
慢心の人類は、異生物に隷属させられるくらいの目に遭うべきだ。
バカは、死ななければ直らない。
いや、死んでも、バカは、バカのまま・・・
と、いもしない同志を求め教室を見渡す。
特に変わり映えのしない日常が、なんと輝いて見えることか。
非日常の怖さを思い知らされ・・・
同級生の桜田ハヤトの様子が違うことに気付く。
というか、自分と同じ指に巻いている包帯に気付いた。
哀れな迷える子羊を見た思いだ。
彼の眼が淀んでいるような気がしないでもない。
さらに見渡すと・・・・
柏葉ヨシエ
柿崎ミサキ
あ・・・
喜びが心の奥底から湧いてくる。
ぼくは、一人じゃないんだ〜
“幸せに包まれる” は、こういうことを言うのだろう。
神様、ありがとう。
きっと、人類は、少しずつ人形型の宇宙人に侵略されていく・・・・
人類が人形に支配されていく悲しみより。
同類がいる事が嬉しいとは・・・・
人類、ホモサピエンスも末期・・・・
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月夜裏 野々香です。
『は じ ま り』 間に・・・・・TV・DVD・・・・・が、入って、その後の未来です。
でも、恋愛モノは、無理。
後は勝手に妄想してください。
これで、終わり。
ローゼンメイデン 二次短編 『収 束』 |
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