月夜裏 野々香 小説の部屋

    

天ぼた系 火葬戦記 『神火風』

 

 第01話 1945年 『08月06日午前08時15分』

 

 広島 相生橋よりやや東南の島病院付近

 高度約580メートルの上空でガンバレル型原子爆弾リトルボーイが閃光を発した。

 半径500m圏は太陽より明るく、

 爆心点は3000〜6000℃に達し、数十万気圧の衝撃波は音速を超えた。

 膨れ上がる火球は市民を蒸発させ、

 2km圏の建造物を破壊し、木造建築を全壊させた。

 大気の壁は限界まで広がり切ると、今度は気薄になった爆心点に向かって収束し、

 土砂、瓦礫、埃を巻き込みながらキノコ雲を作っていく、

 たった1発の大型爆弾は、13200000uに存在する61820棟を全焼全壊させ、

 死者118661人、負傷者82807人を・・・

 広島

 日本軍将校たち

 「ど、どういうことだ」

 「わかりません」

 焼けただけた外傷が塞がっていく、

 少女は不意に目を覚ますと裸だったことに気づき悲鳴を上げた。

 「と、とりあえず、何か服を着せてやれ」

 「はっ」

 「半径800〜900m以内は蒸発してますが、その外側は半分が蘇ってますよ」

 「蘇っているというより、死にかけからの回復だろう」

 「なんで、回復してるのかわからんが」

 瀕死の火傷を負った人々の半数が傷を回復させ、起き上がり始めていた。

 「「「「「・・・・・」」」」」

  

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 次元の彼方のもう一つの地球

 日本 時空研究室

 巨大なディスプレーに日本地図が描かれ、

 広島上空と長崎上空の光点2ヵ所が注目されていた。

 それは、低空をたまたま早期警戒管制機が通過して気付いたことで、

 最初は広島で発見され、

 捜索範囲を広げた結果、長崎でも特異点を発見してしまう。

 「どうやら十数秒の膨張を何度も繰り返してる気がする」

 「高温、高圧、プラズマ、電磁波・・・なんですかね」

 「原子爆弾じゃないのか」

 「じゃ 爆心点か・・・」

 「だが、何度も膨張を繰り返してるのはなぜだ」

 「核爆弾が炸裂した瞬間から膨張までが特異点として残されたのでしょう」

 「面白い現象だ」

 「この世界の日本は、核戦争でもしたのでしょうかね」

 「本当に日本なのか。って気もするが」

 「この世界と向こうの世界との窓口は、特異点だけしかないからな。なんとも言えないが」

 「それは哨戒機をほかの国に飛ばせないからでしょう」

 「まぁ それもあるが、早期完成警戒機を高度500m当たりに飛ばすと住民に抗議されるからな」

 「こちら側の日本と同じ緯度経度で固定されてると思いますよ」

 「何故、時間軸が・・・って、特異点は、そういうものなのか」

 「時間の特異点ですからね」

 「しかし、あちらの世界が膨張してるということはだ」

 博士がゴム風船の真ん中を狭め、片方を押し込むと片方が大きくなっていく

 「こちら側から圧力をかければ、向こう側に行けるのでは?」

 「ですが向こうに行っても永遠に膨張を繰り返すだけでは?」

 「いや、向こう世界に行けば向こうの時間で流れ始めるよ」

 「ですが、こちらで観測してる限り永遠に膨張の十数秒を繰り返すことに」

 「向こうに行った連中は気づかないだろうけどね」

 「ですが膨張時に何かを送っても気圧の関係で爆発するのでは」

 「最後の瞬間に送れば逆に圧縮が始まるだろう」

 「問題は何を送れるかですか?」

 「向こうの世界の膨張速度に合わせて、こちらの世界で圧縮させなければならない」

 「だから高気圧に耐えたあと、真空に近い低圧の世界で、プラズマも大きい」

 「だから粒子の小さいものが送り易い」

 「500m以上の高度ですからね」

 「爆心点よりやや上なら、そのまま、上に引っ張られ、成層圏に吹き上げられるかも」

 「爆心点より下なら住民を押し潰すことに・・・」

 「まぁ そうだな」

 「何がいいですかね」

 「例のアレは、G細胞」

 「G、G細胞は・・・・」

 「YAP因子と相性を合わせた重金属細胞をフラーレンに組み込んでおく」

 「フラーレンはカーボンとシリコンだから人体に重金属の悪影響を与えない」

 「しかも重金属制御機能もあるから少しくらい被爆しても取り込めるから大丈夫」

 「人体が影響を受けるとしたら純粋に放射線だけになる」

 「YAP因子と合わせておけば日本人がいなかったら影響ないし」

 「フラーレンの網は体内に取り込まれなければ数週間で切れてバラバラになって無力化するだろう」

 「G細胞は、元の遺伝子情報を取り込んで可能な限り保全し、放射線で細胞修復するし」

 「G細胞の場所によっては、人の意識の影響も受ける」

 「人間の精神というか、細胞が根底から変わるから怖くてできないけど」

 「どちらにせよ。これほどの規模で実験したことはないからね」

 「ほかの世界ならできると?」

 「なんて言うか。悪気はないよ」

 「「「「・・・・」」」」 苦笑い

 「まぁ あれだ。核攻撃を受けてしまった。もう一つの日本への友情だよ」

 

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 総理官邸

 「ピカドンで傷が異常回復してる市民がいる?」

 「なんで?」

 「さぁ 連れて来ましたが」

 少女、若者、老人など男女数人が立っていた。

 「これが爆発前、爆発直後、そして、今・・・」

 数枚の写真がテーブルの上に置かれる

 「今が一番、血色が良さそうだが」

 「回復したのは、15万3562人。異常回復者は12万3503人です」

 「しかも異常回復者は特異な能力を持ってる節があります」

 「特異?」

 「ちょっといいかね?」

 「は、はい」

 士官は若い男の腕を軍刀で切った。

 若い男は痛がるが、すぐに傷が塞がっていく、

 「す、凄いな」

 「他にも身体的な強靭さやある種の超能力的な能力があるように見受けられます」

 「アメリカ軍は知らないのだろうな」

 「知っていたら原子爆弾を落とさないでしょう」

 「しかし、今となっては、日本は・・・」

 「待ってください。日本は勝てますよ」

 「とてもそうは思えないが」

 「絶対に負けません」

 

 

   

 沖縄

 母親たちは赤子が奪われて泣き叫んでいた。

 “はっ” という掛け声と共に赤子は空に放り投げられ、

 M1ガーランドが火を噴くと、鮮血と肉塊が空に飛び散った。

 アメリカ軍将兵は面白がって笑い、賭け金が受け渡されていく、

 “絶対に殺さない” と言われ、

 信じて洞窟から出てきたひめゆり女子挺身隊の少女は服を剥がされ、

 “殺して” と捕虜となった日本兵に助けを求めたが、何もできず俯くしかない。

 少女は、アメリカ軍兵士たちによって輪姦され泣き叫びながら殺されていく、

 日本軍兵士は面白半分に殺され、

 沖縄は、白人と、下等動物の日本人の関係が作られ、

 アメリカ軍に忠誠を誓う者しか生き残れなかった。

 

 

 

 広島での異常な状況と近づく本土決戦に対し、

 陸海軍は、統一行動をとるべく国防省に統合されていた。

 「全容はまだ把握してないのかね」

 「ええ、身体機能と精神機能が伸びてますが他にもありそうです」

 「単純計算で10万人の特殊部隊ということかな」

 「彼らに武器を最優先で渡すとして、信用できるのかね」

 「信用もなにも日本人ですよ」

 「とにかく、指揮系統にどう組み込むかだ」

 「女子供老人を?」

 「「「「「・・・・・」」」」」 苦笑

 「若者もいるよ。長男や少数派だけど」

 「問題は何ができるかってことだが」

 「敵の位置を知る千里眼。遠い場所に行ける瞬間移動」

 「手を使わずものを動かせる者。何やら身体を強化したり、武器化したり」

 「変わってるな。なんでそうなる」

 「放射能の関係かもしれませんが不明です」

 「彼らは人殺しができるのか。訓練してどうにかなるもんじゃないぞ」

 「ましてや徴兵検査と関係ない人々だ」

 「人殺しは一般将兵でもいけますよ」

 「問題は陛下だな」

 「陛下は、もう3ヶ月、任せると」

 「3ヶ月以内に戦局を打開すれば、そのまま戦争継続だな」

 「できればいいが」

 

 

 1945年08月06日午前08時15分

 長崎市松山町171番地の上空503m

 閃光と爆発が起きるとキノコ雲が吹き上がる。

 ファットマンはインプロージョン方式プルトニウム原爆で威力は広島原爆の1.5倍

 24万の市民のうち14万9000人が死傷したかに見えたが、

 長崎の核爆発も広島の核爆発と同じ現象が起きた。

 中心部は蒸発してしまったものの10万人ほどが異常回復を見せた。

 「まただ」

 焼けただれた赤子が物凄い勢いで傷を塞ぎ、泣き出した。

 「な、なにか、服を持ってくれ・・・あと、ミルク缶とオムツを」

 どちらも日本には少なかった。

 「・・・異常回復する者と、回復しない者の差は、なんだろうな」

 「わかりませんね」

 「母親は焼け死んでます」

 「じゃ 男系遺伝か?」

 「かもしれませんが、もっと、調査の必要はあります」

 「核爆発と人間の何かが反応したんだろうか」 

 「かもしれません」

 「お前も、もっと、何か、考えろ」

 「と言われましても・・・」

 

 

 

 少年少女たちは手をかざすだけで、病人や怪我人を治癒させていく、

 医者たち

 「たいした力だ」

 「生体エネルギーだけでなく、放射線も巧妙にコントロールしてるらしい」

 「彼らは例の広島と長崎の?」

 「ああ、開戦前にいたらとっても役に立っただろうな」

 「今となっては手遅れか」

 「日本は降伏するんだろうか」

 「聞いた話しだと軍がごねてるらしい」

 「あのバカ軍人どものせいで日本は滅茶苦茶にされたよ」

 

 

 少年少女たち

 “なんか、戦争に負けそうだってさ”

 “大人って、嫌だね。本音と建前でさ。面子ばっか”

 “でもどうしよう。日本が負けたら俺たちも大変だよ”

 “俺たちで、日本を支配して巻き返しちゃおうか”

 “いいねぇ 木崎さんは、霞ヶ関は抑えたって”

 “あの人、精神感応が得意だから”

 “問題はアメリカ軍だけどさ”

 “アメリカ軍か。もうちょっと近付いてくれたらやれるよ”

 “あまり露骨にやると、俺たち目立つからまずいと思う”

 “日本人に魔女狩りされるのは流石に悲しすぎる”

 “そのへんは大丈夫だよ。俺たちだけの軍事機密だから”

 “むしろ、日本をアメリカに負けさせて銃を下ろさせてから、反撃したほうが楽かも”

 “日本が負けるのは、なんかムカつく”

 “問題は日本に石油がないことじゃないか”

 “石油か・・・”

 “樹里が、満州に石油があるって言ってたけど”

 “満州か・・・”

 “ソビエト軍が攻めてくるよ”

 “やっつけられないかな”

 “仲間が飛行機や潜水艦で満州と沖縄に行ったから何とかなると思う”

 “満州は友軍がいるけど。沖縄はな。銃口や大砲に向かって行く気になれない”

 “あと、日本国内に日本と日本人を憎んでる人たちもいるよ”

 “いま、木崎さんたちが片付けてるって”

 

 

 

 08月08日

 ソビエトの対日宣戦布告がなされ、

 翌日9日にはソビエト軍の侵攻が始まる。

 関東軍は本国の通達によって7日には後退を開始し、民間人の避難も始まっていた。

 少年たちは南下する避難民たちと逆に北上し、川の中へ入っていく、

 川から上がると、蒸気が昇り衣服が乾いていく、

 田畑を進んでいくうちに、

 追撃中のソビエト軍将兵は田畑にいる日本人少女を見つけ襲いかかった。

 ・・・・・・・・

 ・・・・・

 「死んだ?」

 少年が少女の前にひょっこり現れる。

 「死んだわ」

 「この調子で行こう」

 「それ以前にこいつら、本当に懲りないよな」

 ズボンを降ろしかけた数百人のソビエト兵が小麦畑で死んでいた。

 ソビエト軍機が降下してくる。

 機銃射程は1500mくらいは余裕なのだが命中率を高めるなら数百メートルまで近づく、

 機銃掃射でパイロットの顔が見えるのも圧倒的に優勢だと確信すればのことで、

 パイロットは、周辺に散らばるソビエト兵士や、子供たちの表情に怯えがないことを気にしながらも、

 何も持っていない子供たちだ。

 怖気づいて呆然と見てるだけなら、機銃掃射で確実に仕留めることができると確信していた。

 機体の侵入角度を合わせ、

 機銃発射ボタンに指を置き、ターゲットスコープの中心に子供たちを入れるため操縦桿を微調整していく、

 しかし、急にスコープが歪み、意識が混濁していく、

 戦闘機は、そのまま少年たちの頭上を飛び越え、小麦畑に突っ込み爆発した。

 そして、上空を旋回していた3機の僚機も次々と墜落した。

 世界最良と言われたT34戦車は少年たちに砲や銃口を向けていたが沈黙しており、

 少年たちは戦車を横目に見ながら進んでいく、

 

 

 

 ザバイカル戦線

 司令部 ロディオン・マリノフスキーソ連邦元帥

 「閣下・・・」

 「どうした」

 「第12軍 戦車師団師団長が戦死しました」

 「またか」

 「将軍。39軍。第121師団の師団長が戦死しました」

 「一体何やってるんだ」

 「夜の間に接近してきて、襲撃されていると思います・・・」

 「歩哨は何やって・・・」

 司令部員が次々と倒れていく、

 

 

 モスクワ クレムリン カザコフ館

 「書記長」

 「どうした?」

 「極東ソビエト軍総司令官アレクサンドル・ヴァシレフスキーソ連邦元帥が戦死しました」

 「いったいどういうことか?」

 「せ、正確にはわかりませんが、夜襲されたのだと思います」

 「司令部ごと襲われました」

 「爆撃されたのか?」

 「いえ」

 「死因はなんだ?」

 「わかりません」

 「これで何人目だ」

 「極東シベリア軍の将官はほとんどが、戦死しています」

 「極東ソビエト軍は、勝ってるのではないのか」

 「はっ しかし、指揮系統が失われ、相互支援も、補給も続きません」

 「一時、副官に指揮権を移せ」

 「司令部そのものが全滅したのですから、副官も共に死亡しました」

 「司令部の防衛はどうなってる」

 「対ドイツ戦と同じです。いえ、それ以上の部隊で固めていました」

 「それなのに、司令部が夜襲されたのか?」

 「はっ 争った形跡はありませんでした」

 「一旦、後退して、指揮系統を再建させろ」

 「というより、前線指揮官が次々と死亡して」

 「兵士は、お化けが出たとか、蛇が出たとか、裏切り者が出たとか、同士撃ちが始まり、敗走しています」

 「・・・・・」 

 「原因を探るんだ。このままでは反撃もままならない」

 「はっ」

 

 

 沖縄

 アメリカ軍将校が次々と死んでいた。

 アメリカ軍司令部

 「・・・撤退だと。ふざけるな」

 「し、しかし、この状況は・・・」

 扉が開いた。

 MPが何人もいて、倒れた将校を検死している。

 「いったい何があった? なぜ、死んでる?」

 「わかりません。銃槍なし、身体に外傷なし」

 「首を絞められたのか」

 「縄のあともありませんし、争った形跡もないようです」

 「化学兵器?」

 「細菌兵器じゃないのか」

 「日本人は無事ですよ」

 「我々アメリカ人だけに効く細菌なのか?」

 「将軍。艦隊からです」

 「病院船に遺体と日本人を何人か連れて来いと」

 「わかった。第一小隊は日本人を何人か連れて、船に行くぞ」

 「第二小隊は、遺体を運べ」

 「はっ」

 

 

 病院船マーシー

 日本人は乗船する前、武器を持っていないか調べられ、

 病院船に入ると、遺体と日本人の調査が始まる。

 “そろそろいいかも”

 “先に軍艦をやるはずだよ”

 “じゃ もう少し待つか”

 

 暗闇の中城湾を数人の男たちが泳いで渡り、

 停泊してる護衛駆逐艦チャールズ・ローレンスに付くと、錨を伝って登っていく、

 見張り員は不意に倒れ、近づいたアメリカ軍将兵も次々に倒れていく、

 男たちはもう一度、潜ると別の艦船へと泳いでいく、

 

 機関室で人が死にはじめる。

 船橋

 「おい、どういうことだ。機関室で人が死んでる」

 「なんで、機関室なんだ。検査はまだなのか?」

 「機関室か・・・ 医者や看護夫は遺体や日本人と接触している」

 「しかし、機関士は、誰とも接触していないはず」

 「風土病・・・・」

 「まさか。機関室だぞ。一番、風土病に接触しにくいはず」

 「いえ、上陸許可は最優先で・・・」

 「あ・・ 機関士の上陸記録は?」

 「3日前、5人が上陸しました。明日は、5人」

 「死んだのは上陸した5人なのか?」

 「上陸した者で死んだ者は1人だけです」

 「どういう経路で伝染してるんだ・・・」

 「船長。旗艦コロラドから無線連絡です」

 “マーシーはどうした? 何やってる?”

 「はい、現在、感染性致死疾患の調査中です」

 “沖縄に上陸したアメリカ軍将兵が次々と死んでる。戦車の中の兵士もだ”

 “あと、飛行場でもパイロットが次々と死んでる」

 “それと、周囲の艦船でも見張りと機関士が死に始めてる” 

 「はっ 本艦でも5人が死にました」

 “マーシーは感染したのか?”

 「いえ、まだ・・・・」

 “と、とにかく、早く、原因を突き止めろ、このままでは沖縄を放棄することになるぞ”

 「了解しました。至急。調査を急がせます」

 

 

 

 沖縄の浜辺 

 男たち

 「えらく油断してたな」

 「これだけの距離を泳ぐなんて思うアメリカ人は居なかったみたいだし」

 「60隻はやったから、ちょっと冷たかったぜ」

 「もう、秋だし」

 「まぁ 健康だけが取り柄だけどな・・・」

 湾内の駆逐艦が湾内で爆雷を投下し、爆発する。

 「どの班だ。誰か見つかったのか?」

 「いや、ヤケクソになってるようだ」

 「原因不明の死因が広がったらパニックになるだろうな」

 「それが目的だけどね」

 

 

 

 

 ワシントン

 白い家

 「沖縄占領軍将兵で原因不明の感染性致死症」

 「どういうことだ?」 

 「遺体は外傷なしなことから現在、病院船マーシーで調査中です。病院船リポーズも合流するはず」

 「死者数は?」

 「現在、4460人」

 「細菌兵器、科学兵器か?」

 「日本人は発症してないようですが」

 扉が開いた。

 「大統領。テニアンでも発症しているようです」

 「テニアン? いったい、なんなんだ」

 「日本人を何人か、連行しろ。なんとしても原因を究明しろ」

 「はっ」

 

 

 

 

 伊400  

 深夜の海を特殊部隊の男たちが泳いで海岸に向かって泳いでいく

 浜辺に立つと作戦を開始する。

 死因不明の死がアメリカ軍将兵を怯えさせていた。

 “死神” “日本人の呪い” “魔女のキス”

 噂は急速に広がる。

 その死病はハワイにも迫っていた。

 100人ほどが死んだあと、空襲警報が鳴り響くと戒厳令がひかれ、

 陸軍部隊が動員され、検死と調査が始まる。

 建物の裏

 「凄い慌ててるよ」

 「そりゃ 検死中や巡回中の兵隊が死んだら慌てるだろうな」

 「しかし、何を探してるんだ。ずいぶんとのんびりだな」

 「たぶん、細菌兵器か化学兵器と思われてる」

 「だから虫や草までサンプルを集めてるんだろう」

 「伊401は西海岸、伊402号は東海岸、伊403はアラスカを往復して俺たちを運ぶ」

 「アメリカ軍は原因不明のまま死んでいけば怖くなって撤収する」

 「「「「「・・・・・」」」」」 にゃぁ〜

 

 

 

 伊501

 青年たちは潜水服を着込むと浮き輪に掴まって海に入っていく、

 「お前たち、本当に大丈夫なんだろうな」

 「それよりそろそろ潜った方がいいよ」

 「アメリカ機動部隊が頭上を通過するはずだから」

 「潜水艦が沈められたら俺たちだってやばい」

 「2時間したら上がってきて、必ず救出するからな」

 「頼みますよ」

 潜水艦が沈むと、しばらくするとアメリカ機動部隊が向かってくる。

 「海中は届きにくいから不利だな」

 「だけど、できないわけじゃない」

 「直接、装甲に触れることができた200mくらい届かせられる」

 「普通の船なら逃げ道はない」

 「でもまぁ 近い方が減退しないし威力が大きいけどね」

 「だけど、航行中はスクリューに巻き込まれない方がいいから注意しないと・・・」

 アメリカ機動部隊が正面から向かってくると、艦首が迫ってくる。

 男たちは浮き輪に捕まったまま、何度も艦腹に手を当て、

 艦尾に近づくと思いっきり蹴って、スクリューから離れた。

 男たちは、それを何度も繰り返した。

 

 

 アメリカ第38機動部隊

    正規空母13、軽空母8、戦艦10隻、重巡6隻、軽巡26隻、駆逐艦88隻、

 イギリス第37機動部隊

    空母4隻、戦艦1隻、軽巡6隻、駆逐艦18隻

 

 第01任務群

  空母エセックス、ヨークタウンU、 軽空母インディペンデンス、

  戦艦アイオワ、ニュージャージー、

  重巡ポートランド、

  軽巡クリーブランド、コロンビア、フリント、ツーソン。デトロイト、リッチモンド、

  駆逐艦14

  

 第02任務群

  空母イントレピッド、レキシントンU、  軽空母カウペンス、

  戦艦ミズーリ、ウィスコンシン、

  重巡ボルチモア、

  軽巡サンタフェ、モービル、ビロクシー。コンコード、トレントン、  駆逐艦12

 

 第03任務群

  空母ワスプU、ベニントン、  軽空母ラングレー、バターン、

  戦艦サウス・ダコタ、インディアナ、

  重巡ピッツバーグ

  軽巡モントピリア、デンバー、パサデナ。セントルイス、サンディエゴ、   駆逐艦13

 

 第04任務群

  空母ボノム・リシャール、  軽空母サン・ジャシント、ベロー・ウッド、

  戦艦アラバマ、マサチューセッツ、

  重巡セントポール、

  軽巡サンタフェ、バーミングハム、デイトン 駆逐艦14

 

 第05任務群

  空母ランドルフ、ハンコック、タイコンデロガ

  戦艦ワシントン、ノース・カロライナ

  重巡ウィチタ、

  軽巡ダルース、アストリア、アトランタ。サンフアン、  駆逐艦18、

 

 第06任務群

  空母アンティータム、シャングリラ、  軽空母モンテレー、

  大巡アラスカ、グアム

  重巡ボストン、

  軽巡オクラホマシティ、アムステルダム、オークランド      駆逐艦17

 

 イギリス第37機動部隊

  空母フォーミダブル、ヴィクトリアス、インプラカブル、インディファティガブル、

  戦艦キング・ジョージV世、軽巡6、駆逐艦18 輸送船200隻

  

 第1護衛隊

 護衛空母サンガモン、サンティー スワニー、ペトロフ・ベイ

 駆逐艦 3隻 護衛駆逐艦 4隻 輸送船200隻

 

 第2護衛隊

 護衛空母ナトマ・ベイ、マーカス・アイランド、オマニー・ベイ、

       サボ・アイランド、カダシャン・ベイ、マニラ・ベイ

 駆逐艦 3隻 護衛駆逐艦 4隻 輸送船200隻

 

 第3護衛隊

 護衛空母ファンショー・ベイ、セント・ロー、ホワイト・プレインズ、カリニン・ベイ、キトカン・ベイ

 駆逐艦ホーエル ヒーアマン ジョンストン

 護衛駆逐艦デニス ジョン・C・バトラー レイモンド サミュエル・B・ロバーツ

 輸送船 200隻

 

 アラスカ

  ペンサコーラ、ソルトレイクシティ、チェスター

 

 フィリピン

  ポートランド、ニューオーリンズ、ミネアポリス、タスカルーサ、サンフランシスコ

  ナッシュビル、モービル、トピカ、ビロクシ、ヴィックスバーグ

 

 

 深夜になると第38機動部隊は小型潜水艦の攻撃を恐れ、日本近海から離れる。

 空母ヨークタウンU

 艦橋

 「日本は、もうすぐ降伏するそうだ・・・」

 提督は電文を丸める。

 「もう、反撃する力も残っていないだろう」

 「日本は有色人種で一番、目障りだった国だったからな。もう終わりだろう」

 「日本をアメリカ合衆国のインドにしてやる」

 「日本人は単一民族で結束してますよ」

 「朝鮮人に支配させれば、思いのままだ」

 「だといいのですが・・・」

 「沖縄でアメリカ軍の伝染病騒ぎが起きてるらしい」

 「おいおい、戦場で伝染病はまずいだろう」

 「いま、消毒してるが、熱消毒やアルコールでは駄目のようだ」

 「それにソビエト軍も満州を攻めあぐねてる」

 「何やってるんだか」

 「提督。巡洋艦クインシーで、機関士4人が立て続けに死亡しました」

 「死んだ?」

 「軍医によれば、原因不明だそうです」

 「提督。第05任務群。空母インディペンデンスで機関士5人が死亡」

 「別に駆逐艦4隻で、計11人が死亡してます」

 「どういうことだ」

 「いま、沖縄で上陸したか、どこに上陸したかを照合しています」

 「日本人の呪いじゃないだろうな」

 「“アマテラスの呪い” という者もいます」

 「呪いか・・・」

 「ずいぶん殺しましたからね」

 「我々にも神はいる。天地創造の神が、日本人のような異教徒の神ではない、最高の神が」

 

 

 

 深夜の海面

 潜水艦が浮かぶと乗員たちが海面を探す。

 海上で幾つものライトが照らされ、

 潜水艦は接近すると、次々と青年たちを救助して本土へ帰還していく、

 「成功したのか」

 「ああ、手応えはあった」

 「お前ら、早く暖まらないと肺炎になるぞ」

 「ふっ 大丈夫だろう」

 「もう、人間離れしてるな」

 「ちょっとな」

 「敵艦が通過する海域が分かるなら魚雷を撃ちたかったがな」

 「魚雷よりはるかに大きな影響があるはずだよ」

 「そうなのか」

 「ああ・・・ きっと、魚雷攻撃ならバンザイして喜ぶよ」

 

 

 飢餓作戦で航路封鎖任務を帯びたB29爆撃機は、延べ1529機。

 関門海峡周辺や瀬戸内海西部1800個、

 東京港・大阪港・神戸港・名古屋港1422個、

 舞鶴港や新潟港、船川港、朝鮮半島の釜山港3746個

 投下機雷総数は12135個に及び、

 日本の航路と港はほぼ機雷に埋め尽くされていた。

 これらの機雷処理処理のため、最低限の航路を確保しなければならなかった。

 ヒロシマ・ナガサキの彼らは、直接的に放射線を操る一次的な力と、

 放射線で生体エネルギーを刺激することで得る間接的で二次的な超常力があった。

 二次的な力は可能な限り秘密にしなければならないが緊急を要する事柄もあった。

 少年が掃海艇の甲板に立って船長に指示し、

 少女が手を海面に伸ばすと音響機雷、磁気機雷が浮かび上がる。

 

 

 

 

 空母ヨークタウンU

 艦橋

 「極東ソビエト軍が総退却したらしい」

 「どういうことだ。ハルピンを落とす直前だったはずだ」

 「前線だけでなく、ハバロフスクやチタなど後方にいたはずの将官将校士官まで次々と死んでる」

 「給油が上手くいかず、ほとんどの車両と火砲が置き去りだそうだ」

 「戦車に入っていればいいだろう」

 「一緒に戦車に閉じ籠もっていた戦友が朝起きたら死んでたら戦車を捨てて逃げ出したくなるさ」

 「この艦隊でも150人以上の機関士が死んでる」

 「沖縄、硫黄島、マリアナ、ハワイ、マニラはもっと酷いそうです」

 「このままだと戦意が崩壊だな・・・・」 

 「提督」

 「どうした?」

 「西海岸でも、例の死病騒ぎです」

 「早く原因を探せ。全員を身体検査だ」

 「あまりやりすぎると、人間不信が広がります」

 「やらないほうが人間不信が広がる」

 「日本人の呪いなのでは?」

 「バカを言うな!」

 

 

 ウルシー環礁

 病院船コンフォート、マーシー、リポーズ

 日本人たちが身体検査を受けていた。

 両船でも原因不明の死亡が増え、

 ウルシーの艦船でも原因不明の死亡者が増えていた。

 「日本人と接触していない者も死んでる」

 「そして、日本人で死亡者はいない・・・」

 「いえ、日本の新聞では有力政治家、官僚、軍人が不審死を出してると」

 「んん・・・」

 「だがアメリカ軍人が圧倒的に多い」

 アメリカ軍人は怯えたように日本人を扱っていた。

 アマテラスの呪いという噂が広がると、日本人の食事と待遇は次第に良くなっていく

 

 

 

 

 沖縄

 占領軍は次第に基地に引き篭り、

 パトロール以外で外出しなくなっていく、

 アメリカ軍将兵による暴行、強盗、強姦、輪姦は急速に減っていくが、

 アメリカ軍将校の死亡者数は急速に拡大していた。

 司令部

 「撤退は絶対に許さん。二度と口にするな」

 「しかし、将軍。第77歩兵師団リチャードソン中将が亡くなりました。将兵が動揺しています」

 「煩い! 二度と撤退は口にす・・る・・」

 「し、将軍・・」

 どたっ!

 「将軍! マッカーサー将軍!!」

 

 

 

 

 アメリカ合衆国

 白い家 

 「サンフランシスコとサンチアゴ、アンカレッジで例の死病だと?」

 「はっ 173人と215人と54人が原因不明で亡くなってます」

 「日本人の呪いじゃないだろうな」

 「まさか」

 「沖縄でのアメリカ軍将兵の死亡者は20000人を超えました」

 「撤収させろ」

 「し、しかし」

 「これ以上は駄目だ」

 「政権を維持できないどころか。将校の戦意を維持できない、将校や士官を失ったら軍隊が総崩れになるぞ」

 「その前に。日本と和平交渉すべきでは?」

 「日本側はなんと言ってる」

 「“徹底抗戦する” と」

 「ふっ なんの資源もない国が何を言う」

 「リメンバー・パールハーバーは終わった」

 「アメリカ合衆国の威信は保てたし。アメリカ人の報復は終わったのだ」

 「日本から一方的に撤収したところで我々は傷つかない」

 「し、しかし、死病原因もわからず兵士を撤収させるとアメリカ全土に感染病が広まるのでは?」

 「「「「「・・・・・」」」」」

 

 

 

 

 ソビエト軍は原因不明の死病を恐れて総退却しており、

 北樺太は放棄され、

 死病はハバロフスクやチタでも蔓延し、

 鍵を掛け、密室に閉じ篭っていたソビエト軍将校でさえ、翌朝に死んでいた。

 イルクーツク

 「鉄道は停止だ」

 「はあ」

 「これ以上。西にはいけない」

 「どういうことだ」

 「とにかく、これ以上の西進は禁止だ」

 「食料が足りないぞ」

 「食料は供給する。しかし、これ以上の西進はゆるさん」

 「「「「「・・・・・」」」」」

 

 

 

 

 満州帝国 ハルピン

 スターリン重戦車、T34戦車、BT戦車、火砲が並んでいた。

 「いくら燃料切れでも、こんないい戦車を置いて行くなんて、馬鹿な軍隊だな」

 「朝起きたら隣の将兵が死んだら爆発させる前に逃げ出したくなるさ」

 「しかし、寒い。夏になるまで引き篭ろう」

 「彼らは元気みたいですけどね・・・」

 ヒロシマやナガサキから来た人々は、薄着にも関わらず平然として、

 日本で見られない地平線を面白がっていた。

 「どこから熱を得てるのかわからんが、普通の人間より体温が高いのだ」

 「最近はヒロシマ・ナガサキ周辺でも似たような力を持ってる人間が増えてるらしい」

 「力はそれほど強くはないが」

 「あのピカドンのせいで?」

 「かもしれないが、敵の爆弾で、日本人が強化されたなんて、皮肉な話しだな」

 「もっとピカドンを落として欲しいですね」

 「軽はずみな事はいうな」

 「半分は死ぬし。中心部は蒸発するし炭になるし、誰であろうと助からない」

 「ですけど、賭け率はいいような気がしますね」

 「まぁ 怖いが賭けたくなるわな」

 

 

 朝鮮半島南端で起きた死病で大恐慌が北上していた。

 朝鮮人は荷車を引っ張り手荷物を持って徐々に北上し、半島から満州へと逃亡していく、

 ヒロシマ・ナガサキの人たち

 “どんどん逃げていくね”

 “朝鮮人の生存本能は世界最強だよ”

 “このまま追いかけていこう”

 “うん”

 不意に南に戻ろうとした朝鮮人が死ぬと、

 周りにいた朝鮮人が荷物を奪い、すぐ北上していく、

 

 

 

 

 

 真珠湾

 掃海艇が海底を漁って不審な者がないか調べていた。

 時折、ダイバーを降ろしては、海中の様子を調べさせる。

 空母エセックス

 司令部からMPと医療班がくると艦内で検死と調査が行われていた。

 機関室で悲鳴が聞こえた。

 「おい、どうした?」

 「バターソン伍長が急に死んだ」

 兵士が銃を構え、そばに伍長が倒れていた。

 「今死んだんだ。今まで話していたのに。俺は何もしてない。俺は何もしてないぞ」

 「わかった。タミル兵長。わ、わかったから銃を降ろせ」

 「い、嫌だ。俺は、何もしてない。本当だ。何もしてないぞ」

 「わ、わかってる。お前は、何もしてない」

 「本当なんだ。俺は、何もしてない。いままで、普通に話してた」

 「二人で交換するパッキンの数を確認していたんだ」

 「これだ。これを見てくれ。働いてたんだ。一緒に働いてたんだ」

 「タミル兵長。わかった。わかってる」

 「友達だった。親友だったんだ。戦友だ。殺すはずない」

 「そうだ。お前たちが仲が良かったのは、みんなが知ってる」

 「け、喧嘩だって、したことない・・・ いや、一度したけど、仲直りした」

 「わかってる。お前は、犯人じゃない、仲良かったことは知ってる」

 「本当だ。犯人じゃない」

 「わかってる。だから、銃を降ろすんだ」

 「仲直りしたんだ。だって、あいつが遅刻したから、でも、もう怒ってない」

 「そうだ。わかってる。お前は、絶対に犯人じゃない」

 「絶対だ。俺は、犯人じゃない」

 「わかってる。だから、銃を降ろせ」

 兵士は泣きながら座り込み、銃を下ろした。

 MPは、遺体を運び出し、兵士は病室へと送られていく、

 「俺は、犯人じゃない」

 「ああ、お前は犯人じゃないさ」

 「本当だな」

 「本当だ。お前は犯人じゃない」

 “第二機関室で人が死んでるぞ”

 伝声管から悲鳴に近い通報が入った。

 

 

 

 テニアン

 兵士が海岸に向かってガーランドを撃っていた。

 「どうした? 何があった」

 「い、いま、海面で何か動いたんだ」

 将兵たちが指差した方向を見ると何も無かった。

 「本当だ。本当に何かが居たんだ」

 「「「「・・・・」」」」

 兵士は弾丸を足して引き金を引く、

 「もう、いい、やめろ」

 「い、嫌だ。何かがいるんだ」

 「もういい・・・」

 “大変だ。ブローホールで味方兵士5人が死んでるぞ”

 「「「「・・・・」」」」 ぞわぁ〜

 何もない暗い海面に向かって銃弾が撃ち込まれ、

 ほかの将兵は、小銃を構え周囲を見回していた。

 そして、不意に一人が倒れ、

 「ピエール軍曹。どうした」

 そぉ〜

 首に手を当てると脈がなかった。

 ごくん!

 「死んでる・・・」

 将兵たちは、半狂乱になって、兵舎に向かって逃げだした。

 途中3人が倒れ、そのまま起き上がることはなかった。

 

 

 

 

 

 

 日本

 ヒロシマ・ナガサキ閥は圧倒的な生命力、放射線制御能力で対米対ソ戦線を押し返しただけでなく、

 日本の権力構造の中枢を押さえ始めていた。

 特に能力の強い者たちは、精神ネットワークを構築することができ、

 能力の高い者がいれば前線の様子も把握できた。

 総理官邸

 「満州の石油を採掘してるけど燃料に向かない。発電用らしい」

 「もっと高価な石油精製所を作らないと」

 「どちらにしてもすぐ使える石油がない」

 「戦局は?」

 「沖縄ではアメリカ軍の撤収が始まってるし」

 「日本本土は爆撃もされていない」

 「護衛のアメリカ機動部隊もウルシーへ後退している」

 「ハワイでも死病が始まってるから、戦々恐々だろうけどね」

 「総理。アメリカは、リメンバーパールハーバーがほぼ済んだので講和したいと」

 「“アメリカ軍が開戦以前の国境まで後退しない限り講和に応じない”」

 「いいんですか。そんなこと言って」

 「“もうすぐ、神火風(かみびかぜ)がワシントンに届く” と付け加えといてくれ」

 「「「「あはははは」」」」」

 

 

 

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 月夜裏 野々香です。

 末期戦です。それも降伏間近の日本からです。

 もう、まともな方法じゃ巻き返せない。

 パラレル & オカルト・ホラーパワーで行きます。

 神火風(かみびかぜ)

  日本の神は、八百万の神々

  福の神だけじゃなく、死神、疫病神、貧乏神もあるわけですし、

  一概にいい神というわけじゃない

  なので原爆が神の降臨となった世界の戦記

    

 

 日本海軍残存艦隊

 戦艦4隻 巡洋艦11隻 空母6隻 水上機母艦1隻 潜水母艦1隻 敷設艦3隻

 駆逐艦41隻 潜水艦59隻 海防艦100隻 砲艦14隻 水雷艇3隻 掃海艇11隻

 駆潜艇28隻 敷設艇6隻 哨戒艇6隻 輸送艦16隻 特務艦19隻

 敷設特務艇14隻 駆潜特務艇146隻

 掃海特務艇21隻 電纜敷設艇1隻 哨戒特務艇25隻

 魚雷艇(甲)6隻 魚雷艇(乙)200隻 魚雷艇(隼)88隻

 

 横須賀(86隻)

  長門

  駆逐艦

    花月、春月、夏月、宵月、雪風、波風、汐風、初桜、響、夕風、

    萩、蔦、柿、菫、欅、桐、楠、竹

  海防艦

    福江、保高、生野、四阪、14号、16号、34号、36号、37号、71号、105号、107号、

    神津、倉橋、屋代、48号、49号、76号、77号、

  輸送艦  9号、13号、16号、19号、110号、147号

  掃海艇  23号、102号、

  敷設艇  神島、巨済、石崎

  駆潜艇  47号、49号

  掃海特務艇  11号、12号、13号、14号、17号、18号、21号、22号

  駆潜特務艇

   1号、4号、27号、58号、68号、72号、78号、88号、

   155号、159号、161号、171号、181号、183号、185号、194号、

   196号、202号、203号、212号、221号、241号、公称1182、公称1648

  哨戒特務艇  3号、26号、31号、134号

 

 呉

  葛城

  榛名、伊勢、日向

  青葉、利根

 

 

 佐世保(86隻)

  準鷹

  駆逐艦   樫、雄竹、杉、楓、冬月

  海防艦

   宇久、金輪、波太、対馬、択捉、三宅、羽節、伊王、隠岐、

   8号、27号、32号、44号、52号、55号、57号、58号、60号、78号、79号、

   106号、118号、126号、132号、142号、150号、192号、194号、196号、

   198号、215号、221号、227号、鵜来、竹生、生名、12号、22号、104号、154号、217号

  輸送艦  137号、172号、174号

  水雷艇  雉

  敷設艇  粟島、済州、加徳、黒島、鷲崎

  駆潜艇  9号、21号、38号

  掃海特務艇  16号

  駆潜特務艇

    71号、80号、89号、90号、93号、99号、154号、158号、

    168号、169号、173号、231号、234号、247号、249号、250号

  補給船  若鷹、光済、白崎、早崎、荒崎

  陸軍SB艇  109号、114号

  陸軍ES艇  7号、12号、18号、19号

 

 舞鶴(60隻)

  駆逐艦  初梅、樺、榧、槇、椎

  海防艦

     奄美、占守、67号、81号、85号、87号、158号、160号、205号、207号、

     新南、26号、40号、102号、156号

  掃海艇 21号

  敷設艇  黒神、片島

  掃海特務艇  19号、20号

  駆潜特務艇

    57号、79号、86号、157号、162号、164号、166号、175号、179号、

    184号、186号、187号、198号、214号、215号、217号、219号、

    222号、227号、232号、236号、239号、245号、246号

  哨戒特務艇

    84号、135号、136号、138号、139号、152号、153号、154号、175号、179号、191号

 

  シンガポール

   妙高、高雄、北上

 

 

 空母 鳳翔

 巡洋艦 八雲、酒匂、鹿島、

 特務艦 長鯨、箕面、聖川丸

 駆逐艦 雪風、汐風、夕風、波風、神風、冬月、春月、夏月、花月、宵月」ほか20隻

 潜水艦 伊14、伊36、伊201、伊203、伊400、伊401、伊402、伊500、伊501、伊502、伊505、伊506

 

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天ぼた系火葬戦記 『神火風』

第01話 1945年 『08月06日午前08時15分』
第02話 1946年 『もう、藁でも掴みたい』