cinema / 『死霊のはらわた 20周年アニバーサリー』

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死霊のはらわた 20周年アニバーサリー
原題:“EVIL DEAD 20th” / 監督・脚本:サム・ライミ / 製作総指揮:ブルース・キャンベル、ロバート・G・タパート、サム・ライミ / 撮影:ティム・フィロ / 音楽:ジョー・ロ・ドゥガ / 特殊メイク:トム・サリヴァン / 特殊効果撮影:バート・ピアース / 出演:ブルース・キャンベル、エレン・サンドワイス、ベッツィー・ベイカー、ハル・デルリッチ、フィリップ・A・ギリス / 配給:JVD
2002年アメリカ作品(オリジナル・1982年) / 上映時間:1時間26分 / 字幕:?
2003年02月08日日本公開(R-15指定)
公式サイト : http://www.jvd.ne.jp/cine/evil.html
シネセゾン渋谷にて初見(2003/03/08)

[粗筋]
 雑な舗装路を走るボロ車。運転するスコット(ハル・デルリッチ)に整備がなってない、と言われて憤慨するアッシュ(ブルース・キャンベル)を、女性陣はなだめる。男女あわせて五人、二組の恋人同士とアッシュの姉シェリル(エレン・サンドワイス)という組み合わせの一同は、休暇を廃屋で過ごすという物好きな計画を立てて、この森を訪れたのだった。壊れそうな橋をどうにか乗り越え、辿り着いた小屋は彼らの想像を絶する劣悪な状態だった。
 恋人たちが睦みあっているあいだ、独り身を託ったシェリルは壁に掛かった古びた時計をスケッチする。その手が突然、シェリルの意志に背いて勝手な動きを始めた。強い筆跡で描かれたのは、四角い輪郭に収まった、単純で不気味な顔。怯えるシェリルの視線の先にあった床が、突然跳ね上がった。
 五人揃ってのパーティーが始まると、ふたたび問題の床が跳ね上がって、今度は開けっ放しになった。スコットが懐中電灯を片手に様子を見に行くが、なかなか戻る様子がない。不安になったアッシュがランプをかざして降りていく。そこを脅かしたスコットは、いいものを見つけた、と言って地下室の奥にアッシュを連れて行った。転がっていたのはテープレコーダーにショットガンと弾薬、髑髏をあしらった短剣、それから奇妙によれた革で装った、不気味な絵柄ばかりを並べた一冊の本。
 スコットは面白半分に、テープレコーダーにかかっていたリールを廻しはじめる。それはこの廃屋の当初の住人であった、学者と思しい人物による遺跡研究の成果を記録したものだった。学者は「死霊を呼び起こす呪文」という一文を読み上げはじめる――が、怯えたシェリルの手でテープは止められた。それでも微かに流れ続けた祭文は、森の奥に隠れ潜んでいた何者かを、確実に目醒めさせていた……

[感想]
 なんでもありです。
 上にも記したとおり、本編はあくまで1982年に製作された作品であり、20周年を記念して音響をデジタル・ドルビーサラウンドに変更した点だけが目新しい。
 元がスプラッタ映画の元祖とまで言われているだけに描写は激しいのだが、いまとなってはどこか可愛げがある――と思ってしまうのは私がこの手の描写にそろそろすれつつある所為かも知れない。暴力的描写に嫌悪感を抱く方、基本的に受け付けないという方には、開始30分あたりから苦行となるはずだ。
 それにしても無節操なくらいになんでもありの展開は、それ故にあちこち微妙な破綻を来しながらも、異様な迫力と牽引力を備えている。名作として名を残すのも頷ける、妙な言い方だが愛すべき作品。無論誰彼にも勧めていい代物ではないが、同行の士とは共に愛でたい一本である。あれこれ言うのも無粋だろう。

 本編の監督サム・ライミといえば、昨年公開された『スパイダーマン』の大ヒットで一躍一流の映画人にのし上がったことが記憶に新しい。ライミの友人であり本編の製作総指揮にもともに携わった主演のブルース・キャンベルも、漫画的な演技を買われて今なおハリウッドで活躍しているという。カルト的な人気を誇った作品だけに、調べていけば他にも名を成した人々があちこちに関わっているかも知れない。
 終了後のスタッフロールを眺めていて私が気づいた名前は――ジョエル・コーエン。もし同姓同名の別人でなければ、『ファーゴ』、『オー!ブラザー』、カンヌ映画祭でも賞賛された『バーバー』を製作したコーエン兄弟の片割れのはずだ。確か編集のどこかで名前を見たはずなのだが、購入したプレスシートでは言及していなかったため確認が取れない。同一人物だったら面白いのだが。

(2003/03/09)


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