cinema / 『スターウォーズ episode II クローンの攻撃』

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スターウォーズ episode II クローンの攻撃
原作・監督・脚本・製作総指揮:ジョージ・ルーカス / 製作:リック・マッカラム / 共同脚本:ジョナサン・ヘイルズ / プロダクション・デザイナー:ギャビン・ボケット / 編集・サウンドデザイナー:ベン・バート / 撮影監督:デイヴィッド・タッタートル / 衣装デザイン:トリシャ・ビガー / キャスティング:ロビン・ガーランド / アニメーション監督:ロブ・コールマン / スタント・コーディネーター、ソードマスター:ニック・ジラード / 音楽:ジョン・ウィリアムズ / 出演:ユアン・マクレガー、ナタリー・ポートマン、ヘイデン・クリステンセン、クリストファー・リー、フランク・オズ、サミュエル・L・ジャクソン、イアン・マクダーミド / 配給:20世紀FOX
2002年アメリカ作品 / 上映時間:2時間22分 / 字幕:戸田奈津子
公式サイト :  http://www.starwars.com
2002年07月13日日本公開
2002年12月06日DVD日本版発売 [amazon]
日比谷スカラ座1にて初見(2002/07/31)

[粗筋]
 遠い昔、遥か彼方の銀河系の物語――
 共和国は危機に瀕していた。数多の星系が共和国からの離脱を表明し、戦争勃発への危惧が高まっていた。共和制の維持に奉仕すべきジェダイの騎士は限られており、共和国全体で軍を編成しようという気運が高まりつつある。ナブーの女王から元老院議員となったパドメ・アミダラ(ナタリー・ポートマン)は平和的解決を主張し、そのために分離主義者から命を狙われ、影武者となった友人を喪う。折しも元老院議員と協議の最中であったジェダイ評議会は、パドメの護衛に旧知の間柄であるオビ=ワン・ケノービ(ユアン・マクレガー)とその弟子のアナキン・スカイウォーカー(ヘイデン・クリステンセン)をつけることを決める。
 二人が到着したその日、早速何者かの刺客がパドメを襲った。追跡の末どうにか刺客を捕えるものの、黒幕を聞き出す直前に刺客は殺されてしまう。評議会はオビ=ワンに黒幕の発見を、アナキンに引き続きパドメの警護を命じる。
 オビ=ワンは暗殺に用いられた毒矢がカミーノという惑星で作られているものだと知り、ジェダイ図書館で調査のうえ向かおうとするが、何故か星図で発見できない。ヨーダ(声:フランク・オズ)は必ずそこに存在するだろうと断言するが、同時にジェダイ以外に工作不能な現象に不安を募らせる。何はともあれ問題の星域に向かったオビ=ワンは無事にカミーノを発見するが、どういうわけかカミーノの政府はオビ=ワンをジェダイの騎士として歓迎した。カミーノの首相は10年前、ジェダイの騎士サイフォ=ディアスに依頼され、膨大なクローン兵養成システムを完成させていたのだ――
 一方、難民を装いナブーに潜伏したアナキンとパドメは、束の間の平穏な暮らしの中で互いが互いに抱く想いに気づき始めていた。執着を否定するジェダイの騎士にとって恋愛は最大の御法度であり、優れた政治家の一面もあるパドメにとって恋愛感情は間違いなく理想の妨げとなる――互いの破滅を意味するその感情を、しかし次第次第にふたりは否定できなくなっていく。
 オビ=ワンはクローンのオリジナルであるジャンゴ・フェット(テムエラ・モリソン)を追って惑星ジオノーシスに辿り着く。一方アナキンは悪夢から母の危機を感じ取り、パドメとともに自らの故郷であるタトゥイーンに向かう――二人のジェダイ戦士は、少しずつ運命の核心に迫りつつあった……

[感想]
 ヨーダー――――――――――――――――!!!!!!!

 ……取り乱しました。申し訳ありません。
 まず参考までに、私がこれまでに観たスターウォーズ作品を示しておきましょう。――旧三部作は観た記憶がありません。R2−D2やC3POはお気に入りで玩具を持っていた記憶がありますが、多分本編はまともに観ていないでしょう。実の処、映画道楽が病膏肓の域に差し掛かったこの段階で本編が上映される運びとなって、テレビ放映された先行作を初めて観る気になった、というのが事実なのです。しかも第一作の完全版は前半ちょこっとを眺めただけ、通して鑑賞したのは『帝国の逆襲 完全版』と『episode I ファントム・メナス』のみ、という始末。要するに、間違ってもファンではない。観た二作についてもどこかいい加減で、世界観や固有名詞といった必要な知識がきちんと頭に入っているとも言いがたい。
 それでも本編はごっつう面白かった。固有名詞はいまいち把握しきれないし(キャラクター多すぎるっちゅうねん)人物や出来事の関連も満足に捉えられなかったのだが、陰謀と冒険、そしてアクションといった娯楽作品の定番であるシチュエーションの配置が絶妙で、やや長めの尺ながら理解しきれないエピソードに飽きることなく最後まで楽しめた。強いて言うなら当初の売りであったはずのラブストーリーが本編ひとつではかなり説得力不足であること――原因は多々考えられるが敢えて言わずにおこう、だいたいみんな解っていると思うし――に問題があるが、ほかの場面での確かなディテールと説得力とが欠点を補ってあまりある。内心、物語にはあまり期待せずにおこうと最初から考えていただけに、余計にこの精度に打ちのめされた気がする。
 映像と音楽・音響はほぼ期待通りの出来だった――と言ってもこの三点はいずれもかな〜り高めに設定していたので、否定的な意味合いのない「期待通り」である。私は当初からDLPでの上映に狙いを定めていたのだが、まあ美しいわ迫力あるわ。いちいち美点を拾い上げるのも面倒臭いくらい美麗な画像が、デジタル方式による上映で劣化なく観られるだけでも幸せである。振動さえ伝わる音響も言うことなし。作品の絶対評価よりも、技術の極北に圧倒されているだけという気が自分でもするが、この際素直に酔いしれておくのがお得だ。
 しかし、やはり最大の見所はクライマックスにおけるヨーダの活躍だろう。ここだけは、公開後の評判から期待していたほど扱いが大きくなかったことに若干の不満があるが、それでもこの一場面だけでも劇場を訪れた甲斐があった、と思わせる強烈な一幕だった。
 シリーズの断片でしかない、という約束を予め受け入れられる、というハードルこそあるものの、それさえ乗り越えられるならば間違いなく楽しめる一本。IIIにも期待。

 ……それにしても、本当に『帝国の逆襲』と構図がそっくりだなー……いや、構想としては寧ろ評価するべき方法論なのだけど、ラストのある場面では、そう言う意図はないと知りながら思わず口許が緩んでしまったわ。

(2002/07/31・2004/06/23追記)


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