/ 『トゥームレイダー2』
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『light as a feather』トップページに戻るトゥームレイダー2
原題:“Tomb Raider 2 : The Cradle of Life” / 監督:ヤン・デ・ボン / 製作:ローレンス・ゴードン、ロイド・レヴィン / 共同製作:ルイス・A・ストローラー / 原案:カーク・M・ペトルッチェリ、ロイド・レヴィン、ジェームズ・V・ハート / 脚本:ディーン・ジョーギャリス / 撮影:デヴィッド・タッターサル / 編集:マイケル・カーン / プロダクション・デザイン:カーク・M・ペトルッチェリ / 衣装デザイン:リンディ・ヘミング / 音楽:アラン・シルヴェストリ / 音楽監修:ピーター・アフターマン / セカンド・ユニット監督、スタント・コーディネーター:サイモン・クレーン / SFX監修:クリス・コーボールド / 特殊効果監修:スティーヴ・ベック / 出演:アンジェリーナ・ジョリー、ジェラルド・バトラー、ノア・テイラー、シアラン・ハインズ、ジャイモン・ハンスゥ、ティル・シュヴァイガー、クリストファー・バリー、サイモン・ヤム、テレンス・イン / 配給:東宝東和
2003年アメリカ作品 / 上映時間:1時間57分 / 日本語字幕:松浦美奈
2003年09月20日日本公開
公式サイト : http://tombraider.eigafan.com/
日劇PLEX1にて初見(2003/09/20)[粗筋]
ギリシア、サントリーニ沖にララ・クロフト(アンジェリーナ・ジョリー)の姿があった。凄腕のトゥームレイダーである彼女が狙うのは、かつてアレキサンダー大王が集めた財宝のなかでも選りすぐりのものが隠された神殿。いちど海深く沈んだ神殿は、先頃の地殻変動によって再度その痕跡が確認され、未曾有の宝物に巡り会おうと各国のトゥームレイダーが集結している。ララは他の面々が狙っている場所と実際に宝の埋まっている箇所が異なっていることを察知すると、首尾良く海中に隠れた神殿を発見した。仲間たちが金銀財宝に群がるなか、ララが目をつけたのは巨大な彫刻が抱いた不思議な宝玉。だが、それを収穫しようとしたとき、何者かの襲撃に遭った。仲間はすべて殺され、ララ自身も命からがら脱出する。宝玉も、襲撃者によって奪われてしまった。
どうにか自宅に戻ったものの苛立って執事のヒラリー(クリストファー・バリー)に半ば八つ当たりするララの許を、ふたりの男が訪れた。MI-6のエージェントは、宝玉を奪ったのがジョナサン・ライス博士(シアラン・ハインズ)であることを明かす。ノーベル賞を受けた化学者だが、同時にテロ組織に対して細菌兵器を売り渡して平然としている、歪んだ人間でもあった。ララは事件の絡繰りを察知する。ライス博士は、かのアレキサンダー大王が東方遠征の際に発見し、そのために部隊を壊滅状態に追いやった疫病の源である「パンドラの箱」を隠した場所――「生命のゆりかご」を探しているのだ。宝玉は、なんらかの暗号によってその在処を示す地図だと読んだララは、撮影してあった宝玉の画像解析を仲間のブライス(ノア・テイラー)に任せる一方、自分たちを襲撃し宝玉を奪った一団――“シェイ・リン会”の本拠を突くことを決心する。その為に彼女は周囲の反対を押し切り、かつてララの恋人であり、のち所属していた英国海兵隊を裏切って傭兵に転じたテリー・シェリダン(ジェラルド・バトラー)をカザフスタンの刑務所から解放した。かつて“シェイ・リン会”の内部に潜りこんでいた経験のある彼に、武器を与えない道案内のみの役割で連れ出すことにしたのだ。
無事――とは言い難いがどうにか“シェイ・リン会”の本拠に潜入したララは、格闘の末に首領のチェン・ロー(サイモン・ヤム)から宝玉と一緒に安置されていたメダルを取り戻すと、返す足で宝玉取引の現場へと向かった。舞台は上海の商店と民家の密集地帯。ギリギリのところでライスも宝玉も取り逃がしたララだったが、どうにか発信器を取り付けることに成功する。結果割り出したライスの細菌研究所は、あろうことかタイムズスクエアの地下に存在した――[感想]
2001年のスマッシュ・ヒットからわずか二年の間隔での再登場である。監督のヤン・デ・ボンをはじめスタッフはかなり入れ替わっているが、基本的なノリはほとんど変わらない。それもこれも、ララ・クロフト=アンジェリーナ・ジョリーという構図が前作ひとつで完成されたことへの自信の現れなのだろう。
冒頭からコミカルで、場面展開までがゲームチックだった前作と較べて、今回は“トゥームレイダー”という設定が匂わせている正統派冒険劇により近づいた印象がある。移動範囲が異常に広く、その推移が面クリア型のゲームを思わせる点に変わりはないものの、まず地殻変動から浮かび上がった宝物をめぐるかけひきに始まり、その経緯を探る場面やそれ以降の話の流れは前作以上にシリアスな雰囲気を帯びている。トータルでのイメージに違いがないのは、シリーズキャラクターとしてのララ・クロフトの完成度を示している、と言ってもいい。
中盤での言動がきっちりラストシーンで活かされていたり、とドラマ作りも丁寧になったが、しかし全体的にやや安直な筋書きが多かったことも否めない。行動原理が不明だったり、スペクタクルを求めるあまりに大仰にしすぎて破綻している箇所もある。その程度はファンタジー的要素を含んだ冒険もののお約束として受け入れられるものの、出来ればメインとなる悪役にもっと魅力と造型面での存在感が欲しかった。そこを考慮しておけば、終盤での展開に更に意外性が添えられたのではないか。
しかし、いちばん惜しかったのは、前作から継続して登場したララと最も親しい仲間ふたり、ヒラリーとブライスの活躍がほとんど見られなかったことだ。ちょこちょことした、おまけのような見せ場だけではなく、前作のようなキュートな活躍を披露して欲しかったところである。
本編で伺われたキャラクター造形に対する自信からして、まだ何作か続きそうな予感がある。次作以降、可能であればもっと彼らにも活躍の場を与えてやってください。
――ともあれ、細かくツッコミを入れればきりがないが、明快な冒険活劇としての完成度は前作よりも高まっている。前作が楽しめた向きであれば確実に満足のいく仕上がりだろう。(2003/09/22)