< 序章 >


  カラッカの少年と彼を支えた仲間たちによって魔王ディアーザは倒れ、マックルの
 世界に再び平和が訪れました。
  カラッカの王となることを固辞した勇者は新たな冒険を決意し、最初の訪問地にデ
 ィアーザによって焼き尽くされたラントの町を選びました。
  ディアーザが倒れた後、ラントは世界中から集まった有志により再興され、元の活
 気あふれる町に生まれ変わろうとしていました。勇者もそのお手伝いをしようと思っ
 たのです。そこにはマザレルナからやって来たレオン、ウェイダンから駆け付けたデ
 ィコスの姿もありました。
  あとわずかで町の復興が終わろうかという時、大魔道師スラックがラントの町にや
 って来ました。
  勇者がスラックに話し掛けようとすると「おかしい・・・ 」と誰に言うともなくスラ
 ックがつぶやきました。「やはりおかしい・・・ ディアーザが消滅してしもうたのなら、
 とっくに妖気が消えてる筈じゃ・・・ ディアーザは逃げただけじゃな・・・ 間違いあるま
 い、まだ生きておるわ!」

  ディアーザは生きていたのです。魔王城で勇者と戦ったディアーザは敗戦を覚悟し
 た瞬間それまでの身体を捨て、再び世界を征服すべく更に強力な身体を手に入れるた
 めの策略を企んでいたのです。

  「お前しかおらん・・・ 」とスラックが勇者に言いました。「ひょっとしたらすでに
 ディアーザは復活しておるかも知れん。どっちにしても、ディアーザを倒せるのはお
 前さんしかおらんわい。ほれ、持って行け・・・ 」そう言ってスラックは勇者に1本の
 剣を渡しました。
  それは、カラッカ王に返上した筈のマックルブレードでした。
  「今度ばかりは、その剣でも倒せんかも知れんのう・・・ ま、その時は何とかするん
 じゃな、ふぉっふぉっふぉっ・・・ 」
  「あんた、また冒険を始めるのかい?」さっきまで何やら怪しげなモノを売ってい
 たディコスがいつの間にか勇者のそばに来て話し掛けてきました。
 「ひょっとしたら、またどこかであんたと出喰わすことがあるかも知れねえなぁ・・・
 そん時ゃぁ、よろしくな」

  かつてディアーザのインビンシブルを破ったその剣を手に、勇者の新たな冒険が始
 まったのです。



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