AGASA 見物記

〜「イリヤの空…」番外編〜



 この取材の日、実は、集合して最初に見に行ったのは、山梨県明野町にある東大宇宙線研究所明野観測所だった。ここに、AGASA(Akeno Giant Air Shower Array)と呼ばれる空気シャワー観測装置がある。詳細はこちらを参照のこと。
 約100平方kmの地域に111台の観測装置があって、大気圏に衝突する高エネルギー粒子から発生する粒子を観測する。
 さて、この装置において、1993年12月に従来の理論では説明がつかないような10^20eV級の粒子が観測された。従来の理論とは、3K輻射の光子によって遠方からの粒子はカットされてしまう、とする「GZKカットオフ」と呼ばれる理論。しかし10^20eV級となると現在知られている発生源はクェーサーや活動銀河中心といった何億光年も彼方の天体しかなく、従来の理論と矛盾する、として現代物理学界で話題になっているのである。(ちなみに、10^20eVというと、CERNで現在建設中の加速器LHCの1億倍のエネルギーであるから、トンデモない高エネルギーである)
 しかし、こんな現代物理学の最前線の観測装置なのだが、見かけは大変チープなのである。検出器が入っている建物や、データを中継する「ブランチセンター」という名前の建物は、プレハブの物置をそのまま流用というチープさ(^^; ぜひそのアンマッチぶりを見たい、と出かけて行ったのだが、当日はそれらしい建物(物置)を見つけることが出来なかった。

ミューオン検出器
シンチレーションカウンタ(ミューオン検出器)

 上の写真は、たぶんAGASAの検出器だろうと思って撮ったものだが、後で調べたら、AGASAの前身の「1平方キロアレイ」と呼ばれる空気シャワー観測装置の一部で、シンチレーションカウンタ(ミューオン検出器)とのこと。いかんせん、見学コースが無いもので、勝手に敷地の中を撮影したものである(^^;;;
 ちなみに、AGASAの観測結果が注目を集めたので今度はアメリカでも観測システムの建設が始まることになっていて、これはユタ州とアルゼンチンの2カ所に、それぞれ1.5kmメッシュで、3,000個の観測装置を並べるというものなのだが、それは(ノーベル賞で有名になった)カミオカンデの原理で、12トンの水を入れたタンクに3つの光電子倍増管を並べたものなのだと。一つの地区全体でスーパーカミオカンデの約9割程度の光電子倍増管を持つわけだ。これまた壮大な話である。
 (以上、立花隆著「脳とビックバン」参照)

明野観測所正門
みちる「わぷぷ、なんでこんな所にいるの?」
 美凪「天文だからだそうです。強引ですね…」

 ちなみに、上の写真は明野観測所正門。「天文と言ったら、この姉妹だよね〜」と強引に決めつけて人形を置いて写真を撮ったものである。
 …こんなトホホな話ばっかり(^^;

  終わり