金星が宵の明星となるわけ
地球を北極のはるか上から眺めたところです。
地球は、時計の針と反対回りに太陽の回りを回転しています。また、地球自身も同じように反時計回りに回転しています。
地球号に乗っている我々の地平線も、地球の回転と共に反時計回りに廻ります。
上の図で、我々が、地球の周囲の一点に居るとします。
地球の中心に背を向けて、頭を北極に向け、両腕を広げて水平に伸ばします。左腕が東の方向、右腕が西の方向です。両腕の延長が地平線です。
地球の自転に、つれて地平線も反時計回りに廻ります。左手の方が東へ東へと廻るのですが、我々が見ている天球は反対に西へ西へと回ります。
列車の窓から風景を見ていると、風景が列車進行方向と反対の方向に動いていることと同じ原理によるものです。

上図の上の薄い空色は、朝方日の出の時刻の状態を表しています。夜から朝になると、我々の左手の東に太陽がみえはじめす。
地平線が、昼間の間ぐるっと廻って、朝方と180度違った位置に来たのが下の黒い部分です。
西に太陽が沈み、金星が見えます。つまり宵の明星です。

金星は地球と同じように反時計回りで太陽の回りを公転しています。(ただし、金星の自転は地球と違って時計まわりです。)
金星は、太陽に近く、公転半径が小さいために、公転周期が短く、地球より速く太陽の回りを廻ります。
現在の位置からやがて、太陽-金星-地球が一直線になり、我々の目に見えなくなります。
そして、次の図になります。

金星があけの明星となるわけ

 太陽-金星-地球が一直線になる状態を、金星が内合すると言います。
 上の図で、金星の公転軌道と地球の両方に接している直線があります。金星の軌道上の接点にある場合を考えてみましょう。太陽の東側にある接点を「東方最大離角」と言います。
反対側が「西方最大離角」といいます。
もし、金星が太陽と同じ軌道(黄道)上をを動くとします。
金星が東方最大離角の位置にあるころ、見かけ上太陽から一番離れています。太陽からずうと遅れて西の地平線に入ります。太陽がさっき通った高い位置で光ってみえるはずです。
金星が東方最大離角より内側にあるころ、見かけ上太陽に接近しています。太陽の後を追うようにして西の地平線に入ります。太陽がさっき居た低い位置で光ってみえるはずです。
 しかし、実際には一番高く見える時期は、この東方最大離角とずれています。金星の軌道が黄道とは違う軌道を動いているからです。
 
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