第65期名人戦第2局 ▲森内名人対△郷田九段
大盤解説会 於 将棋会館 講師:加藤一二三九段 2007.4.25(水)

(写真はこの解説会でもらった大山十五世名人のせんす)

 今回は、指し手の解説の合間になされたこぼれ話をまず初めにまとめて書き、その後に差し手の解説を記載します。
 (わたしのメモに基づき構成した以下の文章は、加藤先生のおことばを一字一句、忠実に再現したものとはなっていないことをお断りしておきます。話された順番も、必ずしも記載の通りではありません。)
 なお、この一日のわたしの全行動については、別ページ(龍樹のシューマイ、さとの出前07.4.25(水))に記載しています。


長考
 郷田九段はわたしに非常によく似ています。
 長考した結果、当たり前の手を指す。(笑)
 指す手はわかっている。わかっていて考えているところがある。
 棋士によっては、考えたんだから、と言って、変化球を投げてくる人が多い。
 (先生の長考記録は?という客の問いに答えて)
 対局中の長考は4時間30分弱、(註・第28期A級順位戦1974.2.8)
 休憩中も含めた記録は7時間。(註・第7期十段戦第4局1968.12.3)
 (前者は)序盤の20手目で長考して残り90分になったが、あとは完璧な差し回しで快勝した。
 相手の二上九段は、あの対局以来調子がおかしくなってその後9連敗した、と書いていた。
 そんなに衝撃だったのか。
 堀口七段が順位戦で5時間以上考えて、記録を破った。これはもう破られないでしょう。
 すばらしいところは、わたしの場合もそうだが、長考して勝ったところ。負けるとどうしようもない。
 二上戦は角交換して角を打ち込む、馬になる、取られてしまう可能性がある、それを考えた。
 30年くらい前、講演で、(長考中は)同じことを繰り返し考えている、と言った。
 それを聞いた人が子供のいる学校で話をして、加藤九段はおかしい、ばかじゃないか、と言った。
 (註・PTAの役員かなんかでしょうか?先生ではないようでした)
 子供が帰ってきて「パパ、こんなこと言ってたよ」と教えてくれた。
 わたしも舌足らずのところがあった。
 全く同じことを考えているわけではない。
 はたからみたらおかしいかもしれないが、苦労している、ということを感じてほしかった。

直感精読
 最初に思ったとおりにやればよかった、というのが棋士の感想戦の第一声に多い。
 直感はたいてい一番よい。
 大事をとるつもりで別の手を指してチャンスを逃がす。
 僕はわからないから考えているわけではない。
 わかっている手を考えている。
 だったら早く指せ、と言われるんだけれど。(笑)
 早指しは強い。
 NHK杯は七回優勝、他にもテレビ東京の早指し戦、たばこ…そう、JT杯。
 早指しは直感ですから。
 (長考中は)考えてるうちに楽しくなってくる。

郷田九段評
 スロースターター。
 後から力が出てくる棋士。
 性格的にも楽観派。
 順位戦、最終戦の対丸山戦で負けた。
 こんな将棋やってて名人戦大丈夫なの?と思った。
 やる気がないような負け方だった。
 (註・最終戦の前に挑戦が決まっていた)
 しかしその心配は杞憂だった。
 (わたしと)郷田九段との対局は10局中8局は矢倉。
 僕の将棋をよく並べていると言っていた。

対局態度・姿勢
 対局態度が変わらないのは森内、谷川。
 対局中動きが激しいのは羽生、加藤、佐藤康光。
 1位2位(の順)には異論があるみたいだけれども。(笑)
 谷川さんは前傾姿勢を避けているみたい。
 達人戦決勝の対局の後、
 「今日はちょっと前傾姿勢になったのが不本意でした」
 と言っていた。
 勝った上に余裕綽々で、そこまで言わなくてもいいじゃない。
 と内心むっとしました。(笑)
 でもそうなるほど大変な将棋でした、と気を使った発言かもしれない。

対局態度・マナー
 名人戦第1局、せんすのことがありましたね。
 立会人裁定で、森内考慮中は郷田は音を立てないことになった。
 公平で妥当な裁定だと思います。
 タイトル戦で30分の中断は事例がない。
 棋王戦のタイトル戦で、相手が理事会を通じて、空ゼキが出ないようにしてほしい、と注文をつけた。
 「はいわかりました」と言って、空ゼキをしないで3連勝で勝った。(一同拍手)
 (註・第2期棋王戦と思われる)
 今は(空ゼキを)ほとんどしていない。
 ファンはありがたいことに「して下さい」と言ってくれる。
 本当はした方が調子がよい。
 対局相手から直接言われたことはない。
 先輩、大山さん、升田さんだって言わなかった。
 内心はやめてほしいと思っていたかもしれない。
 NHKの場合、盤の下にマイクがある。
 視聴者には相当大きく聞こえる。
 それで空ゼキがうるさいと怒られたことがある。
 (NHKのカメラマンは「加藤先生は撮ってて面白い」と言っている、との客の発言に対し)
 優勝したときのパーティー、おめでたい場で、関係者の一人が「(加藤九段の)マナーが悪い」とスピーチしたら、(NHKの)関係者一同ブーイングですよ。

名人戦について
 森内名人は今回負けると棋王戦第5局、名人戦第1局に続いてタイトル戦3連敗となる。
 棋王戦第5局は立会人をしたが、将棋会館で行われた。
 わたしが名人をとったときの名人戦最終局も将棋会館で行われ、前日から将棋会館に泊まった。
 設備の問題で暑いはずだったが、その年は冷夏で暑くなかった。
 「加藤さんは太っているから夏が近づくと苦労するだろう。
  長期戦になるとわたしが有利だ」
 と中原さんが書いていたが、気候までは読めなかった。
 棋王戦は第5戦、王将戦は第7戦まで行くと、名人戦の直前まで来る。
 名人戦が大事だと言うのなら、3月1日までには終るようにすべきだ。
 棋王戦は1日制だが、王将戦は2日制で持ち時間が名人戦と同じ。
 地方に行くから最低4日かかる。
 中原さんは3月中旬まで王将戦で大山さんと戦って負けた。
 その後の名人戦でわたしが勝った。
 中原さんは不利な立場にあった。
 (直前のタイトル戦は)勝てばまだよいが、負けると特に不利になる。
 
今後の展望(終局後)
 矢倉の郷田だから矢倉で行く。
 3局目も、森内さんもなまじ振り飛車で行っても…だから相矢倉ではないか。
 (4局目)森内先手でも作戦勝ちするのは難しい。

タイトル戦の戦い方
 本にも書いていますが、宣伝になりますけど、「一二三の玉手箱」必読の書ですけれども、大きな勝負では、持ってる力10に対し11ぐらい出さないとタイトルとれない。
 タイトル戦で戦った人が、加藤さんの将棋はどんな将棋でも80点以上の将棋だ、と言っている。
 勝つときは110点以上出ます。
 わたしの将棋は好不調の波があまりない。


第65期名人戦第2局 ▲森内名人対△郷田九段

1▲7六歩
2△8四歩
3▲6八銀
4△3四歩
5▲6六歩 
 棋士の90〜95%は6六歩だが、わたしは7七銀。
 わたしが後手ならこう指す。
 △6ニ銀▲7八金△6四歩▲4八銀
 △6三銀▲5六歩△5四銀▲5八金
 △6ニ飛▲6七金右△3ニ金
 ▲5七銀右△4一玉▲6九玉
 右四間。後手ながら攻めることができる。
 大方の棋士は後手番を持って自信がないと思っている。
 だから自分ではしないが、後手がわたしのときは、7七銀とはずしてくる人が多い。

6△6ニ銀
7▲5六歩
8△5四歩
9▲4八銀
10△4ニ銀
11▲5八金右
12△3ニ金
13▲7八金
14△4一玉
15▲6九玉
16△5ニ金 
 後手がこの金を上がるかどうかが序盤のポイント。
 上がると穏やかになる。
 上がらずに△7四歩-6四歩-6三銀-5ニ飛
 あるいは △7四歩-5三銀右-5五歩もある。

17▲7七銀
18△3三銀
19▲7九角
20△3一角
21▲3六歩
22△4四歩
23▲6七金右
24△7四歩
 ここで▲2六歩と突く将棋もある。
 わたしならもっと前に突いている。
 2六歩と突かずに3七銀と上がる人が多い。
 先に突いていると後手は変化しづらい。
 いつでも2五歩と突ける。
 その場合後手は3三銀と上がる。
 角道が止まり急戦しづらい。

25▲6八角
 森下システムと言われるが元々は中原流。
 6八角に対しわたしは名人戦で雀差しで戦ったが千日手になった。
 (註・第40期名人戦第8局1982.7.13と思われる)
26△4三金右
27▲7九玉
28△7三銀
 8分しか考えていない。
 この形になったらこうと決めていたと思う。
 この形はわたしも後手番で7,8局指している。
 戦績は5勝3敗という感じ。

29▲8八玉
30△7五歩
31▲同歩
32△同角
33▲6五歩
  これは形です。プロは必ず突く。
 突かないと△6四角-7四銀-7三桂
 後手の作戦勝ち。

34△4ニ角
35▲4六角
36△9ニ飛
 ▲7四歩と打たれるのでよける。
 △7四歩なら95点の手。立派な手。
 一見手損だが先手の7六歩がないのも大きい。
 △6四歩▲同歩△同角と行く。
 しかし先手なら100点の手。
 一手の差が響く。
 (後手番なので9ニ飛がよい)

37▲5七銀
38△3一玉
39▲6六銀右
 盛り上がる。いい形。

40△2ニ玉
 お互い玉が固い。
 後手は7三銀が動き出そうとする。
 動くと先手は大変。
 動かさないようにする。

41▲7五歩
42△9四歩
43▲7六銀
44△9五歩
45▲1六歩
46△1四歩
 ほとんどこれに近い形は指している。
 1局は対畠山さんで明らかに作戦負けした。
 わたしが指したのは7,8局、知る限りでも20局ぐらい。
 あまり出ない。タイトル戦では2,3局。
 王将戦△羽生-▲佐藤で近い形があった。

47▲5八飛
 人によっては▲3七桂や▲2六歩から3七桂。
 これも1局。
 一番厳しい指し方。
 次は5五歩同歩同銀を狙っている。

48△4五歩 (封じ手)
49▲3七角
 ▲2八角もある。
 ▲6八角はない。
 右に引く。

50△4四銀
51▲8六歩
 ▲5五歩なら△同歩▲同銀△同銀
 ▲同角△4四銀▲3七角△5五歩
 先手がよくないということでしなかった。

52△6四歩
53▲同歩
54△同銀
55▲6五歩
56△7三銀
57▲5九飛
58△7四歩
59▲同歩
60△同銀
61▲6四歩
 ▲7五歩なら△6三銀で後手十分。
 先手は攻めがなく詰まらない。
 A級順位戦(註・1997.7.16)
 対井上戦(▲2八角型)は
 △7五歩▲同銀右△同銀▲同銀
 △4六歩▲同歩△4七歩
 と進んで勝った。
 郷田さんは僕の将棋をよく並べていると言っていたので知っているのでは?

62△4六歩
63▲同歩
 ▲同角なら△4五銀

64△6四角
 新手。僕はぬるいと思った。
 (註・井上戦で読んだときにそう思ったとのことのようだ)
63▲1五歩
66△同歩
67▲1三歩
 対局者ならではの苦心。
 解説者(の立場)ではなかなか思い浮かばない。

68△同香
69▲4五歩
70△5三銀
71▲5五歩
72△6五歩
 僕の研究では取って面白いのでは?
 ▲同銀左△同銀▲同銀△5五角
 ▲同角△同歩▲5四歩△4ニ銀
 ▲4四歩△同金▲5三銀となる。
 以下△6六歩▲7七金寄△6七銀▲6八歩
 △7八銀成▲同金

73▲5四歩
 驚きの一手。大変危険な手。

74△3七角成
75▲同桂
76△5四銀
 △6六歩は勝ちにくいと思ったのだろう。
 角成のときの大長考の結果、穏やかな手を指した。
 △6六歩▲5三歩成△6七歩成▲同銀
 △3三金寄▲2五桂
 次に▲4ニ銀が厳しい。
 ▲1四歩△同香▲4ニ銀もある。
 △6六歩は▲同銀なら△4八角だが手抜きもある。
 △6七歩成▲同金は詰めろがかからない形。

77▲4四歩
78△同金
 金が浮いたため△4八角▲4九飛のときに角が動くと金が取られてしまう。

79▲7七銀
80△7五歩
81▲8七銀
82△5六歩
 ぼんやりした手。プロでも当てにくい手。
 △4七歩なら▲7一角。
 △5五歩は受け一方でぬるい手。
 △4八角は▲4九飛。
 ここで夕食休憩になった。
 予想手順を検討。
@▲5三角△4三金引▲7一角成△7三桂
 ▲4四歩△4ニ金引▲8一馬△5ニ飛
 はっきりしない。
A▲5三角△4三金引▲6四角成
 △6三銀右▲4六馬 立派な手。
B▲7一角△4三金引▲4四歩
 △4ニ金引 これは指さない。

83▲5三角
84△4三歩
 若干、心もち森内良しか?
 玉が固い。手番を持っている。
 2五桂とはねられるのが大きい。
 森内さんに選択権がある。
 時間に余裕がある。
 どうリードを図るか。
 うまく指そうとするなら、
 @▲4九飛△3八角▲4四飛△同歩▲同角成 
 王手銀取りで2枚換えになる。
 第一感は、
 A▲4五歩△5五金▲5六金
 △同金▲同飛△5五歩 あり得る。

85▲4五歩
86△5五金
 次は▲5六金△4八角▲5五金
 △5九角成▲5四金△5八飛 は危険?
 ▲2五桂でしょう。以下、
@△1四香とは上がりにくいか。
A△4八角▲4九飛は後手まずい。
B△3七角▲4九飛 後が続かない。
C△6六歩▲同金または▲5六金

87▲2五桂
 やっぱりねえ、当たりましたよ。
 郷田さんはスロースターター。
 後から力が出てくる棋士。
 性格的にも楽観派。
 まだ戦えると思っているはず。
 棋風からすると
 △1四香-2四歩-2五歩と桂を取る。
 95点くらいの手。立派な手。
(ここで「次の一手」が出題された。正解者は1名だけ。後は抽選4名、計5名が大山名人のせんすをもらえた。わたしも抽選に当たり、加藤先生にせんすを手渡しで頂いた)

88△8五歩
 中途半端な手。
 1四香の方がよかったのでは。
 ▲同歩と取ることはない。
 利かされですから。

89▲6四角成
90△8六歩
91▲同銀右
92△6三銀右
 ▲5三馬なら
@△6四角▲1三桂成△同玉
 ▲2六馬△6六歩▲5六金
A△6四角▲2六馬△2四歩
 ▲1三桂成△同玉▲1五馬 相当イヤ。
B△1四香▲6四歩△5ニ銀
 ▲7一馬△7三桂▲8一馬  相当イヤ。
C△6六歩▲5六金
D△3七角▲4九飛△6六歩▲6八金引

93▲7五馬
 本当に▲7五馬の方がよいかどうか難しい。
 (名人は)この方が厚い、と思ってしている。
 ▲5三馬の方がよかったのでは?
 7五歩はあのままにしておいた方がよかったかも。

94△2四歩
 ここでの△1四香は間に合わない、という判断。
 ▲1三桂成△同玉▲6四歩なら
 @△5ニ銀▲5三歩△同銀▲6三歩成
 A△7二銀 後手つらい。
 B△7四歩▲8四馬△6四銀▲7四馬
  △6ニ飛▲4一馬△6六歩▲6八金引
  △8五歩▲7七銀△7五桂 一局。
 C△7四歩▲4八馬△6四銀▲1五馬
  △2ニ玉 がんばれる。
  よって後手は△7四歩か。

95▲1三桂成
96△同玉
97▲8四歩
 こういう手では普通は勝てない、という感覚をプロ棋士は持っている。
@△7四歩は▲5三馬。だめ。
A△6六歩 ちょっとはっきりしない。だめ。
B△9三飛 浮かんでも指せない手。
C△6六桂 単なる嫌がらせ。
D△8ニ歩 ない。
E△8ニ飛 60点くらいの手。
C△7ニ飛 NHK杯、30秒将棋なら(直感で)こう指す。以下
 イ▲8三歩成△7五飛▲同銀△4八角
  ▲7一飛△2ニ玉▲4九飛△5三角
  ▲8一飛成△7五角成▲1四桂△3三玉
  ▲2一竜△8六歩▲7六銀△8七銀
  先手がいいか。
  ▲7一飛のところ▲8ニ飛は△2ニ玉で大したことない。
 ロ▲5三馬△6六歩 先手相当イヤ。
 ハ▲7四歩△同銀▲5三馬△8五歩
  ▲7七銀△7五桂
 ニ▲7六歩△8五歩のとき
  ▲同馬は△7四銀で馬が死ぬ。
  ▲同銀は△9三桂。
  よって▲7七銀。

98△7ニ飛
 この局面はわたしだったら郷田もち。
 ▲7三歩△同歩▲7四歩△同銀
 ▲6四馬△8五歩▲7七銀△7五桂
 ▲7三馬△同桂▲7ニ飛△2ニ玉
 多分指さない。連打は歩切れになる。

99▲7四歩
 残り 森内56分 郷田58分
100△同銀
 ▲6四馬なら
@△8五歩▲7七銀 難しい。
A△6三銀右▲9一馬△8五歩▲7七銀
 森内さんつらい。以下
 △7五桂▲8一馬△8七桂成
 ▲同金△7四飛

101▲5三馬
 以下△8五歩▲7七銀△7五桂
 に▲5六金でしょうか。先手受けはない。

102△3七角
 ▲5六金という強手をかわしている。
 1五の地点も守っている。
 ただ角を手放したので森内さんは安心する。
 いいか悪いか微妙な手。

103▲4九飛
@△6六歩は権利。▲6八金引の一手。
 イ△8五歩も権利。▲7七銀の一手。
  芸がない。
  この場合は6六歩を突かない方がよい。
 ロ△6五桂▲4四歩△5七歩成▲4三歩成
  森内手勝ち。
A△8五歩▲7七銀△7五桂は
 @△6六歩よりつまらないか。
B△4一桂▲6四馬 後手つまらないか。

104△6六歩
105▲6八金引
106△8五歩
107▲7七銀引
108△7五桂
 誰でも指せる手。物足りない。しゃきっとしない。
 ▲4四歩△8七桂成▲同金△4四歩
 ▲同飛△4三銀打 以下
@▲同飛成△同銀(△同金なら▲3一馬)
 ▲1四歩△2三玉▲4四歩△5ニ銀
 ▲同馬△同飛▲4一銀△5七歩成 
 先手負け。
A▲同飛成△同銀▲4四歩△5ニ銀
 ▲6四桂△5三銀に
 イ▲7ニ桂成△5七歩成▲同金△4八角成 
 ロ▲4三歩成△5七歩成▲同金
  △4八角成▲7ニ桂成△5七馬
  これが詰めよ。詰め手順は
  △7八飛▲同玉△6七歩成▲8八玉
  △7九馬▲9八玉△8九馬▲同玉
  △7八金▲9八玉△8九角まで。
 B▲4七飛
 C▲1四歩△2三玉▲4七飛
  △5九角成▲4四歩△5ニ銀
  ▲6四桂△5三銀▲7ニ桂成
  猛烈な攻め合い。難解な将棋。
(次の手▲7六銀はないか、との客の意見に)
 受けはない。受けてもどんどん攻められる。
 受ける間に駒が入って攻められるようになるならば受けることも考えるが、この場合はそうならない。
 ▲4四歩以外考えられない。

109▲4四歩
 △7三飛は▲4三歩成△同銀
 ▲同飛成△同金▲3一馬で後手悪い。
 △8七桂成▲同金に
@△4四歩▲同飛(▲同馬は△4八歩)
 △4三銀打▲同飛成△同銀
A△6七歩成 以下
 イ▲同金なら△5八銀▲4三歩成△同銀
  ▲同飛成△同金▲同馬△6七銀成は必至で後手勝ち。
 ロ▲4三歩成 は難解。

110△5七歩成
111▲同金
112△8七桂成
113▲同金
114△4八銀
 ▲4三歩成は△同銀。
 ▲2九桂△4九銀不成▲3七桂には
 △5六歩もあるが第一感△3八飛。以下
@▲6八歩△3七飛成▲4三歩成△同銀
 ▲6一角△5七竜▲7ニ角成△7五桂
 ▲1一飛△2ニ玉▲1五香△8七桂成
 ▲同玉△8六金▲7八玉△6七金
 ▲7九玉△7八歩▲8八玉△7七金寄 以下詰み。
A▲7八歩△3七飛成▲4三歩成△同銀
 ▲4四歩△5ニ銀▲同馬△同飛
 ▲4一角△5七竜▲5ニ角成△5六角
 ▲4一馬△7八角成▲同玉△6七歩成
 ▲8八玉△7七と▲同桂△6八竜
 ▲7八歩△7九銀▲8九玉△8八金
 ▲同金△同銀成▲同玉△7六桂
 ▲8七玉△8八金▲7六玉△6六竜 まで詰み。
B▲6八歩△3七飛成▲4三歩成△同銀
 ▲4一角△5七竜▲4三馬△同金
 ▲2三銀 は詰めよだが△2五歩で逃げられる。
 郷田勝勢。

115▲2九桂
116△4九銀不成
117▲3七桂
118△3八飛
119▲7八歩
120△3七飛成
 ▲4七香なら
@△6七歩成▲4三歩成△同銀
 ▲同香成△5七竜▲3ニ成香
 △同飛▲1四歩△2三玉▲4三銀 
 後手玉は必至なので先手玉を詰まさなければならないが、詰まない。
A△7五桂
B△4四歩▲6一角△7三飛▲6四馬

121▲4三歩成
122△同銀
123▲1五香
124△1四歩
125▲同香
126△同玉
127▲1五歩
128△1三玉
 △2三玉なら▲1四角
129▲4四歩
 @△5ニ銀▲3一角で
  イ△2ニ香▲4ニ馬△同金▲同角成
   △7五桂▲4三歩成△8七桂成 先手玉詰まない。×
  ロ△2三玉▲4ニ馬△5七竜 先手、攻め手がない。
 A△5四銀▲6一角△7三飛▲4三歩成
  △同銀▲同角成△同金▲3一馬△2三玉
 なかなか後手玉寄らない。

130△5ニ銀
131▲同馬
132△同飛
133▲4三角
134△7五桂 まで郷田勝ち


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