1887.8.15, 11.19 コナー 対 キャノン


 NATIONAL LIBRARY OF NEW ZEALAND(ニュージーランド国立図書館)のPAPERSPAST(過去の新聞)というウェブ・サイト
http://paperspast.natlib.govt.nz/cgi-bin/paperspast?a=p&p=home&e=-------10--1----0-all
(ちなみに表記を英語とマオリ語とで切り替えられます)で見つけた、古い新聞の記事をご紹介します。


The Fnanahna times, PUBLISHED TRI-WEEKLY. FRIDAY, SEPTEMBER 2. 1887.
  Inangahua Times, 2 September 1887
http://paperspast.natlib.govt.nz/cgi-bin/paperspast?a=d&d=IT18870902.2.3&e=-------10--1----0-all
(下から二番目の段落の記事です)


 A wrestling match took place in Melbourne on the 15th inst. between Connor and Cannon for £200 and the Graeco-Roman championship. This is the third time the men have met, each have won one. Cannon gained the first fall in 1min 5sec, Connor gained the second fall in 6min. and the third in 4min 30, thus winning the match. Cannon who was defeated, was the wrestler who recently beat Dunn by putting the “ strangling ” hold on him.

 コナーとキャノンの間で200ポンドとグレコ・ローマン王座を賭けたレスリング試合がメルボルンにおいて今月15日に行われた。これが三度目の対戦で、両者は一勝ずつ取り合っている。キャノンは1分5秒で一本目を取った。コナーは6分で二本目を、4分30秒で三本目を取り、かくして試合に勝利した。敗れたキャノンは、最近ダンに「絞め」技を掛けて勝ったレスラーであった。



 9月2日(金曜日)付の新聞に「今月15日」の試合の結果が報じられています。この新聞は月、水、金の週三回発行されており、前号(8月31日水曜日)に載るはずだった記事がスライドしたと思われます。
 コナーは1905年にリバプールで三宅太郎と闘ったトム・コナーTom Connorでしょうか。そうだとすれば、この試合は英国人同士の闘いだったと思われます。
 (三宅コナー戦についてはこちらのページ「1905-1906 褐色の悪魔 三宅太郎」に少し書いています。)

 ダン戦の印象がよほど強かったようで、キャノンはことあるごとに「あの絞め技の」と言われているようです。



NOTES AND NOTIONS.  Te Aroha News, 10 December 1887
http://paperspast.natlib.govt.nz/cgi-bin/paperspast?a=d&d=TAN18871210.2.52&e=-------10--1----0-all
(下から二番目の段落の記事です)


 On Saturday, the 19th November, the great attraction in Foley’s Athletic Hall was the Graeco-Roman wrestling match for the championship, between Connor and Cannon. The prize was a cup valued at £100, presented by Mr. L. Foley, and £100 in money. The contest was the best ever witnessed in Sydney, and resulted in a win for Connor, by two out of three falls. Cannon was by far the heavier man, but did not display the activity shown by Connor, who gained the first fall in 17min. The second fall went to Cannon, who got the strangling hold on, in getting away from which Connor considerably distressed himself. In the third bout some wonderfully good play was shown. This ended in favour of Connor, who thus gained the match.

 11月19日、土曜日の、フォーレイ体育館の最大の呼び物は、コナーとキャノンとの間の、グレコ・ローマン・レスリング王座戦であった。賞品はL・フォーレイ氏寄贈の、100ポンドの価値のあるカップと、現金100ポンドであった。競技は今までシドニーで観戦された内で最高のもので、結果はコナーが、三本勝負で二本を取って勝利した。キャノンがはるかに体重があったが、コナーが見せた活発さを示すことがなく、コナーが17分で一本目を取った。二本目が与えられたのはキャノンで、絞め技を掛けられたコナーは、そこから逃れるのに随分と苦悩した。三本目ではすばらしくうまい試合振りが見られた。これはコナーを利して終わり、彼がかくして試合に勝利を得た。



 二本目にキャノンのストラングル・ホールドが出ましたが、幸い与えたダメージは大きくなかったようで、コナーが三本目を取って勝利しました。ダン戦での冷酷な闘い振りに、オセアニアの人達がキャノンを憎んでいたとすれば、キャノンが絞め技を出しながら敗れたことが、この試合の高評価につながった…と考えるのはうがち過ぎでしょうか。


追記2010.11.18
 1887年、豪州でトム・キャノンと闘った「コナー」は、トム・コナーではなく、ジョン・コナーという選手で、元ニューカッスルの炭坑夫、とのことです。


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