自粛要請の時期の問題について カテゴリ:東北思惟記
外出自粛のゴールデンウィークに入っています。
どうぞ、皆様くれぐれもお気をつけください。
建築設計に携わり、また市民活動を通じて多くの分野の活動団体のみなさんとの交流を通して得られた経験によって把握できる範疇において、この困難な時期に、すでに起きている問題、これから予想される問題など、提案を含めて綴ってみたいと思います。
さて、皆さんが自粛される場所は現在、病院や介護施設などにおられる方以外は多くはご自宅になると思います。住まう場所が今は不定の方もおられることでしょう。
住宅・住まいといっても、人数、構成、住宅の大きさや周囲の環境などはもちろん様々ですから自粛時のすごし方も抱えるストレスの内容、度合いも当然、違ってきます。
建築設計の知識と経験から尚更に多種多様な様子が想像されます。
また、住宅の形態や条件も様々ですから、例えば、戸建てで庭付きの十分な広さのある住まいもあれば、テラスやベランダが有ったり、無かったりの低層や高層の集合住宅やアパートだったり、十分な居住空間が確保できない広さの住宅も多くあるでしょう。
このように、住宅そのものがストレスを増幅させる要因となることもあります。
さらに、住まいされる人、ご家族の構成も、お子さんが居られるすまい、三世代でお暮しのすまい、また、お一人住まい、お年寄りの方のみのすまい、また障がいのある方と一緒に暮らされている住まい、などなど千差万別です。
ですから一応に自粛しなければならない状況下で、ストレスを感じる度合も相当な違いが生まれ、長引けばその負担もより大きくなることが想像されます。
特に、自粛ムードの影響で世界的にも増えつつあるDV問題があります。これからの状況によっては、これまで問題のなかったはずのご家庭であってもストレスによって近いようなことが起こらないとも限りません
障がいやご病気のあるご家族の居られるすまいや、介護施設を利用できなくなった方のおられるすまい、また、幼いお子さん、また遊び盛りの児童の居られるご家族、さらにはDVにより自宅以外に避難されている方々、DVが進行して被害にあっているご本人、住む場所を失ってしまっている方々、この時期の影響によって失業や経済的な困窮に直面している多くのご家族、一人暮らしをされている高齢者など、自粛が長くなるにつれストレスによって状況が悪化してしまう方々も増えてくるのではないかと思います。
こうした状況下にある方々について、対策や、施策について政府・行政から具体的に示されないまま、自粛においこまれているように見受けられます。
経済的な対策に関して、国、地方行政、他の施策などは遅れながらも多くの情報が、またコロナ感染に係る医療的状況について多くの情報が重複してメディアから流れています。 しかし前述した状況下にある方々ついての細かな情報や具体的な対処方法については情報が少なく、断片的な場面・コメントが時折聞かれる程度です。
さらに、これまではそれぞれの担当省庁・地方の行政担当各部署、が主に縦割りで対処にあたっていたことが、前例のない今度のような場合はそれぞれの分野が同時にそれぞれの対処を迫られる状態にあります。
高齢者介護については、ケアサポートセンター・各種老健施設、デイケアセンターなど、子育てについては、保育園・幼稚園・認定こども園、 児童、学生については、各教育委員会、及び学校など教育機関、さらに児童相談所・警察署・社会福祉協議会 などなど、それぞれ所管が、厚労省、国土交通省、文科省、および総務省、他の担当大臣、等らの縦割りによって異なり、各地方行政担当部・課も違っています。
これらの中には、互いに連携しなければ、速やかに対応ができない状況も起きており、今後増してくることが予想されます。
家庭内だけでは対処できない状態となった時や、家庭内のストレスを軽減するための具体策が必要になったとき、高齢者や、幼児、児童、同様に施設を利用できなくなった場合の障がいを持つ方など、その方たちを保護する方法として・・・・
例えば、現在休館中の公民館、集会施設などを一時開館したり、民間宿泊施設等の借り受けを行ったり。 その際に必要となる 介護・育児・擁護支援、などにあたる人材の確保とその運営体制、及び医療機関・保健所・などとの連携など。
また、子供さんを一時的にストレスから解放する場所として学校や公民館・公共スポーツ施設・民間体育施設の提供などを行うなどが想定されます。こうした施策をスムーズに実施に移すには縦割りではなく、横型の連携が必要です。
こうした施策を迅速に行うためには、事前に、たとえ事後であっても一早く各分野の実状を把握して集約し、関係各所と共有することが重要です。
行政の各部署、公共機関・施設、また民間事業者との連携などを効率よく進める為の鍵です。
具体的な多種の分野の情報を収集方法の一つとして、山形市においては、市民・民間主体の各分野のNPO・任意団体が登録している・市民活動支援センター(指定管理)があります。ここには、保健・医療・福祉・子供の健全育成・男女共同参画・社会教育・災害支援・人権擁護・経済の活性・まちづくり、の他広い分野にまたがり活動している300以上の民間団体が登録されています。 ここを所管しているのは、山形市の企画調整課になっています。
(この登録団体のなかの60数団体が自主的に構成している山形市民活動支援センター連絡協議会があります。多種の活動分野の団体が参加しています。私も関わっている組織で毎年、連絡協議会が主催する市民活動まつりなどを通して、バリアフリーな連携も行われています。)
支援センターに登録されている団体には先に示した分野関係で活動している団体も多く存在しています。
支援センターでは、現在起きている実際の状況や抱えている問題、起こりうる問題などを各分野の団体から聞き取って、情報を集めれば、おおよその現状・問題点の把握が可能です。
所管する企画調整課では、こうしたいろいろな市民活動分野から情報を集約して得ることが可能で、この情報を市役所内で共有したり、各担当部所を通して機関・施設などに・事実確認・具体的な支援・協力要請を早めたり、市役所以外に連携が必要となる機関へも同時に情報を伝達し、問題を抱える現場に応じた連携をはかり、効率のよい支援や対応を実施に移すことができるのではないかと考えます。
的確な情報を迅速に把握し関連部署に共有されていることは、早急な対処を図る際に、連携が求められる場合においては更に重要なことは言うまでもありません。
この手法は山形市にあってはすぐにアプローチは可能だと思います。
他の地域であっても類似の組織あるいは団体が活動を展開しています。
また、こうした社会貢献の意識を持って自主的な活動をおこなっている民間業界団体や、ネットワークの整った団体も多くあります。今後増々、行政と民間の団体との協力や連携を図ることが必要になると考えます。
今後こうしたネットワークの構築や連携の・ある・無し・によって地域の施策対応に格差が現れてくることになると思われます。
これらは、コロナ対策の時期以降も地域に、身近なところにこそ必要になると感じています。
文責: 吉田設計+アトリエ・アジュール 吉田直行
(尚、当事務所では、市民活動団体の一委員として、
市民活動支援センターと企画調整課に同様の提言を行いました。)
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