☆☆☆数学の基礎概念☆☆☆
「数の世界」の独り言

-「数の世界」の独り言-

 1つ、2つ、3つ、・・、モノを区別して数える。数の世界は自然数から始まった。 1つと1つで2つ、1つと2つで3つ、・・、足し算(加算)の概念が生まれた。 3つから1つ取ると2つ、4つから1つ取ると3つ、・・、引き算(減算)が考えられた。 2つが2つあると4つ、2つが3つあると6つ、・・、掛け算(乗算)を思いついた。 4つを2つに分けると2つずつ、6つを2つに分けると3つずつ、・・、割り算(除算)も思いついた。 四則演算の基礎ができ、加減乗除が明確に定義された。数の割合(分配)を示す分数も考えられた。

 0(ゼロ)の概念が生まれた。0と1の間には数が存在するのか? そんな疑問も生まれた。 小数と呼ばれる数の存在を見出した。0(ゼロ)より小さい数の存在、負の数の概念が考えられた。 偶数と奇数の区別、素数の存在にも気が付き、素数探しが始まった。 数の世界の不思議さ、多くの疑問、数に挑戦する人々が次々に現れ、その疑問を解くことに挑戦した。

 図形と数の関係にも気が付いた。特に、円や三角形に潜む数の魅力に引き寄せられる人もいた。 円の周囲の長さは半径の何倍になるのか、必死に考えたようだ。ここには無理数となる円周率が存在した。 平方(二乗)して2になる数や3になる数および5になる数も無理数である。数の世界の有理数に無理数が加わった。 面積を求める方法も必要になった。直角三角形は、距離を測定する上で、必要不可欠の知識であった。 ピタゴラスの定理(三平方の定理)が有名、直角三角形に適用されるピタゴラス数と呼ばれる数が存在する。

 ギリシャ時代のピタゴラス学派の人々は、この世のすべてを数で表現できると考えた。 万物は数で構成される。点は1、線は2、面は3、立体は4、この4つの数の和10は神聖で全能な数、 ピタゴラスの宇宙論を提唱した。数は宇宙の形相であり素材、万物の根源を数に求めた。 また、自分以外の約数を全て足すと自分自身になる自然数は完全数と名付けた。「6」「28」「496」などである。 1は理性、2は女性、3は男性、4は正義または真理、5は結婚(2と3の和)、6は性愛・恋愛・霊魂(2と3の積)、7は幸福、8は本質など、 この世の出来事を数と対応付けた。 婚約数(1と自分自身を除く約数の和が互いに他方と等しくなる異なる2つの自然数、48と75、140と195など)、 友愛数(自分自身を除く約数の和が互いに他方と等しくなる自然数、220と284、1,184と1,210など)、社交数(異なる3つ以上の友愛数からなる自然数)などもある。 ピタゴラスの音階は、1 対2、2対3、3対4の長さの比に張った弦に応じて、 8度(オクターブ)、5度、4度、のハーモニー(調和)が得られるという事実を発見した。

 数や概念を文字や記号に置き換えて表現する方法も考え出された。 さらに、数字や記号によって、数学的な意味を持ち、予め定められた規則に従って、構成された数式の概念が生まれた。 特に、恒等式と方程式、二次方程式など、高次代数方程式解法が研究課題になった。 その未知数を求める過程で、虚数(平方して-1になる数)の存在に気が付いた。数の範囲が複素数にまで拡大した。

 円と三角形の関係から、三角関数が考えられた。「sin」「cos」「tan」の図式化とその関係式である。 放物線や楕円の数式化、双曲線の概念も明確になった。 指数(数aのn乗[an]で表示されるnのこと)や対数(1でない正数aと正数Nとの間にN=abの関係がある時bのこと)も考え出された。

 この世の物理的な現象と対応付けられる微分や積分の概念が生まれた。無限小の世界に到達する解析概念の発見であった。 それは、微分方程式や積分方程式と結び付き、多くの物理現象を数式化するベースになった。 直交座標系と極座標系および円柱座標系との関係、次元の概念も生まれた。時空の神秘と不思議さにも多くの人が興味を持った。 数値に向きを持つベクトル、連立方程式と関係付けられたマトリックス(行列)の定式化も進められた。

 等比級数や等差級数など、面積を求める方法から、関数を級数で表示する方法が考えられた。 幾何級数の考え方は、ギリシャ時代に開発されていたが、テイラー級数やフーリエ級数は、18世紀から19世紀頃に研究された。

 なお、関数には初等関数と特殊関数がある。初等関数は、代数関数、指数関数、対数関数、三角関数、逆三角関数、双曲線関数やその逆関数など、 実数または複素数の1変数関数をいう。これらの合成関数を有限回繰り返して得られる関数も初等関数である。 一方、ガンマ関数、楕円関数、ベッセル関数、誤差関数、ゼータ関数、楕円体関数(マシュー関数・他)、ルジャンドル関数、超幾何関数などは初等関数ではない。 これらは特殊関数と呼ばれるが、何が特殊関数なのか、特別な定義はない。

 例えば、ガンマ関数は、自然数nに対して定義される階乗n!を、自然数ではないnの場合にも拡張しようとした。



以上  

(2017年5月14日)


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