☆☆☆数学の基礎概念☆☆☆
式と式の計算

−式と式の計算(算術・算法)−


算術・算法は、数の概念や数の演算、その性質や計算規則あるいは計算法など、その論理的な手続きを明らかにする学問分野である。

恒等式と方程式
 等式は等号(=)を含む数式のこと、恒等式とは、そこに現れる変数がどのような値であっても、等号で結ばれた左右の2つの数式の値が常に等しいものをいう。

 方程式とは、等号(=)を含む数式において、ある値の時に成り立つ等式のこと。典型的な方程式は未知数と呼ばれる項を含んだ等式のことである。 一般には、さまざまな対象の間に成り立つ数学的な関係について、記号を用いて等式などの式によって表したもののことをいう。

文字式を記述する時のルール
@ 一般に、掛け算の記号「×」は省略する。 例:a×b → ab または a・b
A 数と文字の積(掛け算)は、数を先に書く。 例:a×2×b → 2ab
B 記号π(パイ)が含まれる場合、数→π→文字の順に書く。例:a×π×4 → 4πa
C 同じ文字を2回以上掛ける時、指数を使う。 例:a×a×a → a3
D 掛ける数・掛けられる数の1は省略する。 例:a×1 → a , (−1)×b → −b
E 1つの項の中で、文字はアルファベット順に書く。例:c×a×b→abc
F 除法(割り算)は「÷」でなく、分数を使う。但し、帯分数は用いない。例:a÷b→a/b
  注1)真分数(分子が分母より小さい分数)
  注2)仮分数(分子が分母と同じor分子が分母より大きい分数)
  注3)帯分数(整数部分と分数部分の和からなる分数)

等式の性質
@ 等式の両方の辺(両辺)に同じ数を加えても、等式は成り立つ。
A 等式の両辺から同じ数を引いても、等式は成り立つ。
B 等式の両辺に同じ数を掛けても、等式は成り立つ。
C 等式の両辺を同じ数で割っても、等式は成り立つ(割る数が0の場合を除く)。

不等式:不等式は不等号を含んだ数式のこと、量や大きさ、序列、値などを評価する。
・数の大小関係
@ a−b>0 ならば a>b
A a−b=0 ならば a=b
B a−b<0 ならば a<b

・不等式の基本性質
@ a>b ならば a+c>b+c, a−c>b−c
A a>b,c>0 ならば ac>bc, a/c>b/c
B a>b,c<0 ならば ac<bc, a/c<b/c
C 任意の実数aに対してa2≧0 特に、a2=0 ⇔ a=0

実数の四則演算
四則演算とは、算術における加算(+)、減算(−)、乗算(×)、除算(÷)のことである。
四則演算を特徴付ける性質には、交換法則、結合法則、分配法則などがある。
@ 交換法則 a+b=b+a, ab=ba
A 結合法則 (a+b)+c=a+(b+c), (ab)c=a(bc)
B 分配法則 (a+b)c=ac+bc, a(b+c)=ab+ac

 加法と減法
@
a+b=b+a
(+a)+(+b)=a+b
(−a)+(+b)=−a+b=b−a
(+a)+(−b)=a−b=−b+a
a+(b+c)=(a+b)+c
a+(b−c)=(a+b)−c

A
a−b=−(b−a)
(+a)−(+b)=a−b
(+a)−(−b)=a+b
(−a)−(+b)=−a−b=−(a+b)
(−a)−(−b)=−a+b=b−a
a−(b+c)=a−b−c
a−(b−c)=a−b+c

B
||a|−|b||≦|a+b|≦|a|+|b|
||a|−|b||≦|a−b|≦|a|+|b|

 乗法と除法
@
a・b=b・a
(+a)・(+b)=a・b
(+a)・(−b)=−a・b
(−a)・(+b)=−a・b
(−a)・(−b)=+a・b

A
(a+b)・c=a・c+b・c
(a−b)・c=a・c−b・c
(a+b)(c+d)=ac+bc+ad+bd
(a+b)(c−d)=ac+bc−ad−bd
(a−b)(c+d)=ac−bc+ad−bd
(a−b)(c−d)=ac−bc−ad+bd

B
(a+b)(a+b)=(a+b)2=a2+2ab+b2
(a−b)(a−b)=(a−b)2=a2−2ab+b2
(a+b)(a−b)=a2−b2

C
|a・b|=|a|・|b|

D
(a+b)/c=a/c+b/c
(a−b)/c=a/c−b/c
(+ab)/(+a)=+b
(+ab)/(−a)=−b
(−ab)/(+a)=−b
(−ab)/(−a)=+b

E
|a|/|b|=|a/b|

複素数の四則演算
複素数の四則演算:a.b.c.dを実数、z,v,wを複素数とする。
@ (a+bj)+(c+dj)=(a+c)+(b+d)j
A (a+bj)−(c+dj)=(a−c)+(b−d)j
B (a+bj)(c+dj)=(ac−bd)+(ad+bc)j
C (a+bj)/(c+dj)
      =(ac+bd)/(c2+d2)+{(bc−ad)/(c2+d2)}j
D 和の交換法則 z+w=w+z
E 積の交換法則 zw=wz
F 分配法則   z(v+w)=zv+zw

整式(単項式と多項式)
整式:幾つかの数や文字の積で表される式は単項式、文字以外の部分を係数と呼び、掛け合わせた文字の個数を次数という。
幾つかの単項式の和で表される式は多項式、それぞれの単項式は多項式の項という。単項式と多項式を合わせて整式という。
各項の次数で最大のものはその整式の次数であり、文字を含まない項は定数項、多項式の中で文字の部分が同じ項は同類項と呼び、同類項は1つの項にまとめることができる。

整式の乗法:単項式の乗法は、次の指数法則が用いられる。
@ amn=a(m+n)
A (amn=amn
B (ab)n=ann

整式の展開:整式の積を1つの整式で表すことを展開するという。
@ m(a+b)=ma+mb
A (a+b)2=a2+2ab+b2, (a−b)2=a2−2ab+b2
B (a+b)(a−b)=a2−b2
C (x+a)(x+b)=x2+(a+b)x+ab, 
 (ax+b)(cx+d)=acx2+(ad+bc)x+bd
D (a+b)3=a3+3a2b+3ab2+b3
  (a−b)3=a3−3a2b+3ab2−b3
E (a+b)(a2−ab+b2)=a3+b3, 
(a−b)(a2+ab+b2)=a3−b3

整式の除法:単項式の除法は、次の指数法則が用いられる。
@ (a/b)=a/b
            a(m−n)   (m>nの時)
A a÷a=a/a=  1       (m=nの時)
            1/a(m−n) (m<nの時)

因数分解:整式を2つ以上の定数でない整式の式で表すことを因数分解するという。
@ ma+mb=m(a+b)
A a2+2ab+b2=(a+b)2, 
2−2ab+b2=(a−b)2
B a2−b2=(a+b)(a−b)
C x2+(a+b)x+ab=(x+a)(x+b), 
acx2+(ad+bc)x+bd=(ax+b)(cx+d)
D a3+3a2b+3ab2+b3=(a+b)3, 
3−3a2b+3ab2−b3=(a−b)3
E a3+b3=(a+b)(a2−ab+b2), 
3−b3=(a−b)(a2+ab+b2

整式の最大公約数と最少公倍数:整式Aが整式Bで割り切れる時、BをAの約数、AをBの倍数という。
2つ以上の整式に共通な約数をそれらの整式の公約数と呼び、その内で次数の最大なものを最大公約数という。
また、2つ以上の整式に共通な倍数をそれらの整式の公倍数と呼び、その内で次数の最小なものを最小公倍数という。

分数式と比例式
分数式 AとBが整式の時、A/B(B≠0)の形で表される式を分数式または有理式という。この時、Aをその分子、Bをその分母という。

分数式の加法と減法
@ A/C+B/C=(A+B)/C
A A/C−B/C=(A−B)/C

分数式の乗法と除法
@ A/B×C/D=AC/BD
A A/B÷C/D=A/B×D/C=AD/BC

比例式 0でないa,b,c,dがa/b=c/dを満たす時、
          a:b=c:d
と記述でき、これを比例式と呼ぶ。この時、a.dをその外項、b,cをその内項という。

比例式a:b=c:dは方程式の1つ。もし、ad=bcであれば、
@ a:c=b:d
d:b=c:a
b:a=d:c
A am:bm=c:d
am:b=cm:d
(a:m):(b:m)=c:d
(a:m):b=(c:m):d
B a:(a+b)=c:(c+d)
b:(a+b)=d:(c+d)
a:(a−b)=c:(c−d)
b:(a−b)=d:(c−d)
C (ma+nb):(mc+nd)=(pa+qb):(pc+qd)

比例の特別な場合、
 連比例   a:b=b:c
 調和比例  (a−b):(c−d)=a:d
 連調和比例 (a−b):(b−d)=a:d

比例と分数の関係
 比例a:bは分数a/bと書くこともできる。とすれば、
(a+b):c=(a+b)/c
       a/b=(am)/(bm)

       a/b+c/d=(ad+bc)/(bd)
       a/b+c/d−e/f=(adf+bcf−bde)/(bdf)
(a/b)・c=(a・c)/b
       (a/b)・(c/d)=(a・c)/(b・d)
(a/b)/c=a/(b・c)
       (a/b)/(c/d)=(a・d)/(b・c)

連立方程式
連立方程式とは、同時に成立する複数本の方程式の組のことをいう。
一般に、中等教育では、連立一次方程式のことを指す。
2つの文字(xとy)を含み、2つの式からなる方程式は、2元連立方程式と呼ぶ。
連立方程式の解き方には代入法と加減法がある。

@代入法
 片方の式をxまたはyについて解き、残りの式に代入する。
(例)
 x+y=3 ・・・(1)
 2x+5y=9 ・・・(2)
 (1) 式をxについて解き、(2)式に代入して計算する。
 x=-y+3
 2(-y+3)+5y=9 , -2y+6+5y=9
 3y=9-6 ,3y=3 , y=1
 x+1=3 , x=2
答え x=2,  y=1


A加減法
 2つの式のxまたはyの係数を揃え(両辺に同じ数を掛け)、2つの式を足すもしくは引くことで、xまたはyの項を消去する。
(例)
 3x+2y=8 ・・・(1)
 2x+5y=9 ・・・(2)
 (1)式×2 , 6x+4y = 16
 (2)式×3 , 6x+15y = 27
 (1)式−(2)式 , −11y = −11 , y = 1
   3x +2×1 = 8 , 3x = 6  , x = 2
答え x=2,  y=1






以上  

(2013年3月24日)


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