☆☆☆数学の基礎概念☆☆☆
オイラーの公式

−オイラーの公式−


1.複素平面
 複素数は、実数部と虚数部からなる。虚数単位はi=√(−1)、そのべき指数を考えると、
2=−1, i3=−i, i4=1,・・・
となる。つまり、虚数単位は、自分自身を四回掛けると実数単位のに戻り、i⇒−1⇒−i⇒1⇒i⇒・・・を循環する。

 そこで、複素数の実数部と虚数部を、横軸に実数の実軸、縦軸に虚数の虚軸に取ると、実軸と虚軸で定義される座標平面が得られる。これは複素平面あるいはガウス平面と呼ばれる。

 実軸をx,虚軸をyで表示すれば、複素数Zは、
Z=x+iy
となる。これは、平面直交座標系(x,y)と極座標系(r,θ)が、
x=rcosθ, y=rsinθ
なる関係にある。したがって、複素数Zは、
Z=r(cosθ+isinθ)
で表示することができる。これが複素平面の極座標形式である。



2.オイラーの公式
 複素平面の極座標形式において、複素数Zの三角関数を級数展開すと、
cosθ=1−

2!
θ2

4!
θ4+・・・
sinθ=θ−

3!
θ3

5!
θ5+・・・
cosθ+isinθ=1+iθ−

2!
θ2

3!
iθ3

4!
θ4

5!
iθ5+・・・
となる。ここで、虚数単位の取り扱いに注意して変形し、総和の記号で表示すると、
1+iθ+

2!
(iθ)2

3!
(iθ)3

4!
(iθ)4

5!
(iθ)5+・・・
Σ
n=0

n!
(iθ)n
これは、指数関数を級数展開した定義式、
x
Σ
n=0

n!
n
1+x+

2!
2

3!
3

4!
4

5!
5+・・・
において、形式的にx⇒iθに置き換えたものと同じになる。よって、
=cosθ+isinθ
を得る。これはオイラーの公式と呼ばれる。ここで、このオイラーの公式に、θ=πを代入すると、
=cosπ+isinπ=−1
となる。これは、自然対数の底ネイピア数(e = 2.71828 18284 59045 23536 02874 71352 …)と円周率(π = 3.14159 26535 89793 23846 26433 83279 50288 …)と虚数単位(i=√(−1))を結びつける見事な関係式である。


オイラーの公式の導出(展開を用いない場合)
 関数A(x)が次式で与えられているとする。
(x)=cosθ+isinθ
この時、関数A(x)が指数関数であれば、指数法則から、
(x)(y)=A(x+y)
が成立する。ここで、A(x)の導関数を求めると、
dA

dx
d

dx
(cosx+isinx)=−sinx+icosx=i(cosx+isinx)
となり、次の微分方程式を得る。
dA

dx
=iA
この方程式を解くと、
(x)=Keix, (Kは定数)
ここで、
(0)=cos0+isin0=1
であるから、K=1となり、次のオイラーの公式を得る。
=cosθ+isinθ


三角関数と指数関数の関係式
 オイラーの公式は、
=cosθ+isinθ
 これを、θ=−θで置き換えると、
-iθ=cos(−θ)+isin(−θ)=cosθ−isinθ
となる。この正と負の指数を持つオイラーの公式について、辺々加えて、整理すると
   e=cosθ+isinθ
+) e-iθ=cosθ−isinθ

   e+e-iθ=2cosθ
となり、次式が求まる。
+e-iθ

=cosθ
 同様にして、sinθ,tanθも指数関数e±iθで表示することが可能になる。
−e-iθ

2i
=sinθ
−e-iθ

i(e+e-iθ)
=tanθ


オイラーの公式の行列表現



以上  

(2013年3月24日)


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