☆☆☆数学の基礎概念☆☆☆
微分と積分

-微分と積分-

1.導関数
 2つ以上の値を持つことのできる文字を変数、変数の動く範囲を変域と呼ぶ。いま、xにその変域の値を自由に与えた時、それに応じてyの値が決まるなら、 xを独立変数、yを従属変数、または、xを単に変数、yをその関数と呼ぶ。

 変数xにある値を与えた時、関数yの値がただ1つだけ決まるなら1価関数、n個決まるならn価関数、無限に決まるなら無限多価関数という。1価関数以外を多価関数という。

 また、関数は、陽関数、陰関数、逆関数、遇関数、奇関数、合成関数、増加関数、減少関数、単調関数、代数関数、超越関数などの呼び名で区別されることもある。

 独立変数の変域は関数の定義域とも呼び、その時、従属変数のとり得る値の全体を値域という。 さらに、不等式a≦x≦bを満たすxの範囲は、a,bを両端に持つ閉区間であり、[a,b]と表示する。 a<x<bの場合は、開区間であり、(a,b)で表示する。少なくともa,bの一方が-∞または∞の時は無限区間であり、a,bが共に有限の時は有限区間という。 また、a≦x<b、a<x≦bの場合、[a,b),(a,b]と表示する。

 変数xがx1からx1+Δxまで変化すると、その関数y=f(x)は、f(x1)からf(x1+Δx)まで変化する。 いま、Δy=f(x1+Δx)-f(x1)とすれば、Δxを変数の増分、Δyを関数の増分という。この時、増分の比は、平均変化率と呼ばれ、
Δy

Δx
f(x1+Δx)-f(x1)

Δx
 となる。

 関数y=f(x)がx=aを含む区間で定義され、aとa+Δxの間における平均変化率Δy/ΔxがΔx→0の時、有限の極限が存在すれば、 これをf(x)のaにおける微分係数、微係数または変化率と呼び、
lim
Δx→0
f(a+Δx)-f(a)

Δx
=f'(a)
 で表示する。ある区間の各点で微分係数が存在すれば、xの関数と考えられ、f(x)のxについての導関数と呼び、f'(x)で表示される。
lim
Δx→0
f(x+Δx)-f(x)

Δx
lim
Δx→0
Δy

Δx
=f'(x)

 すなわち、微分係数が存在すれば、関数はその点において微分可能、存在しなければ、微分不能という。 また、関数の微分係数または導関数を求めることを微分するという。
 なお、f(x)のxについての導関数は、簡単に次のように表示することもある。
dy/dx,f',y',Df(x)


2.極限値
 数列{an}において、nが限りなく大きくなる時、anが一定の値αに限りなく近づくならば、この数列はαに収束するという。また、αはこの数列の極限または極限値という。 この場合、次のように表記される。
lim
n→∞
n=α
n→α(n→∞)
n→∞の時、an→α
 数学的には、「どんなに小さい正数εが与えられても、εによって決まる十分に大きな番号n0が存在して、n0より大きなすべてのnについて、∣an-α∣<εが成立する。」と定義される。
 なお、n→∞の時、an→∞(an→-∞)ならば、数列は正(負)の無限大に発散するという。収束もせずに、無限大に発散もしない場合、数列は振動するという。

 最も基本的な数列の収束性の判定法は、その有界性と単調性を示すことにある。 数列anが上に有界とは、任意のnに対して、an≦αなる定数αが存在することであり、下に有界とは、an≧βなる定数βが存在することである。 αを数列の一つの上界、βを一つの下界という。上にも下にも有界であれば、単に有界という。

極限値問題1(数列の極限値)
極限値問題2(級数の極限値)
極限値問題3(関数の極限値)


3.微分公式
一般公式(u,v,w,・・・はxの関数、aは定数)

dx
(a+u)=
du

dx

dx
(au)=a
du

dx

dx
(u+v)=
du

dx
dv

dx

dx
(uv)=
du

dx
v+u
dv

dx

dx
(

)
v du/dx-u dv/dx

2

基礎微分公式(m,aは定数)

dx
m=mxm-1

dx
sinx=cosx

dx
cosx=-sinx

dx
tanx=

cos2

dx
cotx=-

sin2

dx
=e

dx
logx=



4.高次導関数と高次微分
 関数y=f(x)の導関数y'=f'(x)がxについて微分可能ならば、その導関数を第2次導関数と呼び、

dx
dy

dx
2

dx2
=y"=f"(x)
と表示する。これから、数学的帰納法によって、第n次導関数が定義できる。

   第2次以上の導関数は、

",y''',y(4),y(5),・・・,y(n),・・・

と表示され、これを高次導関数という。


5.全微分と偏微分
 変数が2つの関数z=f(x,y)の微分を考える。この時、0=f(x0,y0)として、x,y,zの増分をそれぞれ、
dx=x+x0
dy=y+y0
dz=z+z0
とする時、
dz=fx(x,y)dx+fy(x,y)dy
の全微分という。 全微分の意味は、点x,yを中心に、方向にΔx進み、方向にΔy進んだ時の関数f(x,y)の変化量Δz
Δz=fx(x,y)Δx+fy(x,y)Δy
を考え、その極限を示している。

 いま、関数z=f(x,y)を一定値と考えれば、関数z=f(x,y)だけの関数になる。 この時、関数z=f(x,y)の微係数として、
lim
Δx→0
f(x+Δx,y)-f(x,y)

Δx
が存在する。この関数の極限値は、関数z=f(x,y)についての偏導関数(偏微分係数)となり、'x(x,y)=∂f/∂xと表示する。

 同様に、関数z=f(x,y)を一定値と考えれば、関数z=f(x,y)だけの関数になり、関数z=f(x,y)についての偏導関数(偏微分係数)'y(x,y)=∂f/∂yが存在する。

(全微分と偏微分の具体的な事例)
 関数z=xy2-2x2+3yを考える。この時、x,yの偏微分は、
'x(x,y)=y2-4x
'y(x,y)=2xy+3
となる。したがって、関数z=f(x,y)の全微分は、
dz=(y2-4x)dx+(2xy+3)dy
となる。


6.不定積分
 関数F(x)の導関数'(x)が関数f(x)に等しいならば、F(x)f(x)の原始関数と呼ばれる。この時、F(x)f(x)の1つの不定積分となる。 また、を1つの定数とすれば、F(x)+Cも1つの不定積分となる。
'(x)=f(x)
{F(x)+C}'=F'(x)=f(x)
 一般に、関数f(x)の不定積分は、次のように表示され、は積分定数と呼ばれている。また、f(x)の不定積分を求めることを積分するという。
f(x)dx=F(x)+C

(不定積分の基本公式)
ndx
n+1

n+1
+C   (n≠-1)
     =log|x|+C   (n=-1)
xdx=ex+C
xdx
x

loga
+C   (a>0,a≠1)
sinx dx=-cosx+C
cosx dx=sinx+C


(不定積分の簡単な解法事例)
(参考)置換積分法
(ax+b)ndx    (a≠0)


(不定積分の関係式)
af(x)dx=a f(x)dx  (但し、は定数)
{f(x)+g(x)}dx= f(x)dx+ g(x)dx
{f(x)-g(x)}dx= f(x)dx- g(x)dx


(不定積分の具体的事例)
(x3+x2)dx
3dx+ 2dx= (1/4)x4+(1/3)x3+C  (但し、は積分定数)
(4x3+6x2)dx=4 3dx+6 3dx= 6(1/3)x3+4(1/4)x4 4+2x3+C  (但し、は積分定数)


7.定積分
 不定積分は,関数f(x) に対して,微分すると関数f(x) になる 関数であった。定積分は,不定積分に積分区間の両端の値を代入した値の差である。
(不定積分と定積分の違い)
(不定積分)

微分したらf(x)になる関数をもとめる。

(定積分)

f(x)をaからbまで積分して値の差(面積)を求める。


(定積分の具体的事例)
(2x3+1)dx
(1/2)x4+x (1/2)・34+3)-(1/2)・24+2)= 87/2-10= 67/2


(放物線と直線で囲まれた面積)
{(x+3)-(2x2+3x-3)}dx
{-(2/3)x3-x2+6x}
-(2/3)・33-32+6・3+(2/3)・1-1-6)= 18+2/3-4= 64/3


(参考・面積問題「1/6公式」)
S=(|a|/6)(β-α)3

-証明-
a(x-α)(x-β)dx
=a (x-α){(x-α)+(α-β)}dx
=a {(x-α)2+(α-β)(x-α)}dx
=|a| (x-a)3/3-(β-α)(x-α)2/2
|a|(β-α)3/6


以上  

(2013年3月24日)


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