2SB407トランス結合A級シングルアンプ

2008年4月2日公開 2017年4月23日改訂

はじめに

 アンプを作ろう、と思い立ってはじめて製作したのが本機です。製作は1978年。記念すべき第1作です。

回路

回路図

 回路は、誠文堂新公社「初歩のトランジスタ技術」の中にあった「3W中出力シングル・アンプ」のデッドコピーです。
 実に教科書的な、トランス結合A級パワーアンプ回路です。周波数特性、ひずみ率ともに多くは望めないです。

 オリジナル回路のトランジスタは2SB189/2SB426です。パーツ屋に置いていなかったので、2SB189は手持ちの2SB383に、2SB426はパーツ屋のお兄さんに互換品を探してもらって2SB407となりました。どちらにしても今では入手困難(不能?)なゲルマニウムトランジスタです。

製作について

 製作した当時はまだ小学生でした。テスターぐらいしかもっておらず、そばに詳しい人もいなかったため、完成するまで散々苦労し、まともに音が出るまで3ヶ月かかりました。

 参考にした本「初歩のトランジスタ技術」には「8W大出力プッシュプル・アンプ」というのもありました。特性的にはこっちの方がはるかに良く、部品点数や製作の手間もそれほど変わらないので、今思えばこっちを作った方がよかったように思います。

 製作したアンプは、電源部の平滑コンデンサの容量不足でハム音が常に聞こえると言う、今からすると酷いものでした。それでも自分が作ったアンプから音が鳴って、音楽を聴けるというのは大変な感動で、おかげで現在に至るまで、思い出したようにアンプを作り続けている次第です。

 当時製作したアンプは1年ほど使ったあと解体しましたが、部品のいくつかはまだジャンク箱に残っています。たまに取り出しては当時の気持ちを振り返ったりしています。

性能

 製作した当時と違い、大人になった今ではそれなりに測定器も揃っています。再び組み立てて、性能を評価することにしました。

周波数特性

周波数特性

 周波数特性を上に示します。かまぼこ型と言うのでしょうか。ちょっと他所ではお目にかかれないぐらい曲がった特性です。数字で表現すると200Hz〜3kHz(−3dB)となります。高忠実度どころの話ではなく、完全に一種のエフェクターです。
 

歪み率

歪み率

 歪み率も1W以上で10%以上、1W以下でも数%台と、予想以上に歪んでいます。
 歪み曲線の傾向としては、6BM8シングルアンプに似ています。もちろん6BM8の方が低歪みですが、6BM8の方は若干NFBがかけてあるので、無帰還だと似たような数値になることが予想されます。
 トランジスタと真空管で似たような歪み特性を示すということは、この特性が回路形式(トランス結合A級シングル)に由来することを示しているように思われます。

 

おわりに

 性能が望めないことはある程度予想していましたが、実際に評価してみると、ここまですごい特性だとは思いませんでした。この回路はオーディオアンプのための回路ではなく、拡声器のための回路と言うことなのでしょう。
 今更こんなのを取り上げてどうするのだ、という話もありますが、小学生の時に初めて製作した時から物理特性は気になっていたので、改めて組み立てて測定することで、数十年来も気にかけてきた疑問を解決でき、個人的には満足のゆく作業でした。