6BM8シングルアンプ

2008年4月2日公開 2008年5月28日改訂

初めての真空管アンプ

6BM8外観

 真空管アンプ。オーディオをやっている人なら、肯定するにせよ否定するにせよ、関心を持たずにはいられません。かく言う私も、一度はその音を耳にしてみたいと思っていました。
 市販品やキットもありますが、自作派としては、やはり自作にトライしてみたいものです。そういう訳で、自作真空管アンプの入門編とも言える、6BM8のシングルアンプを作ってみました。
 製作は2007年。第23作目の作品です。

 初めて作る真空管アンプですので、下手なオリジナル設計ではなく、素直に入門書に従うことにします。参考にしたのは「iPodで楽しむ真空管アンプとでデジタルアンプ」と言う本です。タイトルの通り、この本は真空管アンプとデジタルアンプの2部構成ですが、真空管アンプの部分はとても丁寧に書かれていて、電子工作の初心者にもお奨めできるものです。

 

製作

アンプ内部

 真空管アンプの製作は初めてでしたので、本に従って慎重に配線しました。そのおかげで、一発で作動しました。
 ちなみにトランス類は本と違って手持ちの部品を用いました。出力トランスは春日無線変圧器のOUT-41-387、電源トランスも同じく春日無線変圧器のB6Z22WCDです。どちらも昔、安さに惹かれて衝動買いしたものです。
 電源トランスの容量に余裕がなさそうだったので、ヒーター用に、別のトランス、豊澄のHT62を用意しました。

 

特性

周波数特性

周波数特性

 低域は100Hzから低下し、約40Hzで−6dB(@1W)となっています。広域は20kHzまでフラットで、100kHzまで伸びていますが、30kHz付近に若干ピークがあります。
 低域特性が悪いのはシングルアンプの宿命と言うべきものですが、特にこのアンプでは出力トランスが安物なので、性能悪化に拍車をかけているのでしょう。
 

歪み率

歪み率

 歪み率は0.1W以上で数%オーダーと、半導体アンプに慣れた目からすれば、ひどい特性です。とくに低域での歪み率の悪化はひどく、オシロスコープで見ていると、40Hzでは入力とは似ても似つかぬ波形が出力されます。
 トランスを高級品に換えれば、多少は良くなるのでしょうか?

 

感想

アンプ外観

 特性はひどいものですが、不思議なことに音質的にはあまりそれを感じさせません。とくにソロ楽器などは、結構生々しく聞かせてくれて、良い感じです。ただオーケストラのフォルテッシモの部分はさすがに厳しく、音が濁ります。

 良い面もあるものの、このままで常用機とするのはつらいです。もう少し特性を改善できないか、検討したいと思います。