カマデンTA2020デジタルアンプ

2008年4月2日公開

TA2020KIT

TA2020基板

 ネットを見ていると、カマデンが出しているデジタルアンプキットTA−2020KITが話題になっているようです。。このキットはトライパス社デジタルアンプIC、TA−2020を使ったものです。
 ネットの情報によると、このICを使った1万円程度の某アンプが、数百万円の某高級アンプより、ブラインドテストで高評価を受けたということです。期待できそうですね。

 さっそくキットを入手して、作ってみることにしました。カマデンのキットは二種類あって、一つは一般的な部品を使ったもの、もう一つはオーディオ用と銘打った部品を使ったものです。私としてはオーディオ用部品の根拠のない使用には疑問を感じているので、価格の安い一般的な部品を使ったキットを選びました。

 製作は2007年。アンプとしては第21作目となります。

 

製作

アンプ内部

 デジタルアンプと言うことで、電源もスイッチング電源を使いました。コーセルのR50−12で、4.2Aの電流が取れます。保護回路もL字特性でデジタルアンプでの使用も問題ありません。
 D級増幅は電源変動の影響を受けやすいということなので、リザーブ用に6800μFの電解コンデンサを抱かせてあります。多分に気休めかもしれませんが・・・。
 あとは取り立てて書くほどのものでもなく、そのままタカチのケースに組み込みました。見ての通り、余裕の実装です。

 

特性

周波数特性

周波数特性

 20kHzから40kHzにかけて少しピークが見られますが、可聴領域はフラットです。ピークは出力のLCフィルターが6Ω用に設計されており、8Ω負荷では若干マッチングがとれないのが原因です。ただ非可聴領域で、しかも値もわずかなので、音質への影響はほとんどないと思われます。
 

歪み率

歪み率

 歪み率は、40Hz〜1kHzの間では概ね0.01%前後で、Hi−Fiアンプとして十分な特性です。
 対照的に、10kHzの歪み率は0.1%を超えており、決して良いとはいえません。とは言え、10kHzの高調波は可聴領域外なので、実際にはあまり影響はないかもしれません。
 (正確に言うと、2次高調波の20kHzはぎりぎり可聴領域です。ただ、これが聞こえるという人はそんなにいないと思います。少なくとも私には聞こえません。)

 

残留ノイズ

残留ノイズ

 測定していて気がついたのですが、入力がないにもかかわらず、ミリバル(交流電圧計)の針はかなり振れています。オシロスコープにつなぐと、上の右の波形のように、ピーク値で100mVほどの高周波が出力されていました。明らかにスイッチングノイズです。LCフィルターでも取り除けなかったのでしょう。

 左のノイズ波形にFFTをかけたのが、右のグラフです。900kHzにピークがあります。ほかには特にこれと言ったピークはありませんでした。AMラジオを使っているところでは、使用を避けたほうが良いかもしれません。
 

感想

アンプ外観

 試聴してみましたが、さすが話題になるだけあって、良い音です。心持ち高域がきついというか、ざらつく感じがしました。高域での歪みの影響かもしれませんが、気のせいと言えばそうかな、という程度のレベルです。
 重い電源トランス、巨大なコンデンサ、立派なフロントパネル・・・と言った物とは全く無縁のアンプですが、立派にHi−Fiアンプとして通用する音質だと思います。