NFJ社 YDA138デジタルアンプ自作キット

2017年5月21日公開

はじめに

YDA138外観

 ノースフラットジャパン(NFJ)社のYDA138デジタルアンプ自作キットによるパワーアンプです。製作は2017年5月。
 ヤマハのデジタルアンプIC、YDA138を使用したキットです。手のひらサイズながら10Wクラスの出力が得られ、しかもキット価格が2000円程度と、デジタルの利点を体現したようなアンプキットです。

 

製作

アンプ基板

 私が使ったのは「YAMAHA製 YDA138 デジタルアンプ自作キット リターンズ 2017 Ver.」で、Amazonで購入しました。
 キットには、表面実装部品がすでに取り付けられている基板とリードタイプの個別部品、ならびに1枚の簡単な説明書が入っています。シルク印刷に従って個別部品を取り付けるだけですが、説明書にはきわめて簡単な説明しかないので、Web上の製作記を参考にさせていただきました。LIFE-LABOさんのここなどは丁寧な説明で参考になります。
 ケースもNFJ社の専用アルミケースにしました。大変コンパクトにまとめることができます。

 

特性

残留ノイズ

残留ノイズ波形

 本機の残留ノイズ波形を右図に示します(負荷8Ω、増幅度18dB、Internal Clock設定)。見ての通り、約230kHz、0.3V(p-p)のスイッチングノイズが出ています。オーディオアナライザVP7723Bの80kHz LPF使用時のノイズ電圧は202μV、聴感補正Aフィルタ使用時では5μVと、聴感上のノイズ特性は優秀です。
 上記の結果は、実験用のリニア電源を使った結果ですが、秋月電子のスイッチング電源(STD1205)を使った場合、80kHz LPFで330μV、聴感補正Aフィルタで11μVと、若干ノイズが増えます。手持ちのスイッチング電源を総動員して測定した結果、聴感補正Aフィルタで5μV〜30μVと幅があり、リニア電源と互角のスイッチング電源もあれば、聴感上問題がありそうな電源もありました。この結果を見ると、電源は良いものを選んだ方が良いようです。
 また、クロック設定をExternalに変えると、聴感補正Aフィルタ使用のノイズが240μVと激増しました。原因はわかりませんが、Internal Clockで使った方が無難なようです。

 

周波数特性

負荷別の周波数特性

 負荷8Ωと4Ωにおける、出力1W時の周波数特性を右図に示します。出力のLCフィルタが8Ωに最適化されているせいか、4Ωではややハイ落ちの特性になります。10kHzで-1.5dB程ですので、聴感上でも分かるレベルです。
 このアンプキットのWeb上の評価を読むと、アナログ的な音がするとの記載をよく見かけましたが、案外このLCフィルタの特性が影響しているかもしれません。8Ωより小さな負荷をつなぐ場合は、LCフィルタを設計しなおした方が良いと思われます。
 一方、低域はよく伸びており申し分のない特性です。

 

ゲイン別の周波数特性

 このアンプキットは、ジャンパ線の設定で増幅度を設定できます。増幅度を変えた時の、周波数特性の違いを右図に示します。負荷は8Ωです
 高域に関しては違いはありませんでしたが、低域に関しては増幅度を上げると若干低下します。増幅度を上げると入力インピーダンスが下がるので、カップリングコンデンサの影響が出てしまったためと考えられます。

 

歪み率

周波数別ひずみ率

 本機の増幅度18dBにおける歪み率を右図に示します。黒線はノイズによる測定限界です。
 最大出力は歪み率10%において約9W、クリップ直前の無歪み条件で6.8Wでした。
 歪み率は、中低域では0.0数%オーダーと高級アンプには及ばないものの、Hi-Fiアンプとしては及第点です。ただ、高域(5kHz)での歪み率は0.1%を超えており、聴感上、影響が出るレベルです。

 

増幅度別ひずみ率

 増幅度を変えた時の1kHzにおける歪み率の変化を右図に示します。増幅度が大きくなるほど歪み率が悪化する傾向が見て取れます。増幅度36dBにおける歪み率は1kHzにおいても0.1%以上で、半導体アンプとしては比較的大きな値です。歪み率を考えると、増幅度は18dBか24dBに設定して使った方良いと思われます。

 

試聴(プラセボ入り)

アンプ外観

 当サイトのリファレンスアンプ、DENON PMA-390Vと聞き比べを行いました。本器もなかなかのHi-Fi音ですが、全体的な雰囲気に差が感じれました。高域の歪みのせいかもしれませんが、弦楽器の高音部のなめらかさについてはDENONの方が勝っているように思われました。かといって本機がダメというわけでもなく、これはこれで有りかなという感じです。アルミケースを含めても総額3000円以下で出来るアンプということを考えれば、立派なものだと思います。
 また、LCフィルタ定数や使用パーツの再検討によって、音質改善の余地はあるように思われましたので、挑戦してみてもよいかもしれません。