2進数で設定する電子タイマー

2008年4月2日公開

作品について

外観

 1982年に製作した電子タイマーです。
 普通電子タイマーというと、ボタンを押す回数とか、スイッチを回して設定するのが普通だと思います。この作品は、ちょっと毛色の変わった設定法を採用していて、2進数で設定するようになっています。どういう事かというと、右の写真にあるように、設定時間に対応した数字を読み取り、その数字に対応する2進数を、スライドスイッチのON/OFFで入力するようになっています。
 説明だけだと回りくどく感じられるかもしれませんが、実際には15秒を基準に、スライドスイッチの設定を1増やすごとに2倍の時間になると考えれば、結構直感的に設定できます。
 欠点は15秒の倍数しか設定できないことで、3分とか6分という設定は行えません。その場合は2分と1分とか、4分と2分というように2回設定する必要があります。

 

回路

回路

 C−MOS IC、4011、4020、4511を使っています。4011は基準クロックとブザー音の発振器として使っています。基準クロックを分周カウンター4020で分周することで、Q7から15秒周期、Q8から30秒・・・Q14から32分周期のパルスが出力されます。この各々のパルス信号を、アナログスイッチ4511で選択することで、必要な周期のパルスを取り出し、ブザーを鳴らす発振器をON/OFFします。パルス信号の選択は、4511のA〜Cに直接接続されたスライドスイッチで設定されます。
 たとえばスライドスイッチをすべてOFFにした場合、4511のXはX0と接続されます。X0は4020のQ7と接続されているので、XへはQ7の15秒周期のパルスが出力されることになります。したがって、リセットスイッチを押してから15秒後にXの出力がアクティブになり、ブザーが鳴ります。こういう仕組みで、タイマー動作を実現しています。

 基準クロックは50kΩの半固定抵抗で、所定の周期(約8.53Hz)のパルスが出るように調整します。所詮CR発振なので時間精度は悪く、室温が変わったりすると、16分や32分の設定では秒単位の誤差が出ます。精度を求めるのであれば、基準クロックは水晶発振にすべきでしょう。
 ただ、このタイマーはキッチンタイマーとしての利用を想定して製作したので、この程度の精度でも十分実用的です。実際、学生時代にはかなり重宝しました。また消費電力が少ないのも特徴で、動作時でも消費電流は50μA程度です。使い古しの006Pでも十分動作してくれます。