CMoyアンプ(3)−オペアンプ歪み率Ranking(Single編)−

2008年5月1日公開

シングルオペアンプ

変換基板

 デュアルオペアンプの次は、シングルオペアンプでも試したくなります。特に評判の高いOPA627とかAD797など、シングルオペアンプには魅力的なものが多いので、興味があります。

 私のCMoyアンプはデュアルオペアンプ用に製作されているので、そのままでシングルオペアンプは使えませんが、シングルオペアンプを2つ使ってデュアルオペアンプとして装着できる、変換基板を使って評価することにしました。変換基板は、市販のものあるようですが、万能基板で自作しました。右の写真が私の作った変換基板です。

 

測定

 エントリーしたオペアンプは、手元にあったシングルアンプ27種類です。
 測定はデュアルの時と同じように、出力を1.2mWに固定し、負荷抵抗33Ωと100Ωにおける1kHzと10kHzの、計4点の歪み率を測定し評価しました。
 ただオフセット電圧が大きすぎて、まともに測定できなかった品種もありましたので、リストにしたのは21種類です。測定できなかった理由は、オペアンプと回路定数とのマッチングが悪かったからです。もちろんオペアンプに合わせてきちんと設計すれば測定できますが、手間も時間もかかるので今回は見送りました。

オペアンプ写真

結果

歪み率リスト

 結果を右に示します。数値の単位は%です。比較のために、前回測定したデュアルオペアンプのデータも3品種付け加えてあり、赤字で表示してあります。

 色分けも前回と同じく、緑の枠が歪み0.1%以下、黄色が0.1%〜1%、赤が1%以上となっています。

 AD797とOPA627が、LM4562をしのいで上位を占めています。噂に違わぬ性能です。
 AD811やLT1028もかなり良い性能です。続いて日本製オペアンプNJM5534、uPC816、813が続きます。デュアルの時もそうでしたが、NECのオペアンプはさりげなく良い結果を示しています。

 測定していて気づきましたが、CMoy回路でLT1028やAD797を使うと、発振寸前の状態になります。このようなオペアンプを使うのであれば、何らかの発振対策が必要です。少なくとも出力抵抗R5はNFBループの外に出すべきだと思います。

 

さいごに

 これで主要なオペアンプのほとんどは評価できたと思います。
 前回の記事でも書きましたが、オペアンプ本来の使い方ではないので、この結果を持ってオペアンプ単体の優劣を判断するのはナンセンスです。あくまでCMoy回路の範囲内での評価ということです。

 ただそういう条件下でありながら、各社の高級オーディオ用オペアンプLM4562やAD797、OPA627がランキングの上位にあるのは驚きです。この辺、やはり評価(と価格)が高いだけのことはあると言うことでしょうか? またNJM5532や5534も良い結果を示しており、オーディオ用の定番としての存在感を示しています。ちょっと変わったところでNECのオペアンプが意外と健闘しており、この結果を見るともっと評価が高くても良いように思います。頑張れ日本のオペアンプ!